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台湾医療器材産業——2016年の振り返りと未來の展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2017年3月9日

機械業界 工作機械・産業機械

台湾医療器材産業——2016年の振り返りと未來の展望

記事番号:T00069386

一、産業概況
 台湾医療器材産業の生産額は、2016年が前年比7.1%増の1,009億台湾元、17年も16年からの成長傾向が続き、同6.1%増の1,070億台湾元となる見通しである。

  2016年Q4における各カテゴリー別の概況については以下の通りだ。
1.診断・測定用医療器材


 診断・測定用医療器材のうち、欧州と米国を主要輸出先とするハイエンド血圧計の輸出額は、前年同期比10%増となった。一方、心電計は2015年第4四半期の出荷が好調だったため比較対象となる数値が高く、また製品が成熟期にある体温計は市場競争と各社生産拠点の海外移転の影響を受けたことから、輸出額はいずれも前年同期比で減少した。このため、16年第4四半期の診断・測定用医療器材の生産額は同26.4%減の18億4,000万台湾元となった。

2.手術・治療用医療器材


 2016年第4四半期の手術・治療用医療器材の生産額は前年同期比10.9%増の58億台湾元となった。このカテゴリーでは「その他手術用器械・付属品」の輸出額が最も多い。台湾メーカーは受託生産を行うほか、積極的にハイエンド手術用器械の研究開発を行っており、輸出額は同6.0%増と順調に成長している。


 また、物理療法で使用される経皮的末梢神経電気刺激(TENS)ユニットについては、台湾メーカーは長期にわたって研究開発と生産に注力しており、16年第4四半期の輸出額は同6.7%増となった。今後も世界の高齢化に伴ってTENSユニットに対する需要はさらに増加すると予測されることから、輸出額は成長を維持できる見通しだ。

3.補助・補填用医療器材


 補助・補填用医療器材は、台湾医療器材産業の中で生産額が最も多い製品である。2016年第4四半期はコンタクトレンズの輸出好調を受けて、生産額は77億1,100万台湾元で前期比1.9%増、前年同期比16.1%増となった。

  コンタクトレンズは日本と中国での需要増加により、2016年第4四半期の輸出額は前年同期比21.2%増となった。主要メーカーの精華光学(セントシャイン・オプティカル)と金可国際集団(Ginko)は生産ラインの拡充を進めており、今後も輸出額の成長が期待できる。


 なお、補填用医療器材に対する需要は伸びており、人工関節のほか人工骨、プレート、スクリューなどその他手術用製品の輸出も好調が続いている。

4.体外診断医療器材

  体外診断医療器材の主要製品は血糖値測定器である。台湾メーカーは高度な技術を有し、製品のコストパフォーマンスは世界市場における競争力を備えている。また外国メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)を受注するほか、自社ブランドで欧州や中国市場を開拓しており、安定した成長が続いている。


 全体的には、2016年第4四半期の体外診断医療器材の生産額は前期比7.8%増、前年同期比7.3%増の51億台湾元となった。



5.その他医療器材


 その他医療器材は主に医療機関が定期的に調達する消耗品であるため、景気変動による影響が少ない。2016年第4四半期の生産額は前期比0.4%減、前年同期比2.0%増の58億台湾元となった。


 このうち、カテーテルは台湾メーカーがハイエンド製品を開発し、製品の付加価値率が向上したことから輸出額は成長を維持した。また創傷被覆材では、ハイエンド製品の技術向上を図り、親水性材料、コラーゲン素材、抗菌成分などを取り入れた製品開発に注力している。2016年第4四半期の創傷被覆材の輸出額は前年同期比19.8%増となり、今後の成長が期待される。

二、2016年医療器材産業トピックス
1.「長期介護2.0」が2017年より始動
(1)内容:

 「長期介護2.0」はコミュニティ化とローカル化を掲げた政策で、医療、介護、予防保健など各分野の資源を統合して高齢化社会におけるヘルスケアを行い、介護対象の拡大、サービス項目の増加およびコミュニティ単位での介護の実現を目指すものだ。衛生福利部によれば「長期介護2.0」が施行された後、介護対象者は51万1,000人から73万8,000人へ44%増加すると予測される。 (2)影響:

 台湾でも高齢化が進んでおり、シルバー世代からの需要は介護関連産業にビジネスチャンスをもたらしている。しかし現在、介護労働力が不足している。これに対して、いかに支援技術と情報収集を統合したサービスで介護の効率を向上させ、福祉産業を発展させていくかが今後の課題である。

2.バイオ新薬産業発展条例の一部改正草案が通過
(1)内容:

  今回の法改正のポイントは、医療器材に対してその適用範囲を緩和させたことだ。「ハイリスク医療器材」の定義は「政府管理機関が認定した第三級医療器材または臨床試験を実施して認可された第二級医療器材」に修正され、ハイエンド医療器材の研究開発を奨励する。

  また経済部は、医療器材メーカーに対して高度な技術が求められる新領域の研究と新技術の開発を奨励するため、「バイオ新薬」の適用範囲を追加した。その定義は「行政院より戦略的発展性のあるバイオ新薬として認定され、かつ管理機関が関連機関、学術会および研究機構と共同で審議し、公告した製品」となっている。
(2)影響分析:

 台湾は長年にわたって医療器材産業に注力してきた。今回の法改正は、より多くの企業に対して研究開発と人材育成を奨励し、医療器材メーカーのハイエンド・ハイリスク製品の開発をサポートすることで産業の構造転換を促進し、台湾医療器材産業の競争力と経済価値の向上を目指すものだ。

  バイテク医療産業は台湾が2017年より推進するイノベーション産業の一つである。研究開発を通じて新材料と新製造プロセス、そして精密機械を結びつけてハイエンド・高付加価値の医療器材を生み出し、台湾医療器材産業の成長を促進する。
 三、未來の展望
  2016年第4四半期、台湾医療器材産業は主力商品(コンタクトレンズ、血糖値測定器など)の輸出が好調であったため、輸出額は安定して成長した。また、TENSユニット、その他手術用器械・付属品、ハイエンド医療用カテーテルの輸出も増加しつつあることから、16年第4四半期の台湾当産業の生産額は前年同期比5.8%増となった。

  2017年も、台湾医療器具産業の主要製品であるコンタクトレンズが産業全体の生産額をけん引すると予測される。また世界の高齢化に伴い、外科医療器材、物理療法設備、カテーテルの輸出も増加し、台湾当産業の生産額の成長に追い風となるだろう。

 

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