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【ワイズリサーチ】中国市場での劣勢を覆し、
台湾工作機械産業は切り口を作り出す


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年4月17日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】中国市場での劣勢を覆し、
台湾工作機械産業は切り口を作り出す

記事番号:T00062615

一.台湾工作機械業界の対中国輸出が鈍化

 2013年における台湾工作機械業界の輸出相手上位三カ国は中国、米国、タイであり、それぞれの国への輸出額と割合は▽中国、346.3億台湾元、輸出総額に占める割合は12年比13.3%減の32.7%▽米国、120.1億台湾元、同22.1%減の11.32%▽タイ、68.9億台湾元、同11.0%減の6.5%——である。また、ほかの主要輸出相手国は順にトルコ、ドイツ、インドネシア、ロシア、マレーシア、インド、韓国である(表1参照)。


 なお、中国の需要減少は台湾工作機械業界に大きな衝撃を与えており、中国政府は産業の高度化と製品付加価値の向上を意図して代替政策を行い、ローエンドとミドルエンド工作機械の輸入を抑え、日本製品に代わってミドルエンドとハイエンド工作機械をドイツから輸入しており、台湾工作機械業界に与える影響は継続している。

 そのため、製品付加価値の強化と中国市場における競争優位性の維持を維持するため、台湾工作機械業界は製品の精度を高め、多軸・複合工作機械を開発していく必要がある。

二.中国工作機械市場の輸入分析

 中国政府は新たな景気刺激策や政策支援を実施していないほか、デフォルト地方債は中国経済を鈍化させ、また欧米景気の不調は中国の輸出に悪影響を与えているため、2013年には中国の内需が停滞し、軟着陸の兆しが表れた。また、中国のオフィシャルデータによれば、13年に中国の経済成長率は12年比0.1ポイント減の7.7%であり、13年工作機械輸入額も12年比34.7%減の110.9億米ドルに落ち込んだ(図1参照)。


三.中国の工作機械ニーズ

 中国の工作機械は主に▽自動車・部品産業▽航空産業▽宇宙産業▽国防産業▽造船産業▽産業機械産業▽モジュール産業▽電力機器産業▽高速列車産業▽電子情報機器産業——など機器設備製造産業を中心としており、最近数年間では、機器設備製造産業に対する中国の需要が伸び続けたことで機器設備製造産業の生産能力が高まり、工作機械に対する中国の需要も急増している。従って、中国政府は機器設備製造産業を強化するため、まず工作機械産業を強化する政策を行い、第十二次五カ年計画と第十三次五カ年計画において、産業の構造調整を実施するようにしているほか、産業構造を調整してからの工作機械ニーズに応じて、ハイエンンドのCNC工作機械を全力で開発させている。

 そのため、台湾工作機械業界にとって、中国工作機械業界の動向とニーズに応じて、製品を開発することは必要不可欠である。次頁の表2は中国機器設備製造産業と工作機械ニーズである。


四.結論

 中国の需要低迷と産業構造調整が台湾に大きな衝撃を与えている一方で、自動車に対する需要は年々高まってきており、CNC工作機械を始めとする自動車部品用工作機械は広く使われている。これらの工作機械は主に▽高信頼性▽低故障率▽ユーザーフレンドリーのインターフェイス▽自動測定と補償システム▽自動材料補充装置▽モジュール化——などの利点を備える欧州、米国、日本製品であるが、価格は決して安くはない。

 中国の自動車・部品業界がフレキシブル製造に対するニーズに応じて、台湾工作機械完成機工場は良質なロボットアームと工作機械による自動化製造セル/自動生産ラインを、リーズナブルな値段で供給すれば、利益を創出できるはずである。短期的にシステムの開発力とキーテクノロジーを取得し、製品の使用範囲を拡大し、付加価値を強化するには、工作機械メーカーは専門技術を通じて自動車部品の製造工程を把握する必要があるほか、自動化装置の統合を通じて自動化製造セル/自動化生産ラインを確立しなくてはならない。

 機器設備の統合には、マシンツーマシン(M2M)や自動化装置と機器設備の接続を重要視する必要があるが、半導体装置の接続は主にSEMI(国際半導体製造装置材料協会)が制定したSECSI/IIあるいはGEMを採用しているのに対して、工作機械に関する通信プロトコルは少数先進国メーカーだけが制定している上に、その販売先の工場内しか使用できない。そのため、基本賃金上昇による中国の自動化という商機を掴むべく、台湾企業は工作機械のセンサーおよび関連自動化装置※の通信プロトコルを早急に制定して、中国自動車部品メーカーに自動化製造セル/自動化生産ラインを供給した方がいいだろう。ただ、IT(情報技術)技術力を基にして、ICT(情報通信技術)企業、工作機械メーカー、自動化装置メーカーが共に工作機械と自動化装置の通信プロトコルを開発するためには、業界、政界、学界の連携協力が必要である。(※ロボットアーム、無人運送車、自動倉庫など。)

 なお、中国市場の需要変化に応じて、台湾工作機械メーカーは新たな戦略を考える必要がある。技術力を中国業界で差を付けて、工作機械が世界市場にて競争優位を保つには、工作機械の加工精度と信頼性を向上させ、多軸・複合工作機械を開発する必要がある。

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