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台湾医療器具製造業景気動向


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2016年10月27日

機械業界 製造業全般

台湾医療器具製造業景気動向

記事番号:T00067115

一、2016年第3四半期までの景気概況
 工業研究院(IEK)予測チームの予測によれば、2016年台湾医療器具製造業の生産額は前年比8.5%増となり、1,000億台湾元超えとなる見通しだ。17年について、世界的な商品価格変動が緩和され、世界貿易回復への追い風となり、世界景気は16年より成長するだろう。医療器具製造業について、景気調整の影響、並びに1人に当たり医療費用の上昇などの原因により、17年第2四半期から医療器具製造業の景気はさらに成長する予測だ。

  IEKによると、「高齢化社会の進行に伴い、使用者の価値を向上」は医療器具製造業が2017年で掲げるスローガンであり、台湾当産業の生産額は前年比7.2〜8.5%増と思われ、6年連続5%の成長幅を示す見通しだ。16年において、台湾当産業の主要輸出項目はコンタクトレンズ(日本)、血糖値測定器(米国、欧州及び中国)などは強い勢いを維持している。また、高齢者人口の成長は福祉用具、生体内移植器具への需要をけん引した。さらに台湾当産業メーカーはハイエンドカテーテル及び手当用品(ガーゼ、綿布など)などの高付加価値製品に重心を移転しつつあるため、台湾当産業の輸出額は成長のトレンドを維持することができた。

  2016年第3四半期まで、台湾医療器具製造業の生産額は前年同期比9.6%増となった。このうち、「診断・観測用医療器具製造業」は同28.5%増でトップの成長率を見せた。「体外診断医療機器」も同11.2%増の成長率を見せ、そろって平均以上の成長を示した。台湾当産業16年通年の生産額は前年比8.5%増、1,000億台湾元を超える予測だ。付加価値について、15年台湾当産業の付加価値率は35.6%で、14年(33.7%)と比べて約1.9ポイント増となった。その中、「補正・生体内移植器具」は51.0%と最も高い付加価値率を示した。



二、2017年景気予測


 2017年の医療器具製造業景気について、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research, NBER)の景気動向判定によれば、台湾医療器具製造業は第5回の景気動向転換点に当たる。台湾メーカーはカスタム化・歩留まり率が高いなどの優位性により、17年第2四半期の景気は回復する見通しだ。また、高齢化の進行及び医療保健への重視により、年長者及び慢性病患者の介護需要は成長すると思われ、心電図、物理治療機器、生体内移植器具やハイエンドカテーテルなどへの需要は更に増加し、台湾当産業の成長を支える柱になるだろう。さらに、コンタクトレンズ、尿糖試験紙などの製品の輸出は好調を維持し、カテーテル、ハイエンド手当用品などの新興製品は次の目玉製品になる可能性がある。


 IEKは医療器具製造業が直面し得る問題について、次の様に例を挙げた:

1.OEMの価格競争が収益に影響を及ぼす
 台湾医療器具製造業メーカーはOEM(相手先ブランドによる生産)を主要業務としているため、ブランド及び販売ルートへの敏感度が低い。また、研究開発に疎かにしたため、成熟した製品における価格競争は、メーカーの収益に影響を及ぼすことが多い。

 台湾医療器具製造業上場メーカーが公開した資料によると、台湾当産業メーカーの粗利益率はおよそ世界大手メーカーの平均粗利益率の半分しかない。今後、台湾メーカーは製品の方向性・ビジネスモデルを適切に調整し、ハイエンド商品・高付加価値商品を見つけ出して、収益の向上を目指すべきだ。

2.成熟した市場への過度集中
 
 2015年台湾医療器具製造業の輸出割合は約60.8%で、主要輸出市場は▽米国(27%)▽日本(15%)▽中国(10%)——である。このうち、コンタクトレンズの輸出は日本(71%)に集中しており、血糖値測定器の輸出は米国(32%)及び欧州(34%)に集中している。医療器具の輸出は各国の保険給付制度との関連性が高いため、成熟した市場への過度集中は政策変更による影響を受けやすい。また、新興市場による需要は安定的に成長しており、台湾当産業メーカーは新興市場の開拓に注力し、市場の多元化を目指すべきだ。

三、IEK視点

  医療器具製造業は台湾の重点産業であり、IEKは今後の産業発展について「使用者需要・習慣を把握し、付加価値の向上を図る」及び「ハイエンド医療器具向けのソリューション開発、新規市場を開拓」などの方針を提出する。

 「使用者需要・習慣の把握」について、台湾医療器具製造業メーカーは世界の大手メーカーと比べ、技術、ブランド力及び販売ルートにおいて劣っているため、市場における競争力を強化しなければならない。具体的に: ▽エンドユーザーとの交流を強化 ▽現場の需要及び使用習慣を参考 ▽技術の向上、インターフェースの最適化 ——などが挙げられる。

  「付加価値の向上」について、医療器具製造業は成熟した市場であるため、技術上の参入障壁は低い、価格競争による影響を受けやすい。そのゆえ、台湾当産業メーカーはハイエンド・高付加価値製品を研究開発し、カスタム化サビース及び製品の差別化を通じて製品の競争力・付加価値を高め、中小企業の柔軟性を生かすべきだ。

 「ハイエンド医療器具向けのソリューション開発」について、台湾医療器具製造業の産業クラスターを生かし、高単価の医療器具製品を統合し、医療現場のシミュレーションを通じて、現場の需要を対応できるソリューションを開発するほか、高単価医療器具を個別の製品ではなく、システム化したセットの製品を輸出することで、新規市場の開拓を目指す。

 

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