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【ワイズリサーチ】台湾工作機械業界の新商機
——ファクトリーオートメーション


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年5月29日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】台湾工作機械業界の新商機
——ファクトリーオートメーション

記事番号:T00062641

一.市場状況の変化

 台湾工作機械業界の主要輸出先は中国であるため、中国の需要低下と産業構造調整は当業界に大きな衝撃を与えている。中国では経済成長に伴って基本賃金が上昇しており、沿岸都市はコスト増加および労働力不足などの課題に直面している。これらの問題の解決策となるファクトリーオートメーションは、▽生産力の強化▽コストの低減▽品質の向上——も共に促進させることが期待できる。

 政府は新しい景気刺激策を打ち出さず、地方債の債務不履行も現れたため、中国経済はやや停滞してきている。そのほかに、欧米経済回復の遅れによって中国の輸出は成長しておらず、2013年の中国内需市場は減速および経済軟着陸の兆しを示し、工作機械の輸入額は前年比34.7%減の110.9億米ドルにとどまっている。

 また、中国の対台湾輸入額は2010〜2012年において15億米ドルほどを維持していたが、13年には12年比22.4%減の11.4億米ドルに衰退した一方、中国輸出入貿易統計によれば、2008〜2013年における中国工作機械市場には、台湾製品は11%ほどの市場シェアを誇っている(図1参照)。



 そして、13年中国市場における日本の占有率は12年比38.4%減と大幅に減少したが、ドイツが同18%増、台湾が同4%増、韓国が14%とそれぞれ増加傾向を示し、中国は日本製品の代わりに他国の製品を採用するようにしていることが分かる。

 なお、欧州の債務危機と米国の景気不安による外需市場の衰退に影響されて、中国工作機械業界は在庫過剰と生産過剰に陥り、そしてこれらの過剰製品は台湾の主要対中国輸出製品と重なっているため、台湾工作機械業界に影響を及ぼしている。

二.工作機械に対する中国のニーズと課題

▽自動車・部品メーカーの需要増加
 グローバル・インダストリー・アナリシス(GlobalIndustry Analysts, Inc.)の分析によれば、工作機械に関する中国自動車・部品メーカーの投入金額は、10年の144.2億米ドルから18年には380.4億米ドルまで成長し、その年平均成長率(CAGR)は12.9%にも達するという。また、2013年における自動車・部品業界に導入された工作機械は総額の49%も占めており、18年にはその割合が0.3ポイント増の49.3%に成長すると見られている。

▽製品と技術の不足
 中国企業は主に国外企業と合弁会社を設立、もしくは部分の機種を導入する戦略を行っているため、シリーズ製品の種類は不足しがちで、メーカーにとって選択性の欠如という欠点がある。現在、コスト削減および開発期間の短縮を図り、中国自動車部品メーカーはターンキーを提供するCNC工作機械メーカーを望んでいる。しかし、中国のCNC工作機械メーカーは、自動車部品の製造・開発に関する技術力が備わっていないほか、▽シリンダーブロック▽シリンダーヘッド▽クランクシャフト▽カムシャフト——に関するアジル生産システム(AMS)の経験が不足して、補助機械の開発力とシステム接続の設計力も欠けている。

▽輸入品への依存
 中国自動車部品メーカーにターンキーを提供しているのは、主に欧米と日本の企業であり、これらの設備機器メーカーは独自技術を持っているだけではなく、自動車の製造プロセスも重要視している。そのため、これらの企業はクライアントユーザにターンキーを提供する開発力を備えているほか、製品は高い信頼性があり、設備稼働率も98%を超えている。従って、これらの製品を購入するにもそれなりの金額が必要となり、中国自動車部品メーカーの負担となっている。

 以上の理由で、台湾工作機械完成機メーカーが現段階で中国自動車部品メーカーのニーズを満たすには、良質で低価格のロボットアームと工作機械による自動化機器、もしくは自動化生産ラインの提供が必要となってくる。

三.台湾工作機械業界の方向

 現在、少品種大量生産のニーズを満たすため、中国が必要としているのは量産ができるファクトリーオートメーションであり、そして中国企業にターンキーを提供するために、メーカーは工作機械を除き、ロボットアームを含む自動化装置を提供する必要がある。その他に、ハードウェアおよびソフトウェアを含む生産設備の接続も課題になっている。

 ターンキーを提供する工作機械メーカーには、▽機械▽電子制御▽プログラム——に関する技術力が必要とされているほか、クライアントユーザの▽製造プロセス▽器具▽技術▽管理——などの状況を把握する必要がある。なお、ハードウェアの接続を行う際には、各機械・ロボットアームメーカーが標準規格を踏まえながら製品を設計するように、機械の構成を考慮する必要もある。

 ソフトウェアの接続は、各機械と各制御装置がインターネットを通じて、コンピュータのMIS(経営情報システム)と結びつくことを指している。そのため、機械には通信機能と遠隔操作機能が必要となり、工作機械完成機メーカーは事前に通信規格を制定する必要がある。
 

四.結論

 自動車に対する中国の需要は年々上昇しているため、自動車業界には工作機械の導入が広がっている。台湾工作機械業界の完成機メーカーにとって、現段階で中国自動車部品メーカーのニーズを満たすには、ロボットアームと工作機械による自動化装置や自動化生産ラインが正解である。

 台湾は既にロボットアームと工作機械を統合する技術力を持っているため、工作機械の適用範囲の拡大と付加価値の向上を図り、メーカーは独自技術を開発して、自動車部品の製造プロセスを把握しながら、自動化装置と自動化生産ラインを確立してターンキーを提供する方向で注力するのがいいだろう。

 なお、中国における基本賃金の上昇および労働力の不足によるファクトリーオートメーションに関する商機を掴むには、台湾企業は中国自動車部品メーカーが必要とする自動化機器と自動化生産ラインを提供しながら、▽ロボットアーム▽自動搬送車▽自動倉庫▽工作機械▽工作機械のセンサー——に関する通信規格を先に確立した方がいいだろう。

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