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【ワイズリサーチ】中韓FTAが台湾工作機械産業に及ぼす影響


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年8月14日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】中韓FTAが台湾工作機械産業に及ぼす影響

記事番号:T00062687

 この10年間、中国大陸は急速な経済成長を背景に世界最大の工作機械輸入国であり続け、2013年の輸入額は103億米ドルとなり、世界の工作機械輸入額の29%を占めた。このため台湾、日本、韓国といった工作機械輸出国にとって非常に重要な市場となっている。

 そんな中、今年(2014年)7月3日に中国の習近平国家主席が韓国を訪問して同国の朴槿恵大統領大統領と会談し、今後、中韓自由貿易協定(FTA)の年内妥結を目指すとの共同声明を発表した。

 これに対し台湾の経済部工業局は、台湾と中国が締結した海峡両岸経済協力枠組み協議(ECFA)のアーリーハーベスト対象リストにおいて、一部工作機械については制御装置には特定原産地規則の制限が加えられていることを挙げ、もし中韓がFTAを締結し、中国が韓国製工作機械の制御装置に規制を加えず、無条件にゼロ関税とすることに同意した場合、韓国の工作機械産業は中国市場におけるライバル国との差を詰めることになると指摘した。

 さらに工業局から委託を受けた研究機関の分析データによると、近年における台湾製工作機械の輸出は韓国との間で製品の重複度が高く、ECFA・アーリーハーベストによって17品目の製品については既にゼロ関税を獲得しているとはいえ、制御装置の特定原産地規則が適用されることや約55品目の工作機械製品がなお5〜15%の関税を課せられている現状から、中韓FTAの締結によって台湾の工作機械産業が受ける影響は5,000万〜8,000万米ドルと試算される。

 こういった状況を踏まえて工業局は、中韓FTAによる工作機械産業へのダメージを軽減するため、ECFAの後続協議に当たる物品貿易に関する交渉を加速させた上で台湾に最も有利な条件を勝ち取り、中国市場における台湾製工作機械の競争力を確保する必要があると指摘。工作機械を中台物品貿易協定の関税引き下げ対象に含めるべく積極的に働きかけるほか、「製造業のサービス業化、サービス業のハイテク化および国際化、従来型産業の差別化」を主軸とし、我が国機械産業構造の最適化を進め、激しく変動する世界の経済貿易環境に対応していくと強調した。

 なお、台湾において工作機械関連企業の多くは、台中市・大肚山台地に位置する南投工業地帯に集中しており、同エリアに1,000社余りの精密機械メーカーおよび1万社を超える川下関連メーカーが緻密な協力関係を持つサプライチェーンを築いており、世界でも唯一無二の精密機械産業集積地となっている。ここでは大規模かつ需要への柔軟な対応可能な生産を、細分化されたメーカー間の分業・協力体制で実現させており、台湾の工作産業が世界で戦う上で大きな拠り所となっている。

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