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【ワイズリサーチ】コロナ後の自転車業界は在庫過多、受託生産の明係(AXMAN)はハイエンド、電動で好調


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2023年6月15日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】コロナ後の自転車業界は在庫過多、受託生産の明係(AXMAN)はハイエンド、電動で好調

記事番号:T00109494

 過去2年、コロナ禍で需要が爆増した自転車受託生産業界では現在、在庫過多が懸念されている。そんな中、明係事業(AXMAN)は、受注抑制を図るほか、最先端モデルの生産に特化することで好業績を続けている。

同業が全量受注の中、明係は受注抑制
 新型コロナウイルス感染症の感染爆発が起きて以降、欧米では自転車需要が拡大。さらに原料価格上昇もあったため、メーカーは自転車の供給不足を懸念して受託生産メーカーに大量の発注を行った。同業他社はオーダーをすべて受注したが、明係は毎日顧客や部品メーカーとの話し合いを重ね、顧客からの過剰な発注量を抑制するかたわら、部品の入庫時間と組み立て時間を調整して仕掛品の山ができないように努めた。
 創業者の江永平董事長は「新型コロナでブランドからの発注量が2倍、3倍になったが、あまりにも理性を失っている。いくらパンデミックでも需要がそんなに増えるわけがない。」と受注抑制を行った理由を説明した。
 それでも自転車市場は需要旺盛で2022年1~10月の生産額は1824億台湾元に達したが、下半期には既に在庫過多が懸念される状況に陥った。



市場ポジションを見極め、欧米のハイエンド市場に参入
 明係事業は創立38年の老舗だ。受注抑制を行っても業績は好調で、22年は大幅増収となったが、背景には2003年にハイエンド自転車製品や電動アシスト自転車のODM(相手先ブランドによる設計・生産)/OEM(相手先ブランドによる生産)専門へと舵を切ったポジショニング戦略もある。
 江董事長は、「当時、欧州で行われた展示会では、登場したばかりの炭素繊維(カーボンファイバー)製のフレームが展示されていた。カーボンファイバーは軽い上に振動吸収性能も十分で、今後の主流になると思った。しかも台湾メーカーはまだ参入していなかった。」と語る。帰国後、生産ラインを変更し、これまでの低価格車種からカーボンファイバーを採用した競技用自転車への生産に切り替えた。
 08年の北京オリンピックでは英国チームに同社製品が採用され、8競技での金メダル獲得に貢献した。これを契機に同社の受注は数百台から数万台規模へと拡大し、欧米ハイエンド市場での地位を確固たるものとした。
 黄慶忠・同社総経理は、「自転車の組み立てとひとことに言っても、国ごと、製造バッチごとに規格もサイズも違う。中でも電動アシスト自転車は少量多品種生産で、顧客ニーズに最大限に合わせており、結果として自転車受託製造業界のニッチ分野の開拓に成功した。」と指摘した。
 
電動アシストが収益に貢献開始、自社ブランドも
 近年欧米では電動アシスト自転車の需要が大幅に増加しており、25年までに米・欧の二大市場で年間販売台数が1000万台に達する見通しだ。明係では先を見越して以前から増産体制の整備を進めており、彰化県大村郷の工場が8年前から稼働している。従来型自転車年産20万台、電動アシスト自転車同約15万台の生産能力を有する。
また欧米市場向けの関税対策、国際競争力向上を目指してベトナムに工場設置を進めている。そのほか、台湾市場では自社のAXMANブランドで電動アシスト自転車を市場に投入し、世界市場進出を狙っている。
 ある自転車メーカー幹部は明係について、同社はもともとハイエンド市場を狙っているメーカーであり、電動アシスト自転車の生産技術・能力も有しており、従来型の低価格製品メーカーを越えていると指摘。向こう数年は好業績が見込めると語った。

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