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米国が顧客情報など開示要求、TSMCは応じず(トップニュース)/台湾


ニュース 電子 作成日:2021年10月1日_記事番号:T00098695

米国が顧客情報など開示要求、TSMCは応じず(トップニュース)/台湾

 ロイターや韓国メディア「ビジネスコリア」の報道によると、米国政府がファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)などに対し、世界的な車載用など半導体不足の原因を探るため、11月8日までに顧客リストや販売・在庫情報、今後の生産計画などの機密情報を提出するよう要求している。これに対し、TSMCの董事を務める国家発展委員会(国発会)の龔明鑫・主任委員は30日、TSMCに電話で確認したが、個別の顧客の商業機密情報を開示することはないと語った。経済部は、台湾は米国の商業法規を尊重し、理解しているとした一方、台湾企業が国際競争で不合理な要求をされている場合は、必要な協力を惜しまないと表明した。1日付経済日報などが報じた。

/date/2021/10/01/00top_2.jpg龔・主任委員は、TSMCの次回の董事会で説明を求め、国発会は秘密保持協定に影響のない範囲で、対外的に説明する可能性があると説明した(30日=中央社)

 海外メディアなどの報道によると、米国のバイデン政権は23日、半導体の供給不足に関する産業界との3回目の対話を実施。米国は、TSMCのほか、▽サムスン電子、▽インテル、▽SKハイニックス──などの半導体メーカーに対し、顧客リストなどの機密情報提供を要求したようだ。消息筋によると、米国は国防生産法(DPA)を発動し、強制的に情報提供させることも検討しているとされる。

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 TSMCに6%出資する行政院国家発展基金(国発基金)は、米商務省が24日、半導体不足についてサプライチェーンの実情を調査するため、インターネット上でパブリックコメントの募集を開始しており、半導体メーカーや台湾メーカー、TSMCなど特定の企業に限った意見募集ではなく、回答も強制されていないと説明した。パブリックコメントの回答期限は11月8日で、質問は全26項目。いずれも特定の顧客の商業機密について開示するかは、回答者に裁量の余地があると指摘した。

 経済部は、台湾の半導体メーカー大手と緊密に連携しているとした上で、メーカー側は世界の車載用半導体の需要ひっ迫が景気回復の足かせになっていることを理解しており、例えばTSMCは車載用の重要部品のマイクロコントローラー(MCU)の出荷を60%以上増やしていると指摘した。

自由貿易の崩壊懸念

 一方、電子時報によると、ファウンドリー関係者は、米国の政治介入に対しては、欧米の大手メーカーの反対も効果がなく、資料を提出せざるを得ないと指摘した。協力すれば、半導体不足の解決は早まるかもしれないが、半導体の川上から川下のサプライチェーンの営業機密が全て明らかにされるため、顧客との機密保持契約が無効となり、自由貿易が存在しなくなると危機感を示した。

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