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【ワイズリサーチ】台湾専用機械製造業の主要メーカー動向


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2017年3月2日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾専用機械製造業の主要メーカー動向

記事番号:T00069216

一、主要メーカー運営概況

  2016年、台湾専用機械製造業全体の販売額は減少したが、主要メーカー各社の売上高は増加した。このうち、米国不動産業の好況を受けた木工機械製造メーカーの巨庭機械(Geetech)の連結売上高は前年同期比8.55%増、錩泰工業(チャング・タイプ)は同22.17%増とそろって成長した。

  紡織・アパレル・皮革製品生産用機械製造業のうち、伸興工業(ゼンシン)は新商品のリリース、生産ラインの統合に加えて、ベトナム工場の生産開始が売上高をけん引し、前年同期比0.36%増と小幅成長した。一方、高林(SIRUBA)は中国紡績業各社が生産拠点を海外へ移転させた影響を受けて、連結売上高は同6.33%減となった。

 電子・半導体機械設備製造業については、自動化設備に対する需要が成長する中、盟立自動化(MIRLE)の連結売上高は前年同期比6.35%増となった。志聖工業(C SUN MFG)は中国政府による直接投資、税金減免・補助および低金利ローンといった政策のサポートを受けたことに加えて、多くの携帯電話メーカーがハイエンド商品にアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)を導入したことから、連結売上高は同15.02%増と大きく成長した(表1参照)。

 各メーカーの利益については、連結売上高は成長したものの台湾元高・人民元安による為替差損が発生したため、2016年1〜9月の連結当期純利益は減少し赤字となったメーカーが多かった。このうち、高林、巨庭機械、徳律科技(TRI)の減少幅は40%を超えている。一方、台湾を主要市場とする電子機械製造業メーカーは為替差損の影響は少ないため、連結当期純利益は成長傾向を示した。

二、主要メーカー動向

 1.新麦企業(SINMAG)

  新麦企業はアジア最大手の業務用製パン機械設備メーカーで、顧客は中国、米国、台湾のフランチャイズベーカリー、スーパーおよび卸売業者である。このうち、中国市場でのシェアは30%に達し、中国における売上高は同社売上高の5割を占めている。
  2015年、新麦企業は中国経済の成長鈍化を受けて、売上高は目標額を達成できなかった。しかし16年はアフリカのコンゴ民主共和国に香港メーカーとの合資でパン工場を設立し、連結売上高は前年比4.53%増の42億9,500万台湾元となった。利益について、連結売上高が増加し、粗利益率も小幅上昇となったため、16年1〜9月の連結当期純利益は3億9,000万台湾元、同21.65%増となった(表2参照)。


2.錩泰工業(チャング・タイプ)

 錩泰工業の主力商品は糸ノコ盤、丸ノコ盤および電動かんな等の電動木工機械で、主に建物の修繕に利用されている。主要市場は北米で、顧客はクラフトマン、デウォルト、リョービ、スタンレー・ブラック&デッカーなどが挙げられる。ここ2年間で米国不動産業の景気が回復した恩恵を受けて錩泰工業の受注数は増加し、2016年の連結売上高は前年比22.17%増の35億2,800万台湾元と成長した。

  利益について、連結売上高の成長と粗利益率の向上により、2016年1〜9月の営業利益は前年同期比54.31%増と大幅成長した。しかし連結当期純利益は為替差損の影響で同3.17%増の2億3,100万台湾元にとどまった(表3参照)。



3.致茂電子(クロマ)

  致茂電子(クロマ)は主要製品である半導体製造設備を生産するほか、近年は生産ラインを増設して製品ラインナップを充実させており、自社ブランドの世界市場進出に成功した。同時に、インダストリー4.0、電気自動車充電ソリューション、8K4Kパネルなどの分野にも足を踏み入れている。また、新エネルギーブームの中、発光ダイオード(LED)、電気自動車および太陽光発電などのグリーンエネルギー関連製品が同社の売上高に占める割合は増加しつつある。とくにテスラの「モデル3」の予約販売が好調で関連製品の需要が増加したため、2016年の連結売上高は前年比19.93%増の116億2,400万台湾元となった。

  利益について、連結売上高の成長と粗利益率の向上に加えて、為替差損が減少したことから、2016年1〜9月の連結当期純利益は前年同期比36.37%増の13億1,000万台湾元と大幅成長した(表4参照)。



三、未來の展望

  2016年下半期から台湾機械産業の輸出受注は回復しつつある。同時に米国製造業の国内回帰および米ドル高は、短期的には米国の機械設備に対する輸入需要を押し上げるだろう。また、東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済成長に伴い、同地区での販売は引き続き成長が見込まれる。

 一方、内需市場については、2017年の台湾の経済成長率は去年を上回ると予測されており、工業生産指数の上昇と産業全体の輸出受注の回復が期待できる。さらに17年から週休2日制(一例一休)が実施されているため、各メーカーは人事コストを抑えるため機械設備の調達を加速させると見られる。

 このように、米国、ASEANおよび内需市場の需要成長に加え、比較対象となる2016年の販売額が低迷したことから、17年の台湾専用機械製造業の販売額は成長傾向を示す見通しだ。

  しかし、中国市場からの需要減少と世界の為替変動は、台湾当産業の販売額に影響を及ぼしていくだろう。また、米国製造業の国内回帰は短期的には台湾当産業の米国輸出に有利ではあるが、長期的に見ると貿易障壁となって世界経済に影響を及ぼす恐れがある。これらの要因が本産業に対してどのような影響していくのか、今後注意が必要である。

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