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【ワイズリサーチ】2015年第1四半期台湾自動車・二輪車産業の振り返りと今後の展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年5月21日

機械業界 自動車・二輪車

【ワイズリサーチ】2015年第1四半期台湾自動車・二輪車産業の振り返りと今後の展望

記事番号:T00062843

一、2015年第1四半期の概況

(一)業界全体
 まず自動車完成車だが、第1四半期は例年オフシーズンに当たるもの14年第4四半期から累積した受注があったこと、さらに春節(旧正月、15年は2月19日)が例年に比べて遅かったことから売上が伸びた。自動車完成車の生産額は537.4億台湾元で前期比2.9%減となったものの、前年同期比では8.4%増と小幅成長を示した。次に自動車部品は、全世界的に景気回復したことに加えて14年下半期は石油価格が下がったため米国市場での自動車売上が伸びた。さらに雪のシーズンが終わりメンテナンス需要が増加したことなどから、15年第1四半期の生産額は559億台湾元、前期比1.3%増、前年同期比6.5%増となった。中欧諸国、日本、ASEAN(東南アジア諸国連合)各国への輸入は安定して成長した。
 続いて二輪車は、15年第1四半期は気温が冷え込んだことに加えて、春節休暇があったことから売上は伸びなかったが、排気量125ccの車種と大型二輪車市場は安定を維持した。15年第1四半期の二輪車生産額は108.4億台湾元で前期比横ばいであった。最後に電気自動車・二輪車だが、3月にトヨタのカムリハイブリッドのモデルチェンジ版発売が控えていたことを受け、1月~2月の売上台数が伸びなかった。15年第1四半期の売上高は10.5億台湾元となった。

(二)製品ごとの分析
1.自動車完成車
 第1四半期は例年オフシーズンだが、2015年は14年第4四半期から累積した受注があったこと、さらに春節(旧正月、15年は2月19日)が例年に比べて遅かったことが追い風となった。モデルチェンジしたトヨタのカムリ、フォードのクーガ2.0TDCiといった台湾製の車種が発売されたことから15年第1四半期の生産額は537.4億台湾元で前期比2.9%減、前年同期比8.4%増となった。

2.自動車部品
 第1四半期は例年輸出のオフシーズンだが、全世界的な景気回復を受けて欧州、北米、日本、中国およびASEAN諸国への輸出が成長した。ライト、バンパーなどのゴム・プラスチック製部品、冷却器やラジエーター、ホイール、ブレーキシステムとディスクなど加工部品の生産額が増加し、15年第1四半期の生産額は559億台湾元で前期比1.3%増、前年同期比6.5%増となった。

3.二輪車
 2015年第1四半期の売上は前期と同じく低迷した。気温が冷え込んだことに加えて、春節休暇があったことから消費者の購買意欲が減退したためだ。しかし春節休暇後は中華汽車の電動バイクの売上が伸び、さらに排気量125ccの車種と大型二輪車市場で景気回復してきたため、3月の売上は安定を見せた。これにより15年第1四半期の生産額は108.4億台湾元で前期比横ばいであった。

4.電動自動車・二輪車
 2015年第1四半期は、3月にトヨタのカムリハイブリッドのモデルチェンジ版発売を控えていたことを受けて1月~2月の売上台数が伸びなかったことに加えて、電動バイクの売上が低迷したことが影響して業績はふるわなかった。幸い3月には中華汽車の電動バイクの売上が伸びたため、生産額が過去最低になることはなかった。15年第1四半期の生産額は10.5億台湾元であった。

二、2015年第1四半期 自動車・二輪車業界のニュース

(一)トヨタのカムリがモデルチェンジ、市場シェア拡大を狙う
1.説明
 2015年3月、トヨタのカムリがモデルチェンジ版を発売した。新たなモデルは最新のガソリン直噴エンジン6AR-FSE2.0、6速ティプトロニックトランスミッション、最高クラスのハイブリッド性能、LDA(レーンディパーチャーアラート)装備の車線逸脱防止支援システム、AHB(オートマチックハイビーム)、ACC(定速走行・車間距離制御装置)、PCS(プリクラッシュセーフティシステム)といった最新機能を搭載している。

2.影響
 台湾市場の中小型SUV(スポーツ用多目的車)と中大型車は価格帯が重なっている。SUVは視野と空間の広さに強みがあり、トヨタのウィッシュなど車内空間にゆとりのある車種は中大型車購入層にも人気だ。カムリは今回のモデルチェンジによって台湾の中大型車市場における地位を強化するだろう。このほか、2014年末には三菱自動車のアウトランダーもモデルチェンジを行い、カムリにも装備されているACC(アダブティブクルーズコントロールシステム)を搭載している。台湾ブランド自動車もこれに対抗する戦略を練り、スマート化を追求した台湾製自動車の強みを維持すべきだろう。

(二)瀚薪科技がSiC(炭化ケイ素)半導体を研究開発
1.説明
 瀚薪科技(Hestia Power)が自動車用SiC(シリコンカーバイド)半導体を研究開発している。2015年第1四半期には自社ブランドを持つ中国自動車メーカーと提携について協議した。

2.影響
 新エネルギーの自動車分野における応用は、インバーターとコンバーターの作業効率と冷却がポイントとなる。もしデバイスが高温の環境下でも安定した動作を維持できれば、よりシンプルな冷却設計を採用することができる。また小型化、軽量化も可能だ。SiC半導体は、従来のシリコンを用いた半導体より高い熱伝導性を備えており、高温の環境下における操作でも優れたパフォーマンスと高効率を実現することができる。

 瀚薪科技は台湾で初めてワイドギャップ半導体デバイスを研究開発した企業だ。650V 100Aおよび1200V 60AのSiC半導体ショットキーバリアダイオードデバイスの開発にも成功しており、これらは高効率モジュールに使用される。同社は北汽集団、北京新能源汽車、北京福田汽車、重慶長安汽車、北京長安汽車、北京長城華冠などの自動車メーカーと提携について協議している。

三、今後の展望

(一)第2四半期
1.自動車完成車
 第2四半期は例年ハイシーズンである。モデルチェンジした台湾生産の日産自動車エクストレイル、現代自動車の大型車SONATAとi10などに対する市場の反応は注目に値するだろう。第2四半期の生産額は587.8億台湾元、前期比9.4%増となる見込みだ。手頃な価格帯のモデルチェンジ車種が販売好調だった前年同期比と比較すると5.4%減となる見通しだ。

2.自動車部品
 第2四半期は北半球各国でオフシーズンとなる。北米とEU(欧州連合)各国からの需要減から輸出は伸びないだろう。一方でメキシコなどの中南米諸国、中国、ASEAN各国への輸出は成長し、第2四半期の生産額は548.7億台湾元、前期比0.5%減となる見通しだ。

3.二輪車
 第2四半期は内需回復に加えて、三陽工業(SYM)、台湾山葉機車工業(ヤマハモーター台湾)などの大手メーカーが新車を発売するため、売上台数は前期を上回る見込みだ。ヤマハは第1四半期にアイドリングストップシステムを搭載したスクーターCUXi ISの新型車種を市場に投入、第2四半期から業績に現れてくるだろう。また電動バイクGogoroが5月に発売される予定だ。このような注目を集める製品も登場し、第2四半期の生産額は135.3億台湾元となる見通しである。

4.電動自動車・二輪車
 トヨタのカムリハイブリッドがモデルチェンジすることで、電動自動車は販売台数の低迷から抜け出すことが期待できる。しかしモデルチェンジ版は装備が充実する分、価格も高くなることから市場にどの程度受け入れられるかは観察が必要だろう。報道によれば、販売台数目標は1カ月300台とのことだ。このほか電動バスも続々と導入される見込みで、台湾製の電動自動車の生産額は増加を続けている。第2四半期の電動自動車・二輪車の生産額は17.4億台湾元となる見通しだ。

(二)2015年通年
1.自動車完成車
 2015年は景気が回復して企業の利益も増加し、自動車販売市場も活況を迎える見込みだ。しかし原油価格の低迷に加えて、トヨタが全世界の輸出基地における生産能力の調整を実施することなどが台湾の中東国家に対する輸出業績に影響を与えると見られる。15年通年で業界は楽観しつつも保守的な態度を維持する見通しで、生産額は2,262.5億台湾元で前年比3.0%増となると予測される。

2.自動車部品
 2015年は北米、EU諸国、日本への輸出が安定して成長し、メーカー各社は積極的に市場開拓を進める見通しだ。また原油価格が安定し、自動車販売市場も好況を迎えるだろう。これにより15年通年の自動車部品の生産額は2,267.8億台湾元で前年比6.2%増となると予測される。

3.二輪車
 台湾の二輪車市場はすでに飽和状態にある。今後、年間販売台数は65万台前後を維持すると予測されているが、輸出は伸び悩むだろう。2014年下半期にメーカー各社が在庫消化を実施したため、今後在庫補充が行われてナンバープレート登録数が伸びる可能性がある。輸出においては、日本、コロンビア、ドイツ向けは現状維持、イタリア、スペイン向けも回復が期待できる。二輪車は輸出市場が成長のかぎであり、15年通年の生産額は507.7億台湾元となる見通しだ。

4.電動自動車・二輪車
 まず電動自動車だが、ハイブリッド車は貨物税の優遇措置が終了したものの台湾製ハイブリッド車は平均価格が比較的安いため打撃は少ないと見られる。また新たに「智慧電動車発展策略與行動方案(インテリジェント電気自動車の発展戦略および実施計画)」が実施され、PHEV(プラグインハイブリッドカー)とBEV(電池駆動電動自動車)もすでにいくつかのメーカーが取り扱いを始めている。これにより電動自動車市場に活況がもたらされることが期待きる。電動バイクは、政府による補助が実施されてから売上が伸び、2015年の売上台数は14年よりも安定する見通しだ。15年の電動自動車・二輪車の生産額は61億台湾元で前年比3.1%増となる見通しだ。

機械業界-自動車・二輪車

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