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蓋亜汽車の物流向け電動三輪車、momoやDHLが採用


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2023年6月1日

機械業界 自動車・二輪車

蓋亜汽車の物流向け電動三輪車、momoやDHLが採用

記事番号:T00109226

 電動三輪車を手掛ける蓋亜汽車(ガイアス・オートモーティブ)は、CEOの韋逸斌(ウェイ・イ・ビン)によって2010年に設立された。12年間にわたる熱心な研究開発を経て、電動商用三輪車のRapide 3は昨年末に正式に登録され、道路を走り始めた。また、インターネット通信販売大手のmomo購物網や国際物流大手の独DHLに電動三輪車が採用されている。
 市場調査会社によると、電動商用車の21年の世界市場規模は563億4000万米ドルで、30年に8490億米ドルまで拡大すると予想されており、電動商用車に参入する企業が相次いでいる。



物流のグリーン化需要に対応
 台北市内湖区にあるmomoのサテライト倉庫では、後部にピンク色の荷物室を取り付けた電動三輪車が出入りする光景が見られる。電動三輪車は電動二輪車より多くの貨物を積めるため、倉庫との往復時間を節減できる。また、市内の移動で四輪車より小回りがきく。
 momoは物流の短縮化・グリーン化と注文から3時間以内での配送を実現するため、22年末に蓋亜汽車の物流向け電動三輪車「Rapide 3」を導入した。momoの谷元宏・総経理によると、電動三輪車の導入により物流の効率が4~5倍改善する見込みで、毎年15%ずつ導入台数を増やし、将来的に電動三輪車とトラックの割合を半々にする計画だ。電動三輪車による配送や路線、エネルギー管理に関するデータを集め、早い段階で物流を最適化したい考えだ。DHLも22年末にRapide 3を導入し、高雄市で使用している。
 蓋亜の研究開発経理楊氏によると、同じ量の荷物を3つの場所に配送すると考えると、バイクでは3人のライダー、3台のバイク、3回の時間が必要になる。一方、トラックは1台、1人で対応できるが、機動性が不足している。駐車も不便なため、配送には3倍の時間がかかる。それに対し、同社のRapide 3は、これら二つの利点を兼ね備えている。バイクより3〜4倍多くの荷物を積むことができ、トラックよりも移動しやすいので、1台の電動三輪車で、1人が1回の時間で配送を完了することができる。

23年末にも東京で導入へ
 Rapide 3は台湾高速鉄路(高鉄)台中駅(烏日区)周辺のスマート物流センター「物流共和国(ロジスティック・レパブリック)台中園区」にある蓋亜汽車のオフィス兼工場で生産されている。荷物室の容量は1000リットル、最大積載量は200キログラム。
 一般の三輪車両は高速でカーブを曲がると重心が崩れ転倒しやすいが、Rapide 3は特許技術『傾斜システム』の重心移動技術を使用することにより、車体が35度傾いても倒れない構造になっている。また、フランスの自動車・バイク部品メーカー、バレオと共同開発したモーター「48v eAccess」を搭載している。トルクは44ニュートンメートルで、坂道も楽に走行可能だ。最高時速は90キロメートル。航続距離は150キロメートルに達するため、フルに充電しておけば、配送途中でバッテリーを交換する必要はない。

 蓋亜汽車は22年10月に独フランクフルトで開催された物流展「パーセル+ポスト・エクスポ」で輸送イノベーション賞に入選した。温室効果ガスの実質排出ゼロ(ネットゼロ)の一環として物流のグリーン化が叫ばれる中、蓋亜汽車は22年に日本や欧州の大手物流業者から引き合いを受けており、早ければ23年末にも蓋亜汽車の電動三輪車が東京や欧州の街を走る光景が見られるようになる。



EVメーカーとして起業
 蓋亜汽車の創業者、韋氏は車好きで、学生の頃から自動車レースに出場していた。F1で頭角を現し、チームで開発したプラグインハイブリッド動力システムは自動運転車を手掛けるグーグルやフォード、トヨタなどの注目を集めた。また、創業後に充電可能なハイブリッド動力システムを開発し、米電池メーカーのA123システムズに売却した経歴もある。
 台湾の経済部が2010年に企業の電気自動車(EV)開発を支援する計画を発表したことを受け、海外で生活していた韋氏は台湾に戻り、友人たちと共同出資し、蓋亜汽車を立ち上げた。資金力は十分ではなかったが、過去の経験と技術力を蓄積してきた結果、蓋亜汽車は英オックスフォード大学や英石油大手シェルなどからの依頼を受け、軽量EVと炭素繊維を採用したEVの研究開発プロジェクトを受託した。韋氏によると、台湾から初めて輸出されたEVを製造したのは蓋亜汽車で、台中港から輸出したという。

ASUSから出資、量産可能に
 物流向け電動三輪車にターゲットを絞ることに決定した蓋亜汽車は、2015年、郵便事業を運営する中華郵政向けに、Rapide 3の前身となる電動三輪車を開発した。19年に工場建設、設備購入に必要な資金として、華碩電脳(ASUS)からの出資を得ることに成功した。そこで自社の生産ラインを確保することができた。
 韋氏は「物流向け電動三輪車に注力したのは正しい判断だった。この13年間は大変だったが、人生をもう一度やり直せるとしても、台湾に戻って起業するだろう」と述べた。

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