ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00097357

持続可能な経営を実践

　琳得科先進科技（LintecAdvancedTechnologies(Taiwan)）は2000年、日本のリンテック台湾子会社として高雄加工出口区（現在の前鎮科技産業園区）に設立された。リンテックは技術開発と発展に尽力し、半導体研磨や切断などの製造プロセスに使用される製品を手掛け、多様で安定性の高い半導体先進プロセス材料と設備、光学フィルムなどを供給している。


　リンテックグループの総売上高のうち、半導体部門が全体の３割を占めるが、このうち３割を琳得科先進科技が占める。台湾半導体産業の「スピード」に対応するため、琳得科先進科技は日本から半完成品を輸入し、顧客に少量多品種加工サービスを提供している。
　琳得科先進科技はＳＤＧｓ（持続可能な開発目標）実現のため、地域社会への貢献を重視してきた。「社会と永続的に共存し、共に成長を続ける」ことを強調し、社員が参加する公益活動での社会還元のほか、従業員と家族によるビーチクリーンや植樹などを実施し、持続可能な環境に対する理解と行動を呼び掛けている。
　琳得科先進科技が行ってきた活動には、▽植樹、▽ビーチクリーン、▽中古書籍・物資の寄付、▽孤児院の支援、▽子どもサッカー教室──などがあり、社員自らが動くことで社会貢献を行ってきた。環境保護活動だけでなく、2017年からは３年連続で高雄市の孤児院「永安児童之家」の子どもたちのために社員からの寄付金によるクリスマスイベントを実施している。

ブランドを守る広報チーム
　琳得科先進科技は、専門分野のトップランナーであり続けるだけでなく、広報チームの宣伝方法も多彩だ。自社のウェブサイトのほか、フェイスブック（ＦＢ）の公式アカウントを開設して、企業や一般の人が容易に自社の情報にアクセスできるようにした。また、多言語に翻訳した季刊の社報を発行し、世界の人々に自社の最新技術と動向を紹介している。さらに、上述のような社会貢献活動の実施やＣＳＲ（企業の社会的責任）レポートの発行など、企業のイメージ向上にも注力する。ＣＳＲレポートは、日本国内やその他海外拠点の活動もまとめられている。

「人が基本」従業員の福利厚生を充実
　琳得科先進科技は従業員を重視しており、毎年の健康診断や社員旅行、ボーリング大会などのほか、不定期の映画鑑賞会や趣味のコンテスト、スポーツ大会などを実施している。社員一人一人が大切な資産であるため、従業員と家族をしっかりと世話をすることが非常に重要なのだ。企業は「人が基本」であり、従業員が幸福感と同時に会社への帰属感を持つこと、そして仕事と私生活のバランスを保ち、健康であってこそ、企業に絶えることのない活力がもたらされ、前進し続けることができる、というのが琳得科先進科技の考えである。
　また、琳得科先進科技では、一人のマネージャーが効果的に管理できる部下は５人前後であり、部下に完全に権限を委ねている。部下もその信用に応えて、最も理想的なピラミッド型の管理方式が形成されている。それぞれの担当者が専門分野を持っており、部下は定期的なレポートで現状を報告し、管理職は問題について討論する。常にスムーズなコミュニケーションが維持されており、部下は長所を発揮して成長することができる。同時に、部下と管理層の信頼感と結びつきを育てることもできる。

アプリケーションセンターを持つ唯一の子会社
　琳得科先進科技はリンテック海外子会社の中で最大のアプリケーションセンター（ＡＰＣ）を持ち、顧客の生産ラインと同様の環境で実験やテストを行うことができる。新たなテープ材料と先進設備を合わせて、プログラム評価のプラットフォームを提供することで、顧客は最適化した製造プロセスのパラメーターを見つけることができる。
　2020年末、琳得科先進科技のＡＰＣは新型ラミネーターRAD-3520F/12を導入した。新型の300mm全自動研磨用テープラミネーターは、より高い安定性を持ち、作業者により近い機能が設計されている。テープの張力コントロールと信号レポートを利用して、低い張力で貼り合わせることができ、前世代より優れた効率を実現した。このほか、多軸式ロボットアームによる３次元テープ切断は、切断面がより滑らかになっている。

「誠意と創造」で不動の地位を築く
　琳得科先進科技は長年蓄積してきた技術力を活用しつつ、新製品と新事業の発展にも力を入れている。同時に持続可能な発展と社会貢献を掲げて、様々な計画を実施してきた。競合他社に自社の動向を隠すことがないのは、他社が知ったところで追いつくことができないという自信の表れである。
　高雄に設立されて20年、琳得科先進科技は台湾に根を張って地域に関心を持ち続け、共存共栄を目指してきた。理念と堅持、そして「誠意と創造」という経営方針によって、台湾半導体産業における現在の地位を揺るぎないものにしているのだ。