ニュース 法律 作成日:2021年11月8日_記事番号:T00099407
知っておこう台湾法企業は利用客や取引先等の個人から個人情報を取得する機会が多くあります。個人情報保護法(以下、条文番号のみ記載)では、個人情報を不法に収集、処理、利用し、またはその他当事者の権利を侵害した場合、損害賠償責任を負う旨が規定されています(第29条)。被害者が損害賠償を請求する際、その実際の損害額の証明が困難または不可能である場合、被害者は裁判所に侵害の状況に基づき1人当たり1件につき500台湾元(約2,000円)以上、2万元以下で計算するよう請求できます(第28条第3項)。
個人情報を提供する当事者は以下のような権利が認められており、権利を事前に放棄または特約をもって制限することはできないとされています。(第3条)
1.問い合わせまたは閲覧請求
2.複製作成の請求
3.補足または修正の請求
4.収集、処理または利用の停止の請求
5.削除の請求
個人情報を収集する者は、当事者から個人情報を収集する際、当事者が行使できる上記の権利およびその行使方法を当事者に明確に告知しなければならないとされています。ただし、告知すべき内容を当事者が知悉している場合等は告知義務が免除されます(法第8条第1項)。
個人情報に関する裁判例
個人情報提供者からの個人情報削除請求に関して、以下のような裁判例(士林地方裁判所2014年度湖小字第537号判決)があります。
Y社は、工具等を消費者に販売する会社で、Xは同社から商品のカタログや優待情報等をメールで受け取る会員として登録していました。Xは2012年6月に電子メールでY社に対して、自身の個人情報の削除を請求し、Y社は承諾した旨の返信をXに送りました。しかし、その後も、Y社からXに商品のカタログや優待情報等の広告を内容とするメールが送付され続けました。
本件メールの送付行為は個人情報保護法の施行(2012年10月1日)前後で行われましたが、同法施行後に送付された16通のメールについては、1通当たり1,000元で計算し、合計1万6,000元の損害賠償請求が認められました。
企業が個人情報提供者からの削除請求等について適切に対応しなかった場合、被害者がその損害額を証明できないときでも、企業は損害賠償責任を負うことになるので、上記1~5の請求があった場合、適切に対応する必要があります。
*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。
福田優二弁護士
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