ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム 会社概要 採用情報 お問い合わせ

コンサルティング リサーチ セミナー 在台日本人にPR 経済ニュース 労務顧問会員

【ワイズリサーチ】中国の発展が台湾工作機械業界に与える影響


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年6月5日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】中国の発展が台湾工作機械業界に与える影響

記事番号:T00062645

一.中国工作機械市場

 旋盤と工作機械に対する中国の需要は既に世界経済の助力になっている。また、産業の高度化により、中国工作機械業界は高度発展期に突入している。現在、中国は工業化のまっただ中にあるため、旋盤と工作機械に対する需要は農村建設と都市化に押し上げられ、機械業界と工作機械業界が最も迅速に発展する時期である。

 2009年の中国製工作機械の生産量は30.1%と世界一で、2013年における世界工作機械の生産額は順に、▽中国、246億米ドル▽ドイツ、146億米ドル▽日本、123億米ドル▽イタリア、57億米ドル▽韓国53億米ドル▽米国、49.5億米ドル▽台湾、45.3億米ドル——である。上記からわかる通り、工作機械に対する需要増により、中国の生産額は急速に伸び、世界一になったことが分かる。しかし、中国の工作機械は内需指向であり、輸出額は比較的少ない。13年における世界工作機械の輸出額は順に、▽ドイツ、104億米ドル▽日本、89億米ドル▽イタリア、45億米ドル▽台湾、35.4億米ドル▽中国28.6億米ドル▽スイス26.9億米ドル▽韓国、22.1億米ドル——であり、台湾は世界4位である。中国は世界一の工作機械輸入国であり、その輸入量は総販売量3分の1を占めている。



 中国工作機械産業は1990年から始まり、当時、関連産業の産業構造はまだ完備されていなく、生産コストを有効に抑制させることができなかったため、外資は積極的に中国製工作機械業界に進出できなかった。

 そして、材料調達に関する進展があったが、投資環境はまだ形成されていなかった。その後、関連産業メーカーの成長に伴い、台湾工作機械メーカーは台湾工場を主体としながら、中国に協力工場を設置し始めた。2000年から、米国、日本、台湾工作機械メーカーは相次いで中国工場の建設に注力し、中国工作機械業界もメーカーとの連携協力を通じて、技術を学びながら製造プロセスを短縮させ、中国を生産量世界一の工作機械生産国にした。例を挙げると、北京機電は18年前に日本放電技術と放電加工機の改良の開発を協力して行い、その間に、米国シンシナティの技術支援を受け、マシニングセンタの分野に手を伸ばした。同社は工作機械メーカーから機械の設計、カスタマイズサービスを提供する企業に進化して、世界中においても有名な工作機械メーカーとなった。

 中国には莫大な内需があるほかに、国家安全保障および産業開発を図り、政府は第十一次五カ年計画を実施し、工作機械産業の発展を通じて、農村の再構築と工業の革新を行っている。こうして、中国工作機械業界は迅速に発展し、中国市場における中国製工作機械の比率は、2005年に50%を上回ったほか、2009年に72.43%を記録し、2010年には68,96%を維持した。現在行われている第十二次五カ年計画は、工作機械と制御装置に関する自主技術の確保を目指し、産業の高度化を積極的に行っているほか、国内の精密機械産業を支援するよう代替政策を実施し、日本製品の代わりにドイツからミドル〜ハイエンド工作機械と技術を輸入している。中国は工作機械の年間生産額1,200億米ドルの目標達成に向けて、製品の付加価値を強化しているほか、工作機械の内製率を80%にまで向上させ、2015年にミドルエンドCNC工作機械・制御装置の内製率を40%に向上させるよう努力している。

二.中国が台湾工作機械業界に与える影響:ローエンド工作機械の需要減と進化

 台湾工作機械業界の最大輸出先は中国であり、対中国輸出額は総輸出額の35%以上を占め、特にマシニングセンタの対中国輸出額は総額の40%を上回っている。現在、ローエンド工作機械に対する中国の需要は急速に減速しており、13年に工作機械・部品に関する中国の輸入額は前年比16.7%減に縮小し、その中でも、マシニングセンタは同25%大幅減の後退を示した。同年、台湾工作機械業界の対中国輸出は総輸出の31.2%の8,970万米ドルで、前年同期と比べては7.0%増に伸びたが、ほかの製品は衰退が見られ、それぞれは▽マシニングセンタ、23.4%減▽旋盤、9.7%減▽研削盤、21.6%減▽ボール盤・中ぐり盤・フライス盤・タッピング盤、18.4%減——となったことにより、ローエンド工作機械に関する中国の内製率が上昇した。しかし、中国の工作機械輸入量が減少することはなく、日本・ドイツ・イタリア製マシニングセンタの対中国輸出量は10%以上成長した一方、台湾製マシニングセンタの対中国輸出量のみ11.4%減の後退を示した。現在、中国が輸入している工作機械は主にハイエンンド製品であること、工業化の進展に伴い中国の需要は変化が起きていること、工作機械に対するニーズも高度化されていることから世界の産業構成は新たな変化が起きると見られている。

 台湾は▽モジュール▽電子製造装置▽プラスチック機械▽木工機械▽研削盤▽成形機械——を含む分野で世界水準の技術を持っているが、国内市場が狭いため、産業の発展が限られている。台湾工作機械業界は産業再構築の課題に直面しており、今後は海外に拡大して移転する必要があるほか、世界製造業界が中国に寄っていることにより、中国の産業政策になった主要技術・装置に関する自主技術の向上に応じて、戦略を調整する必要がある。経済部の工作機械産業の報告によると、▽欧州の債務危機▽米国の景気不安▽中国の経済減速——は既に台湾機械・工作機械業界に影響を与えており、川下メーカーの工場建設意欲が縮小している。なお、中国は製品の付加価値と技術の向上を図るために産業再構築を行っており、各国政府もその政策に応じて産業の高度化を行っているほか、日本は通貨の切り下げによって、国際競争力を強化させている。また、中国、日本、韓国は2014年5月にFTA(自由貿易協定)を締結したが、台湾工作機械業界の主力製品であるマシニングセンタは、未だにECFA(両岸経済協力枠組協議)のアーリーハーベストリストに入れられていないため、工作機械メーカーの輸出競争力には大きな衝撃を与える恐れがある。

 台湾工作機械業界にとって、全体需要の減少および激化された競争を突破し、注文を獲得するために利潤を犠牲する窮地から脱出するという課題を一刻も早く解決するべきである。図1に載せているのは台湾工作機械業界が直面しているグローバル競争である。

三.台湾工作機械業界をスマートに進化

 競争戦略の学者であるCusumanoは、製造業の進化においてサービスは競争力の向上に繋がる重要な鍵であり、製品にサービスがあればあるほど競争力があることを2014年に発表した。例を挙げると、設備機器を調達する際に、▽融資▽賃貸▽延長保証▽メンテナンス——を含むアフターサービスの一貫体制があり、単品もしくは複数の製品を顧客ニーズに応じてカスタムソリューションを提供できる企業は、市場に占める地位を強化できるほか、顧客にとって価値がある企業である。

 製造業界のサービスはおおよそ三種類に分けられている。

1.一貫体制サービス:顧客に購入から使用までの支援を提供
 例を挙げると、賃貸、延長保証、技術の支援、基本操作訓の提供や、オンラインサポートセンターを通じて顧客とコミュニケーションをとることなどがある。

2.拡張サービス:製品と結びつけるカスタマイズの製造プロセスを提供
 顧客ニーズに応じて製品を設計する。顧客ニーズを把握できるよう、顧客とのコミュニケーションを通して、最適な製品を開発する。例を挙げると、オンラインサポートセンターを設置し、顧客の機械信号を遠隔収集してソリューションを提供することである。

3.代替サービス:製品の代わりにサービスを提供
 例を挙げると、システムとデータのインテリジェント処理、プログラムの強化、関連システムとプログラムの販売などがある。

 今後五年間、世界経済は更に複雑になり、工作機械の関連産業は発展が減速し、需要が減少するため、市場競争は激化され、環境は更に厳しくなる。工作機械業界は、工作機械完成機の設計・製造および関連サービスに向けて、インテリジェントサービスを開発する必要がある。また、中国の第十二次五カ年計画による産業再構築およびハイエンド製品製造業に繋ぐ莫大なビジネスに向けて、台湾工作機械メーカーは▽差異化▽自動化▽高品質の低価格製品——を含む競争優位性を通じて、新しい道を開拓した方がいいだろう。現在、中国工業は革新と競争力を求めて、その市場ニーズもミドル〜ハイエンドマシニングセンタに変化しているため、台湾機械業界と工作機械業界はこの変化に応じて、新たな戦略を考慮する必要がある。

機械業界-電機機械

2週間無料モニター募集中!

情報セキュリティ資格を取得しています

台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。