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【ワイズリサーチ】輸送機器業界の現状と展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2013年9月18日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】輸送機器業界の現状と展望

記事番号:T00062492

一.運営現状

1.国内需要の低迷により、2013年Q2における当業界の生産額は、2012年同期より減少した。しかし、Q3に生産額は回復すると予想されている。

 世界同時不況により、13年Q1における台湾経済成長率は、想定より少ない 1.62%である。13年Q1〜Q2に、半導体業界による資本的支出の拡大により、民間固定資本形成が増加したが、 Q1の不振により、従来の製造業は投資意欲が減り、Q2における本業界の生産力にも影響を与えた。経済部の調査によると、13年上半期に新規で登録された工場(仮登録を除き)は、12年同期比9.09%減の1,571軒であった。国内需要は減少し、Q2における当業界の生産額は、年間成長率5.65%減の73.02億台湾元となった(図1参照)。

 2013年Q3における民間固定資本形成の成長は、上半期より遅くなる恐れがあるが、7月に新規登録された工場(仮登録の正式登録を除き)は、昨年同期比17.5%増の363軒であり、仮登録の正式登録も計算すると、その数字は昨年同期比41.34%増の547軒にも達する。また、新規登録された工場に金属製品企業と産業機器企業が多いため、国内需要は拡大し、Q3における当業界の生産額は増加すると予想されている。

2.2013年Q2には、「他の輸送機器および部品」を除き、当業界全製品の生産額が2012年同期より減少した。

 当業界は生産額の下落により、関連部品に対する需要が減少したが、企業は輸入品の代りに国内製品を購入するようになったため、13年Q2における「他の輸送機器および部品」の生産額は、12年同期比10.09%増の30.30億台湾元となった。一方、国内需要の低迷により、コンベア、クレーン、スタッカー、昇降装置の生産額が縮小し、それぞれの生産額は12年同期比27.30%減、25.93%減、11.71%減、7.85%減の11.41億台湾元、3.30億台湾元、6.35億台湾元、20.76億台湾元となった。Q3に新規登録された工場の増加により、当業界への需要も増えるため、13年Q3における当業界の各製品の生産額は増加すると予想されている(表1参照)。


3.国内市場の需要減少により、2013年Q2における当業界の輸入額は5.50%減に下落した。それに対し、中国市場の需要は増加し、輸出額は3.98%増と上昇した。

 13年Q2に当業界は海外製品の輸入額が上昇したが、生産額の下降によって、関連部品に対する輸入が減少したため、総輸入額は12年同期に比べて5.50%減の37.03億台湾元しかなかった。当業界の上位五位の輸入相手国は、日本、中国(香港含め)、ドイツ、アメリカ、オランダで、それぞれ総輸入額の45.29%、24.57%、11.42%、4.80%、4.39%を占めている。輸入額は12年同期に比らべて23.65%減の日本を除き、Q3に成長する当業界の生産額に伴い、他の国からの輸入が増加すると予想されている(表2参照)。

 一方、人民元の切り上げおよび米国の経済回復により、中国と米国への輸出額が上昇し、韓国も当業界の製品を更に購入するようになったため、12年Q2における輸出額は、12年同期比3.98%増の53.10億台湾元となった。当業界の輸出相手国の上位五位は、中国(香港含め)、韓国、アメリカ、タイ、日本である。中国(香港含め)、韓国、アメリカへの輸出額が上昇し、それぞれ12年同期比が14.01%増、257.40%増、3.24%増と成長したが、タイと日本への輸出額は、28.35%減と20.29%減と縮小した。人民元の切り上げおよび米国の経済回復はこれからも続くため、13年Q3における当業界の輸出額も上昇し続けると予想されている。

4.2013年1〜7月に、永大機電と盟立自動化の連結売上高が伸びた一方、崇友実業と高僑自動化の連結売上高は下落した。また、高僑自動化を除き、残り三社の当期純利益は全て成長している。

 永大機電と崇友実業はエレベーターメーカーである。二流の地方都市の市場を積極に開発している永大機電は、都市建設政策によって上昇したエレベーターに対する需要に恵まれ、13年1〜7月の連結売上高は、12年同期比23.83%増の107.58億台湾元に達した。それに対し、空気圧式エレベーターの新製品NuVaを推進している崇友実業は、好評を得て、高級住宅用のエレベーター市場に参入しており、その代理店は60軒を超えた。しかし、中国政府が住宅市場を抑制しているため、13年上半期における崇友実業の連結売上高は、12年同期に比べて僅か0.93%増になり、13年7月の連結売上高は34.74%減と下落した。13年1〜7月における連結売上高も、12年同期に比べて5.02%減と下落した。一方、盟立自動化と高僑自動化はエレクトロニクス業界に自動化機械を提供するメーカーである。資本的支出を拡大したTSMCおよび景気回復によって設備関係支出を増加した国内パネル業者に恵まれ、13年1〜7月における盟立自動化の連結売上高は、12年同期比12.44%増の37.59億台湾元となった。それに対し、運営不振となっている高僑自動化の連結売上高は38.12%減となり、資産活性化をはかり、取締役会では中部科学園区の工場と土地を処分しようかとの動きもあった。

 高僑自動化を除き、残り三社の当期純利益は増加し、永大機電と盟立自動化は倍以上の成長を示した。粗利益が低い製品の出荷が完了間近のため、永大機電の粗利益は23.5%〜24.2%の間に戻った。また、中国はビル建設に伴い、エレベーターのメンテナンス市場も拡大している。中国政府が許可した特種設備安全法によって、エレベーターの改造およびメンテナンスは、製造会社しかできなくなっており、メンテナンスからの収入も含め、13年上半期における永大機電の当期純利益は、12年同期に比べて271.58%増の6.56億台湾元に成長した(表3参照)。


二.業界動向

2013年上半期、中国輸送機器企業の業績は成長したが、その成長ベースはすでに鈍化傾向にある。

 中国の持続的経済成長の需要により、13年上半期における中国輸送機器業者の主要製品売上高は、12年同期に比べて11.51%増の2857.86億人民元に達した。特にエレベーター、エスカレーター、昇降装置のメーカーは、都市建設にもたらされた大量な需要に恵まれ、その売上高は23.29%増にも成長した。また、連続輸送機器および他の輸送機器も倍以上に成長した。一方、基礎建設に関する投資減速および金融引き締めによる企業の保守的戦略により、中小型クレーンメーカーとクレーンメーカーの売上高は、それぞれ12年同期に比べて2.78%減、7.50%減となった。中国輸送機器企業の業績はまだ成長しているが、その勢いはすでに鈍化している。そのため、当業界の中国への輸出も影響も懸念されており、加えて中国政府が行っている輸入代替政策は、この状況をさらに悪化させている(表4参照)。



三.将来展望

1.経済回復および企業の投資意欲の上昇により、2013年Q4における当業界の生産額は2012年同期より成長する可能性がある。
 行政院主計処の予測によると、13年Q4に台湾経済成長率は2.61%と予測されている。加えて、13年7月に外資企業の対台湾投資が成長し、新規登録された工場も著しく増加したことにより、13年下半期に海外企業と国内企業の投資意欲が上昇し、当業界に対する需要も増加すると考えられる。そのため、13年Q4における当業界の生産額は12年同期より成長すると予測されている。

2.2013年Q4に、基準期間が長いコンベア製品を除き、全ての製品の生産額は増加すると予測されている。

 企業の投資意欲の上昇により、当業界に対する需要も上がり、13年Q4における当業界の製品販売額は12年同期より成長すると予想されている。その中に、「他の輸送機器および部品」の成長が最も著しく、スタッカーの生産額も需要回復により、12年同期より増加すると予想されている。しかし、コンベアの生産額だけは、基準期間が長引いたため、後退する恐れがある。

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