ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

【ワイズリサーチ】台湾工作機械業界の技術発展と企業の紹介



リサーチ 経営 台湾事情 その他 作成日:2014年11月6日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】台湾工作機械業界の技術発展と企業の紹介


記事番号:T00062737

一.業界の運営概況

 台湾工作機械業界には、60年以上の発展を経てすでに1,500軒を超える数のメーカーが存在し、そして毎年9,000億台湾元の生産額を創出している。同業界の売上高に輸出が占める割合は8割を超え、2013年はその輸出額が世界第四位の35.48億米ドルを記録し、世界市場において7.9%の占有率を誇っている。

 台湾工作機械業界は、輸出優位性を維持するために、完成機とキーコンポーネントに注力している。完成機の目標市場は▽中国▽米国▽ロシア▽インドネシア▽タイ▽メキシコ▽南アフリカ▽エジプト——であり、キーコンポーネントの顧客ターゲットは▽中国▽韓国▽日本▽ドイツ——における世界大手メーカーである。

 ただ、台湾工作機械業界は世界市場において価格優位性を持っているものの、2013年は景気不況によって、売上高が小幅に縮小した。これにより、工作機械を調達する際、高効率性と安定した品質こそが各企業の最優先需要だということが判明した。従って、台湾工作機械業界は、技術力を強化し、製品の質を更に向上させるべきである。

二.業界の方向

 ドイツは2013年に「インダストリー4.0」を発表し、自国の製造業界を盛り上げた。台湾も政府の推進を受け、自動化からファクトリーオートメーション、そしてインテリジェントシステムまで三段階に進化した。

 製造業のサービス化を実現するには、産業構成を改善して進化させる必要があり、そして市場需要を満たすには、設計側と顧客側のニーズを把握した上で研究開発を行う必要がある。変動する世界市場の需要を満たし、低価格競争から抜け出すべく、台湾政府は「インテリジェント製造」と「製造業のサービス化」を提唱した。

 具体的に説明すると、「インテリジェント製造」においては、情報通信技術(ICT)における優位性を利用して、製造と加工に関する顧客のニーズを把握し、システムの統合技術を向上させる。「製造業のサービス化」においては、サービスを全方位に拡大し、顧客に対し、加工と検査に関する技術支援を行い、そしてグローバルサービスを提供できるように、クラウドプラットフォームサービスも提供する。

 また、業界、政界、学界とも提携して、工作機械のインテリジェンス機能の向上を目的として、技術サービスセンターと遠隔サービスプラットフォームを設立して、国産制御装置の割合を10%から30%まで引き上げた。台湾工作機械業界の目標は、こうした一連の政策によって、日本製ハイエンド工作機械から市場シェアを奪い、国内ハイエンド機械市場における占有率を高め、2020年までに生産額を2,000億台湾元まで伸ばすことである。

三.台湾工作機械企業の紹介と技術

1.東台精機
(トンタイ・マシン&ツール)

 台湾最大手の設備メーカーである東台精機は、年間100億台湾元の生産額を誇り、その顧客は▽日産▽ホンダ▽NSK——など日本大手企業も含む。近年、同社は▽栄田精機(HONOR)▽亜太菁英(APEC、アジアパシフィック・エリート・コーポレーション)▽カ泰精機(クイックテック・マシナリー、カは言へんに華)——と連携して、従来製品の小型高速加工機と立形/横形マシニングセンタを、大型立形旋盤、5軸大型マシニングセンタ、横形横中ぐりフライス盤、門型マシニングセンタへとクラスアップした。

 2013年3月、東台精機は国産制御装置を採用して「快速首件加工応用軟体(高速初部品加工プログラム)」を開発し、業界からの注目を浴びた。同プログラムに、加工物の図形と材質を含むパラメータを入力して、プログラムシステムに転送すれば、3次元の動的シミュレーションプログラムと加工時間予測が得られる。また、最短時間で初部品を手に入れることができ、加工の準備時間も半分に短縮され、顧客競争力も高まる。

2.研華宝元
(アドバンテックLNCテクノロジー)

 研華宝元は2013年から研華科技(アドバンテック)の傘下企業になっており、その製品は▽切削工作機の制御装置▽プレス機の制御装置▽プラスチック・ゴム射出成形機の制御装置▽ロボットの制御装置▽二次開発プラットフォームの制御システム▽省エネ制御システム——を含むハイエンド機械であり、台湾と中国市場における市場占有率を急速に伸ばしている。なお、同社は取引先の大型工場に対し、製品金型の加工から、部品のスタンピング、研削研磨、射出成形を含むワンストップ生産体制サービスも提供している。

3.新代科技
(シンテック・テクノロジー)

 工作機械事業では、新代科技は機械とプログラムの革新に注力しながら、高性能かつ高効率のCNC制御システムを開発して、▽金型機▽穴あけ加工機▽フライス旋盤——などに使用している。なお、同社は今年に入って、スピンドルドライブと電機の量産も開始し、今後全体の加工効率と安定性が改善されると見られている。
 新代科技の製品はフライス旋盤複合加工機能を備えているほか、▽デジタルサーボの通信インタフェース▽遠隔加工プログラムのアップロードとダウンロード機能▽カスタム・マンマシンインタフェース▽高統合性▽インタフェースの拡張性——等の機能も備え、同社の製品を導入すれば、同業他社との差別化を実現できる。

4.永進機械工業
(YCM、ヨンチン・マシナリー・インダストリーズ)

 永進機械工業の主要製品はマシニングセンタ、CNC旋盤、フライス旋盤など精密切削加工機械である。同社は応用技術サービスセンターを設立し、加工技術の支援を提供する台湾初の企業となった。また、同社はインテリジェント統合制御システムに注力して、遠隔加工のモニターリングと主軸の熱変位補償システムなどの機能を確立したほか、顧客の操作利便性と製品カスタマイズの需要を満たすことを目的として、加工技術と数値制御プログラムを統合した。

5.台達電子
(デルタ電子)

 デルタ電子は2007年に工作機械用サボモータの開発を開始して、2012年に台湾初のサボモータ用CNC制御システムを開発した。同制御システムは高速・高精度であり▽高速タッピング▽彫刻フライス加工▽金型の生産▽機械部品の製造——などにも使用されている。

6.百徳機械
(クァサー・マシンツールズ)

 百徳機械の主要業務はCNCマシニングセンタと五軸切削加工機を含む高価格機種の製造であり、製品は高速、高剛性、高精度などの点で優れ、「台湾機械業界のロールスロイス」という異名を持つ。

 百徳機械は2010年に新しい技術サービスを導入して、顧客に加工及び機種選択の支援を提供するほか、▽製造プロセスの計画▽加工品のサンプル製作▽工具の選択▽治具の設計▽製作時間の予想——なども提供する。

機械業界-電機機械

2週間無料モニター募集中!

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。