記事番号:T00096511
購入補助額削減とインフラ整備不足消費者の購買意欲が減退傾向に
政府の購入補助と多くのメーカーの市場参入を受けて、2019年の台湾の電動バイク販売台数は過去最高を記録し、二輪車新車登録台数のうち電動バイクが18%を占めた。しかし、20年は電動バイクの購入補助額が削減されたことに加えて、第7期排ガス規制基準適合ガソリンバイクが買い替え補助の対象となったことから、二輪車新車登録台数のうち電動バイクが占める割合は大きく減少した。
政府の購入補助のほか、電動バイクのインフラ整備に関する政策も消費者の購入意欲に影響した。現在、電動バイクはガソリン税と二輪車税の免除、買い替え及び新車購入補助が適用されるが、充電スタンドや電池交換ステーションの不足、家庭における充電などの問題を解決する政策が実施されていないことが、消費者が購入を踏みとどまる要因となっている。
台湾各県市における電動バイクのインフラ整備は、台北市と新北市が最も進んでいる。台北市は2021年〜22年の間に電池交換ステーションを156カ所から250カ所以上に増設する計画だ。また、電動バイク登録台数が二輪車全体の13.5%に達するまで、電動バイクは管轄下にある路肩の駐車スペースと駐車場を無料で利用でき、さらに公共充電スタンドの無料充電サービスを受けられるなど、優遇措置を実施している。新北市は、電動バイク利用者に公共駐車場での無料充電サービスや専用駐車スペースなどを提供している。
電動バイクのレンタルとシェアリングサービスの普及が課題
離島地区では、温室効果ガスの排出削減と電動バイク利用比率の拡大のため、地方政府が電動バイクの購入補助やレンタル業者との提携を実施しているものの、故障率が高くメンテナンスが困難で、レンタル料金がガソリンバイクより高いことから、目標を達成できていない。このため、大学生を対象に毎月のレンタル費用に補助金を提供することで、購入意欲を刺激する政策を検討している。
このほか、ブームとなっているバイクのシェアリングサービスも、電動バイクの普及に活用できるが、利用者の習慣や人口密度が各地で異なることを考慮する必要がある。現状では、バイクのシェアリングサービスは直轄市にとどまっており、さらにバイクの三大ブランド全てがサービスを提供しているのは台北市、新北市と高雄市のみとなっている。シェアリングサービスの提供範囲を拡大するためには、各地方政府の協力を得てインフラと関連法規を整える必要がある。
また、シェアリングサービスはシステムの安全性やマナーの悪い利用者が原因で印象が悪いことも課題となっている。このため、サービス提供者は管理とメンテナンスを強化し、シェアリングサービスの理念に対する理解を利用者に呼びかける必要がある。
台灣ガソリン自動車・二輪車の販売禁止計画を中止
2017年、台湾はガソリン自動車・二輪車の販売禁止スケジュール(ガソリン二輪車は35年、ガソリン自動車は40年に販売禁止)と、20~40年までの電気自動車(EV)・電動バイクの段階的な販売比率目標を定めたものの、関連産業と消費市場の反対意見を受けて、19年に計画を中止することとなった。現時点で政府は新たなスケジュールを設定していない。
今後、政府がインフラ整備の推進と駐車優遇を提供する一方、メーカーがメンテナンスを含むアフターサービスの強化で消費者の購入意欲を高め、電動車両の普及率向上に有利的な環境を築くことが重要である。
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