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【ワイズリサーチ】台湾機械産業——2019年の振り返り


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2020年4月1日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾機械産業——2019年の振り返り

記事番号:T00089170

一、産業概況
ハイテク生産設備
 川下産業の不景気を受けて、2019年第4四半期のハイテク生産設備の生産額は418億2,000万台湾元で前期比4.4%増、前年同期比6.4%減となった。世界半導体市場統計(WSTS)の報告によると、米中貿易摩擦の影響を受けた半導体市場は低迷を脱する見通しが立たず、スマートフォンなどの需要も縮小が続いている。このため、19年通年の世界半導体市場規模は前年比12.8%減の4,089億9,000万米ドルと予測される。

金属加工工作機械
 2019年第4四半期の金属加工工作機械の生産額は341億2,000万台湾元で前期比5.8%減、前年同期比26.7%減だった。このうち、主要輸出相手国の上位2カ国である中国と米国への輸出額はそれぞれ前期比27.5%減と同30.1%減となった。一方で、米中貿易摩擦の影響で一部のメーカーが生産ラインをベトナムに移転させたことから、同国での設備需要が増加したため、19年第4四半期の対ベトナム輸出額は同13.6%増となった。また、対日本輸出額も同13.4%増だった。

産業機械
 2019年第4四半期の産業機械の生産額は362億2,000万台湾元で前期比6.6%減、前年同期比7.9%減だった。米中貿易摩擦の勃発によって中国メーカーと在中外資系メーカーが生産能力の拡張に消極的になったことに加えて、末端市場からの需要も飽和状態にあったことが要因だ。産業機械のうち、ゴム・プラスチック機械や木工機械、紡績機などの需要が縮小しており、産業機械全体の生産額も減少した。

輸送・運搬機械
 2019年第4四半期の輸送・運搬機械の生産額は137億台湾元で前期比8.6%減、前年同期比22.2%減だった。生産額の割合はその他輸送設備・部品が42.5%、リフト・エスカレーターが30.7%で1位と2位を占めた。19年第4四半期の生産額が減少した要因は、第4四半期に予定されていた出荷が第2四半期と第3四半期に繰り上げられたためだ。

伝動ユニット
 2019年第4四半期の伝動ユニットの生産額は前期比6.0%増、前年同期比23.2%減の200億6,000万台湾元だった。米中貿易摩擦を受けて世界製造業メーカーの投資意欲が弱まり、生産設備の受注が減少したことから、生産額が減少した。 産業用ロボット  2019年第4四半期の産業用ロボットの生産額は前期比3.5%増、前年同期比3.5%減の14億6,000万台湾元だった。米中貿易摩擦を受けて産業用ロボットの輸出低迷は続いているものの、生産額は徐々に回復している。

流体機械
 2019年第4四半期の流体機械の生産額は前期比3.9%減、前年同期比7.7%減の205億5,000万台湾元だった。主要メーカーのうち、亜徳客国際集団(エアタック・インターナショナルグループ)は19年11〜12月の売上高が好転したが、その他メーカーの売上高は横ばいが続いており、回復の兆しが見られない状態だ。

金属金型
 2019年第4四半期の金属金型の生産額は前期比0.8%増、前年同期比15.5%減の118億台湾元だった。台湾市場の需要は前年同期比15.3%減の89億台湾元、輸入額は同2.6%増の14億2,000万台湾元、輸出額は同10.9%減の43億7,000万台湾元となった。米中貿易摩擦を受けてメーカーの投資意欲が低下し、受注が縮小したことから、輸出額が減少した。

二、メーカーの動向とトピック
台科大と大量科技が産学提携で半導体生産プロセスのコストダウン
説明
 台湾科技大学(台科大)は大量科技(TA LIANG)との産学提携によって、半導体生産プロセスで使用される消耗品の研磨パッドに対するスマート監視・管理システムを開発した。寿命を正確に測定することで研磨パッドを無駄なく使用することができ、これによってコストダウンとウエハー生産プロセスの効率向上を図り、台湾半導体産業の競争力を強化する。
分析
 これまでの化学機械研磨(CMP)工程は研磨パッドの寿命を即時的に監視・管理する技術がなく、作業員が経験に基づいて研磨パッドを交換してきたため、コストの無駄につながっていた。
 台科大と大量科技が共同開発したスマート監視・管理システムは、研磨パッドをリアルタイムでスキャン・分析することで寿命、接触面積と研磨液の貯蔵能力を監視・管理する。これによって、研磨パッドを無駄なく使用し、交換回数を減らすことができる。
 国際半導体製造装置材料協会(SEMI)の資料によると、台湾は2019年の世界最大の半導体設備市場であった。研磨パッドにかかるコストは年間数十億台湾元に達し、かつ毎年増加しつつある。台科大の陳炤彰教授は、このシステムの導入によって台湾半導体メーカーの消耗品コストは約10%削減し、生産能力は約5%向上すると予測している。

金宝電子工業がロボット製品のOEM生産に参入、2020年より売上高に貢献
説明
 金宝電子工業(キンポ・エレクトロニクス)の沈軾栄総経理は、同社がロボット製品のOEM生産(相手先ブランドによる生産)に参入することを明らかにした。2020年から売上高に貢献する見通しである。また、同社は音声認識ロボットの研究開発を進めており、タイ語とフィリピン語の機種が20年にタイのセブン-イレブンとフィリピンの小売店に導入される計画だ。
分析
 電子製品の生産を主要業務としていた金宝電子は高付加価値分野への進出を目標として、▽プリンター用チップ▽ロボット▽スマート音声認識装置――などの研究開発を進めている。また、米中貿易摩擦の影響で東南アジアは中国に代わる製造業の中心とな りつつあり、メーカーが優先的に投資を行う市場に成長している。

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