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【ワイズリサーチ】新型コロナウイルス防疫レベル3の実施が台湾機械産業に与える影響


リサーチ 台湾事情 その他 作成日:2021年7月8日

機械業界 製造業全般

【ワイズリサーチ】新型コロナウイルス防疫レベル3の実施が台湾機械産業に与える影響

記事番号:T00097105

一、産業概況
 米中貿易摩擦と新型コロナウイルス感染症流行の影響で、2019年〜2020年の台湾機械産業の生産額と販売額は減少したが、21年に入って世界経済が回復したことから、台湾当産業の輸出受注は増加した。また、▽台湾経済の回復、▽台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資増加、▽製造業の投資拡大を受けて、台湾当産業の内需規模が大きく成長したため、21年第1四半期の台湾当産業の生産額と販売額はそれぞれ前年同期比16.39%増、同16.21%増と大きく伸びた。
 2021年5月、台湾で新型コロナウイルスのクラスター感染が発生し、防疫レベルが第3段階(レベル3)に引き上げられた。幸い、5月の台湾当産業の生産状況には大きな影響はなく、受注分が順調に出荷されたことから、21年第2四半期の台湾当産業の生産額と販売額は大幅成長を維持できる見通しだ。
 しかし、6月に一部の電子業工場でクラスター感染が発生したため、台湾当産業メーカーは分散勤務を実施し、生産効率に影響が出ている。
 このため、2021年下半期の台湾当産業の生産額と販売額は成長傾向を維持できるものの、成長幅は緩やかになるとみられる。

二、防疫レベル3実施による影響
労働者不足の深刻化により生産側に影響を与えた
 経済部工業局と経済部国際貿易局(国貿局)は台湾機械工業同業公会(TAMI)を通じ、台湾の機械産業メーカー約3,000社に対してアンケートを実施した。これによると、73.3%のメーカーが政府の税金減免を希望すると答えたほか、経営補助金の支給やワクチンの優先接種も大きな比率を占めた。
 2021年初め、中央流行疫情指揮中心(中央流行疫情指揮センター)が新型コロナウイルス感染症の変異株流入を防ぐため、外国人労働者の入国管制措置を決定したことを受けて、機械産業は労働力不足となった。今回の防疫レベル引き上げによって労働者不足はますます深刻化し、メーカーが直面している問題の中で最も関心を集めている。現状、防疫レベル3の実施は台湾当産業の需要に影響はないものの、生産側に大きな打撃を与えている。
 2021年6月9日、経済部工業局が公開した「建議企業強化分艙分流方法(メーカーの分散出勤措置の強化ガイドライン)」では、オフィス業務の労働者を2〜3グループに分け、テレワーク組と出勤組に分散し、実施期間中にグループ分けを変更しないことを推奨している。生産ラインの労働者については、工場別、階層別、グループ別で出勤グループを分け、同じく実施期間中にグループ分けを変更しないことと定めた。シフトもグループごとに交代するが、ガイドライン通りに分散出勤措置を実施する場合、機械産業の労働力不足はさらに深刻化し、今後の受注及び生産活動だけではなく、21年下半期から22年第1四半期の受注や輸出にまで影響を及ぼすことが懸念される。

三、TAMI及び主要メーカーの対応
 機械産業は、生産額が1兆台湾元を突破した台湾産業のひとつであり、70%以上の製品が輸出向けで製造業の中心でもある。TAMIはメーカーの感染予防措置が一定の水準に達した場合、防疫レベル4の全面休業の対象から機械産業を除外すること、または防疫レベル4の全面休業によって、台湾機械産業が世界サプライチェーンから外れて競争国・メーカーにシェアを奪われることを防止するため、あらかじめ機械産業を対象から除外することを政府に提言している。
 また、TAMIが台湾機械産業メーカーに対して実施したアンケート結果によると、中央流行疫情指揮センターが防疫レベルをレベル4に引き上げた場合の経営に関する質問に対して、政府方針に合わせて全面休業を実施すると回答したメーカーは32.9%、生産や納品の必要があるため、通常営業を続けると回答したメーカーは約60%を占めた。政府から提供を希望する補助・支援については、賃金補助と経営補助と回答したメーカーがそれぞれ47.1%を占めた。
 主要メーカーについては、機械産業メーカーでは感染者が出ていないこと、海外受注の大幅増加を受けて友嘉集団(フェアフレンドグループ、FFG)は10〜11月まで、台中精機(ビクター台中・マシナリー・ワークス)は年末まで、東台精機(東台マシン&ツール)は中国からの受注が好調のため、第4四半期まで受注見通しが立っていること、労働力不足が改善する見込みがないことなどから、TAMIの方針に従って対応するとみられる。
TAMIによる機械産業の新型コロナウイルス感染症予防ガイドライン
(1)メーカーが提出した防疫計画を地方もしくは中央政府の審査に提出する。審査を通過後、社内で実行し、通常営業を維持する。これにより、経済的打撃を最低限に抑える
(2)防疫計画の目標:工場業務は有限の労働力で正常稼働を維持、オフィス業務はテレワークを導入
i.メーカーの自主的な感染検査を許可し、労働者の健康状況を把握する
ii.工場生産ラインの労働者を寮で集中管理し、外部からの感染を抑える
iii.外部からの貨物に対して最高レベルの検査と予防措置を実施し、感染の可能性を抑える
iv.管理、研究開発、業務など部門の労働者はテレワークを導入し、経営・管理業務を行う

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