ワイズコンサルティング・グループ

記事番号：T00062667

一．半導体製造装置産業の現状


　国際半導体製造装置材料協会（ＳＥＭＩ）の統計によれば、2013年の全世界における半導体製造装置産業の総生産額は316億米ドルで前年比14％減少した。しかしながら台湾の設備調達額は105.7億米ドルで同11％成長しており、世界最大の市場規模を維持している。14年もファウンドリー各社が引き続き積極的な設備調達を進めていることに加えて、メモリーメーカーも資本支出の拡大を計画していることから、台湾は３年間にわたって世界最大の半導体市場となると予測されている。

　13年、台湾の半導体製造装置市場は世界市場の29％を占めたが、全世界の半導体製造装置産業の生産額では台湾が占める割合はたった5.0％であった。さらに台湾の半導体製造装置の自給率はわずか15％である。つまり毎年2,000億台湾元規模の市場が海外大手メーカーにわたっているだけでなく、製造装置の調達を海外企業に頼らなければならないという現状は、台湾の半導体産業のサプライチェーンの発展に非常に不利だといえる。

二．半導体設製造装置メーカーの現状

　近年、比較的好調な業績をあげている台湾の半導体製造装置メーカーには、漢民微測科技（エルメス・マイクロビジョン、ＨＭＩ）、帆宣系統科技（マーケテック・インターナショナル）、京鼎精密科技（フォックスセミコン）などがある。

▽漢民微測科技
（エルメス・マイクロビジョン、ＨＭＩ）
　漢民微測科技は台湾最大の設備代理店である。傘下の漢辰科技（ＡＩＢＴ）は、米国カリフォルニア州の研究開発（Ｒ＆Ｄ）センターで設備の設計・製造を行っている。自社ブランドの90ナノメートル製造プロセス以下のイオン注入装置「iStar」は、ファウンドリー業者の認証テストを経て生産ラインに正式導入されている。また、同社の電子ビーム検査装置「eScan」もすでに世界市場で販売されている。南部科学工業園区（南科）にある同社の組み立て工場は、台湾製部品の割合が70％、年間生産能力は50台に達している。

▽帆宣系統科技
（マーケテック・インターナショナル）
　帆宣系統科技は、半導体、フラットディスプレイ及び設備消耗品の代理店業務、さらに工場設備のターンキーサービスなどを手掛ける。近年、同社は発光ダイオード（ＬＥＤ）製造装置及び技術開発にも着手しており、さらに太陽エネルギー、レーザー応用技術、リチウム電池などの分野にも進出し、事業の多角化を進めている。

▽京鼎精密科技
（フォックスセミコン）
　京鼎精密科技は、米アプライド・マテリアルズ、マットソン等の前行程設備の受託生産を行っている。さらに液晶パネルレーザー切断装置、超薄型ガラスの切断技術、8.5世代対応の欠陥検出装置など、ＬＣＤ（液晶ディスプレイ）設備装置及びＬＥＤ照明分野へと事業を積極的に拡大させている。

▽在台外資企業
　台湾に拠点を置く海外の半導体設備企業には、アプライド・マテリアルズ、ＡＳＭＬ、東京エレクトロン、ラムリサーチ等がある。各社は台湾にＲ＆Ｄセンター、トレーニングセンター、製造拠点を設置し、台湾企業と提携してサブシステムや部品開発を行っている。また、グリーンツィード、樫山工業、日本セラテックといった大手キーコンポーネントメーカーも台湾に工場を設置し、台湾メーカーに部品を供給している。

▽その他企業の事業内容（下の表を参照）
　なお現在、宏濂科技がアライナーとステッパー、億力鑫系統科技がコーター、外資企業のUltratec（ウルトラテック）がリソグラフィー装置の開発を進めている。また、志聖工業はベーキング処理、リフロー処理、自動ラミネーターに関する研究開発で成果を出している。

三．市場観測

　半導体関連各社は、経済の総体的な回復に加えてスマートフォン、タブレット型パソコンなど携帯情報端末市場の好況が続いていることから、14年の市場動向を楽観視している。14年の全世界半導体市場は、前年比4.2％成長すると予測されている。

　また、先進製造プロセスの開発により半導体製造装置業界も好況が期待でき、14年の全世界半導体製造装置の市場規模は、前年比23.2％増の396.4億米ドルに伸びる見込みだ。ＳＥＭＩは、台湾が３年連続で全世界における半導体設備調達の最大市場となると予想している。日本、欧州、韓国、中国からの需要拡大を受けて15年まではこの成長傾向が続くとみられ、15年の半導体製造装置の生産額は前年比2.4％増となる見通しだ。

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