(一般公開)伝動機器産業の現状と展望


2013年10月17日0:00  リサーチ 経営 台湾事情

(一般公開)伝動機器産業の現状と展望

記事番号:T00062512

運営現状

1.経済の減速および円安の影響を受け、2013年第2四半期における伝動機器産業は前年同期比成長率がマイナスとなったものの、マイナス幅には改善が見られ、第3四半期にはプラスに転じたと見込まれる。

 13年第2四半期における伝動機器産業の生産額は76.73億台湾元(図1参照)で、前年同期比4.48%減となったが、国内向け販売額の増加により減少幅は目に見えて縮小した。川下業者による国産品購入額が継続して増加しているほか、円安によるダメージも軽減しているため、第3四半期生産額は前年同期比プラス成長が見込まれる。

2.2013年第2四半期の製品別生産額では、ベアリングが小幅成長を見せた以外は、すべてマイナスとなった。うちリニアガイドのマイナス幅が最大だった。

 川下業者の需要低迷により、製品別生産額はおしなべて減少傾向を示した。ハイエンド製品に使われるリニアガイドに関して台湾メーカーは、近年技術力を向上させたことに加え、円高傾向が続いたことにより受注が増えていたが、大幅な円安が始まって以来、日本メーカーが競争力を回復しており、台湾メーカーへの受注切り替え効果が急速に失われ、同製品の生産額は12年第3四半期以降、減少が続いている。なお13年第2四半期のリニアガイド生産額は前年同期比18.13%減の29.33億台湾元だった。また、同期はギアとボールねじの生産額もそれぞれ同8.32%減、同0.64%減となった。一方、ベアリングは円安の影響が弱まった上、比較対象となる昨年の数値が低かったことから、同5.33%増(23.70億台湾元)を記録した(表1参照)。なお13年第3四半期の生産額は昨年の数値が低い上、需要にも回復が見られ、各製品ともプラス成長を記録したとみられる。特にベアリングとボールねじは力強い成長を見せたようだ。



3.2013年第2四半期の伝動機器輸出額は、輸出先上位5カ国のうち、ドイツ以外はすべて前年同期比で減少した。ただ、第3四半期輸出額は全体としてプラス成長を記録したとみられる。

 13年第2四半期の伝動機器輸出額は91.03億台湾元で、前年同期比6.45%減となった。輸出先別では、輸出額上位5カ国のうちドイツ以外すべてで前年比マイナス成長を記録した。特に日本向け輸出は同16.76%減と減少幅が最大となった。原因としては主に円安の影響でそれまでの台湾メーカーへの受注切り替え効果が消失したことが挙げられる。また円安によるダメージは米国向け輸出にも及んだ。さらに中国政府が機械産業の輸入代替政策を実施している上、国内景気が後退して需要も低下しているため、同国向け輸出額(香港含む)も34.51億台湾元にとどまり、同3.57%減となった(表2参照)。

 ただ、円安の影響が弱まっていることや、中国が経済成長率の低下を抑制するための景気刺激策を打ち出していることが、台湾の伝動機器産業の輸出成長を後押ししており、第3四半期の輸出額は12年第2四半期より続いたマイナス成長が止まったと推測されている。


4.2013年第2四半期の輸出額は、国内需要が依然として低迷していることから引き続きマイナス成長となり、第3四半期も同様の状況が続いたとみられる。

 13年に入って台湾工作機械産業の生産額が深刻な落ち込みを見せており、伝動機器の需要も大幅に低下している。さらに一部輸入品が台湾製に取って代わられている状況もあり、13年第2四半期の伝動機器輸入額は、前年同期比15.20%減の62.28億台湾元にとどまった。特にハイエンド製品に対する需要低下が著しく、これに伴い日本からの輸入額は同26.30%減、ドイツからは同17.40%減となった。中国(香港含む)からの輸入も同1.04%減だった(表3参照)。

 第3四半期の伝動機器輸出額はプラス成長に転じたとみられるが、輸入額は▽台湾工作機械産業が依然として不振▽伝動機器の国産品による輸入代替傾向——により、マイナス成長が続いたとみられる。

5.直得科技(チーフテック・プレシジョン)と上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)の2013年1〜8月の合計売上高は前年同期比マイナスとなったが、瑞穎(Pro-Hawk)はプラス成長を記録した。また、直得科技と上銀科技は13年上半期合計純利益も大幅に減少したが、瑞穎は著しい増加を記録した。

 機械業界の世界な景気低迷および円安の影響が、リニアガイドメーカーの直得科技と上銀科技に影響を及ぼしている。特にこれまで円高による受注切り替え効果の恩恵を受けていた上銀科技は、円安を受けてその効果が消失。13年上半期売上高は前年同期比18.35%減となった。また、直得科技も同9.33%の減少を記録した。しかし、世界市場における需要が徐々に回復していること、3Dプリンター市場への進出、川下顧客の在庫消化進行などが要因となって7〜8月の売上高が回復し、13年1〜8月売上高は上銀科技が同11.88%減の72.28億台湾元、直得科技が3.35%減の6.40億台湾元と、そのマイナス幅は上半期に比べ大幅に改善された。一方、台車用ベアリング、ガレージドア用ベアリング、自動倉庫用ベアリングなどを主力製品とするほか、米国とカナダを中心として世界へ向けてコンベア部品を供給する瑞穎は、機械業界の低迷に大きな影響を受けていないほか、米国における自動車販売の好調が間接的に受注増につながり、13年1〜8月の同社売上高は同 4.80%増の6.75億台湾元に上った。

 円安の影響を受けた直得科技と上銀科技は値下げによる受注維持を図ったため、粗利益率が大きく下降し、13年上半期の純利益は直得科技が前年同期比25.32%減の0.39億台湾元、上銀科技が同49.67%減の5.85億台湾元に落ち込んだ。これに対し瑞穎は、売上高が増加したのみならず、原材料コスト低下と台湾元安により粗利益率が上昇。13年上半期の同社純利益は同20.92%増の1.01億台湾元に上った(表4参照)。



中国の業界動向

2013年に入り中国の伝動機器産業は景気の低迷が続き、メーカー間の競争も激化しているが、業界をリードする企業は投資規模を継続して拡大している。

 13年上半期、中国では経済成長が減速し、ベアリング業界は競争の激化および市場の需要不振より輸出額も低迷した。多くの企業が▽売上成長の著しい縮小▽生産能力過剰▽過剰在庫▽生産・運営・資本コストの増大——に直面する中、中国のベアリンクメーカーの利益は減少し、赤字に陥るメーカーも現れた。例を挙げれば、西北軸承(NXZ)は13年上半期、3,174人民元の純損失を計上。一方、襄陽軸承は政府から1,350万人民元の補助金を受け、同期純利益は156.13万人民元となった。

 中国ベアリング産業は業界景気が低迷し、競争が激化しているものの、業界をリードする地位にあるメーカーは絶えず投資を拡大している。西北軸承は軌道交通用ベアリング生産ラインの建設に1.88億人民元を投資する長期発展計画を発表。工場の建設期間は2年で、3年目に生産を開始すれば同社の軌道交通用ベアリング生産能力は年間21万セット、売上高は同3.23億人民元増加すると見込む。

 一方、晋西車軸は、軌道交通用およびハイエンド輪軸の生産拠点建設計画「馬鋼―晋西輪軸プロジェクト」に12.9億人民元の資金投入を計画している。同プロジェクトではミドル・ハイエンド輪軸を主、一般の輪軸を副として、7万セットを超える年間生産能力を持つ生産拠点を建設する計画だ。また、ドイツのベアリングメーカー、KRWを買収した瓦軸集団(ZWZ)は、KRWを通じて欧州における製品開発、製造、マーケティング拠点を築く方針だ。

 積極的投資規模を拡大しているのはベアリングメーカーだけではなく、大連市も全国の著名ベアリングメーカーを集めたモデルエリアを開発することで中国・国家質量監督検験検疫総局(国家質検総局)の同意を得た。同モデルエリアでは、国家質検総局により標準規格の制定/修正、検査ラインの建設、検査・検疫・通関、行政許可の取得手続き、品質の向上などの面で政策的支援を受けることになる。

 中国は台湾伝動機器産業にとって重要な販売先市場であるため、同国伝動機器業界の景気低迷、メーカー間の激しい競合、リーディングカンパニーの積極的な投資拡大といった要素は今後、同国における台湾メーカーの発展に不利な影響を及ぼすとみられる。

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