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【ワイズリサーチ】14〜15年 台湾ロボット業界の産業動向


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2014年12月18日

機械業界 自動化・ロボット

【ワイズリサーチ】14〜15年 台湾ロボット業界の産業動向

記事番号:T00062762

一.業界の全体状況

 2013年12月に、米国の大手電子商取引企業であるアマゾンが、将来無人機を通じて配達するという計画を立てており、2015年に航空便サービスをスタートするという目標を宣言した。また、グーグル社は13年年末に、ロボット産業の企業を8社買収したほか、韓国政府も▽無人航空機▽ポータブルスマートデバイス▽ヘルスケアロボット——を含む研究開発を推進しており、ロボットが日常生活に占める割合が増えている。

 米国の市場調査・コンサルティング会社のMarketsand Marketsの資料によると、ファクトリーオートメーションに使用される産業用ロボットの市場規模は、2014年の250億米ドルから2020年の391億米ドルに伸び、その年の平均成長率は7.75%増になるという。また、産業用ロボットのアジア市場規模は、13年に世界市場規模の40%を占める90.3億米ドルから、年平均成長率8.50%増の伸び幅で、2020年に164億米ドルに膨らむと推測されている。


二.2014年における台湾ロボット業界の産業動向

1.デルタ電子が産業用ロボットをリリース
 デルタ電子はすでに生産ラインにスカラロボットを導入した実績があり、同社は14年に、オプションで自社開発の視覚認識システムの搭載が可能なセンサー付きスカラロボットを発表した。 デルタ電子の産業用ロボットは▽組立て▽接着剤の塗り▽はんだ付け——を含む部品の加工と曲げ加工に使用され、ターゲット市場は家庭用電気機械器具産業、プラスチック・ゴム産業、食品産業に広く渡り、予定発売時期は2015年である。

2.フォックスコンはロボットに関する戦略と展開を拡大
 フォックスコンはすでに産業用ロボットを生産しているほか、家庭用電気機械器具の自動生産ラインを設置する能力がある。なお、近年の基本賃金の成長により、製造業界の利益が縮小しているため、同社はロボットを開発する決意を更に固めた。

 2007年9月に、フォックスコンの子会社である賜福科技(フォックスナム)が設立され、その製品はCNC(コンピュータ数値制御)システムとサーボドライブシステムなどがあり、工業技術研究院と長年の技術協力を通して、同社は既に一定程度の市場競争力を備えている。現在、フォックスコンは米国、中国、台湾で、すでに600件程のロボット特許を保持している。

3.凌華科技がロボット市場への進出意欲を公開
 14年7月、産業用コンピュータメーカーである凌華科技(アドリンク・テクノロジー)は、ロボットの開発計画を公開した。同社は今後、ロボットの脳に当たる「制御装置」と目に当たる「ビジュアルガイドシステム」に関する開発を通して、産業用ロボット分野に進出し、工作機械とバス・トイレ・キッチン用ハードウェア産業に参入する予定である。

 また、凌華科技は工業技術研究院と連携協力して、3Dインテリジェントビジュアルアシスト測位システムを開発したほか、すでに高速の高解像度産業用インテリジェントカメラも開発している。

4.IT製品メーカーが相次いで自動化部門を設立
 多くの台湾IT(情報技術)製品・部品メーカーは、生産ラインの自動化技術を強化させ、利益を上げるために、自動化部門を設立している。

 例としてあげると、バッテリーの大手メーカーである新普科技(シムプロ)は、今後バッテリーのみでなく、自動化装置も会社の営業収益に好影響を与えていると発表した。同社は自動化装置の▽研究開発▽設計▽組立——を行い、自社で使用するだけではなく、今後は顧客にも出荷できるようになるという。また、和碩連合科技(ペガトロン)、正崴精密工業(フォックスリンク)、華碩電脳(ASUS)も、似たような戦略を行っていると見られている。

三.台湾ロボット業界の15年動向予想

1.ロボット生産システムの統合
 現在、台湾ロボット業界は既にロボットアームを工作機械と統合する技術を持っており、工作機械の活用範囲と製品の付加価値を向上させるために、自動化生産ラインを設置し、ターンキーソリューションを提供するようにしている。

2.ロボットに関するカスタム技術
 台湾ロボット業界は顧客ニーズを満たし、一流のロボット技術と製品を提供できるよう、▽ビジュアルサーボ▽柔軟把持技術▽無軌道AGV(無人搬送車)▽使い易いヒューマン・マシンインターフェイス——を中心とする研究開発と革新を行っている。

3.中国は台湾産業用ロボット業界の最大輸出国に
 自動化に対する中国の需要は世界一であるため、世界中の自動化装置メーカーは中国市場に注目している。2015〜2017年の三年間で、中国産業用ロボット市場の規模は、年平均成長率25%を上回る伸び幅で成長していくと予測されている。台湾は中国と同じく中国語を使っているため、台湾産業用ロボット業界の対中国輸出には有利に働くため、今後中国は同業界の最大輸出国になる可能性がある。

4.日本メーカーとの協力が更に緊密に
 日本円の切り下げの対応策として、台湾メーカーは付加価値が高い機械を開発しているほか、「MadeinJapan(メイド・イン・ジャパン、日本製)」を通じて競争力を向上できるように、日本メーカーとの協力および日本メーカーの買収を行う傾向がでている。上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)、友嘉実業(FFG)、程泰機械(グッドウェイ)などの企業は、すでに動き出しており、今後更に台湾と日本メーカーの提携は更に増えると予想されている。

四.台湾ロボット業界の切り口

 台湾ロボット業界はすでに、▽制御装置▽センサー▽アクチュエータ▽駆動装置▽サーボモータ▽トランスミッション部品▽マシンビジョン▽産業用コンピュータ▽ロボットアーム▽多軸ロボット▽デルタロボット▽スカラロボット▽直角座標ロボット——を含むサプライチェーンを持っており、一定程度の規模と優位性がある。

 今後二年間、台湾多軸産業用ロボットの設置数は、年間6,100台あると予想されており、年間20,000〜30,000の設置数があるアジア上位3位の産業用ロボット使用国である日本、中国、韓国と比べると、大きな差がついている。そのため、比較的リソースが少ない台湾企業は、カスタム技術を通じて差別化戦略を行う必要があり、ロボットメーカーと統合システムベンダーの提携協力も重要性が高い。

 また、先進国の高齢化問題がますます深刻になっているため、ヘルスケアへの需要が高まっており、高齢者をターゲットにするビジネスは今後商機になると見られ、台湾ロボット業界も▽移動支援機器▽在宅介護支援機器▽遠隔ヘルスケア——などを開発した方がいいだろう。また、教育・エンターテイメントロボットと家事用ロボットに対する需要も大幅に成長すると予測されている。

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