蔡英文・総統は米国時間5日、中米の友好国歴訪の帰途、米ロサンゼルスに立ち寄り、ケビン・マッカーシー米下院議長（共和党）と会談した。台湾の総統が米国で、米大統領継承順位2位の下院議長と会談するのは、1979年の米台断交後、初めて。台湾統一圧力を強める中国を念頭に、両者は、米台の連携強化を確認した。中国の外交部は6日早朝、米台の公式な往来は、「一つの中国」原則と、米中の3つの共同コミュニケに違反しており、国家の主権と領土の完全性を守るため断固とした措置を取ると表明した。中央社電などが伝えた。

蔡・総統（左）は、全ての米議員の変わらぬ支持に謝意を述べた。マッカーシー下院議長（右）は、米台の友情は自由な世界で非常に重要で、経済の自由、平和と地域の安定の鍵であり続けると語った（6日＝中央社）

　両者の会談は、ロサンゼルス郊外のロナルド・レーガン大統領図書館で行われた。マッカーシー下院議長をはじめ、超党派の議員19人が出席した。

蔡・総統とマッカーシー下院議長の会談は非公開で行われた（6日＝中央社）

　蔡・総統は会談後の談話で、マッカーシー下院議長の歓迎や超党派議員の出席を受け、台湾の人々は孤立しておらず、孤独でないと感じたと指摘。レーガン元大統領の言葉を引用し、「自由は闘い、守り、受け継いでいかなければならない」と語り、われわれは団結することで一層強くなると強調した。

　マッカーシー下院議長は会談後の談話で、米台関係はいまだかつてなく堅固で、蔡・総統は重要な担い手だと指摘した。今後も引き続き台湾に武器を売却、着実に引き渡し、貿易やテクノロジーなど経済協力を強化し、われわれの共通の価値観を世界に広めると語った。

　台湾の総統が米下院議長と会談したのは、79年の米台断交後3回目。1回目は、97年4月にニュート・ギングリッチ元下院議長（共和党）が訪台し、李登輝・元総統と会談した。

　2回目は昨年8月、ナンシー・ペロシ前下院議長（民主党）が訪台し、蔡・総統と会談した。ペロシ氏との会談後、中国は台湾を取り囲むように軍事演習を実施し、弾道ミサイルを発射した。その後、中国軍機や軍艦の台湾周辺での活動が常態化し、台湾と中国の事実上の停戦ラインとされる台湾海峡の「中間線」越えが相次いでいる。

「レッドライン越えた」

　両者の会談を受け、中国の外交部は6日、申し入れや警告にかかわらず、米国側が会談を認めたことを強く非難した。台湾問題は中国の核心的利益の核心で、米中関係の越えてはならないレッドラインだと指摘し、米台の公式な往来を即停止するよう警告した。

　中国の福建海事局は5日、台湾海峡の中部と北部で3日間、両岸（中台）直行の貨物船や作業船の検査を実施すると発表した。

　台湾の国防部は5日夜、中国海軍の空母「山東号」が台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過したと発表した。台湾の南東の海域を経由し、初めて西太平洋で訓練を実施したと指摘した。

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