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【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業は中国と協力して商機の獲得を


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年9月3日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業は中国と協力して商機の獲得を

記事番号:T00062904

全世界の製造業で1人当たりの生産額成長率が緩やかになり、労働力不足、資源の限界といった挑戦が続く中、主要経済体はそれぞれ産業振興策を打ち出してこのボトルネックを解消しようとしている。スマート製造やロボット導入の推進といった方向性は全世界で共通しており、台湾の「生産力4.0」計画にも組み込まれている。これは台湾工作機械産業に新たなチャンスをもたらすものとなるだろう。
 オックスフォード・エコノミクスによる調査では、2015年における全世界の工作機械消費市場はプラス成長となっており、台湾工作機械市場も15年から17年にかけて成長率は5%以上となる見通しだ。工作機械市場は安定した成長が続き、今後が期待できる。

世界市場で重要な役割を担う台湾工作機械
台湾工作機械産業の生産クラスターは台中地区が中心だ。完全な生産体制を備え、川上のボールねじから工作機械の組立まですべてが可能だ。ボールねじの輸出では世界第三、マシニングセンターの供給では世界トップレベルで生産額は400億台湾元を超える。
 2014年における世界工作機械の生産額ランキングは、▽中国、238億米ドル▽ドイツ、130億米ドル▽日本、128億米ドル▽韓国、56億米ドル▽イタリア、51億米ドル▽米国、49億米ドル――であった。台湾は47億米ドルで世界第7位だった。また14年における世界工作機械産業の総輸出額は421億2,000万米ドルで、国別輸出額トップ3は、▽ドイツ、89億8,300万米ドル▽日本、83億9,700米ドル▽イタリア、38億2,900万米ドル――となった。この上位3カ国で総輸出額の5割以上を占めている。台湾工作機械産業の輸出額は37億5,300万米ドルでシェア8.9%、世界第4位であった。

台湾・中国における工作機械産業の密接なつながり
 2014年、台湾工作機械産業の10大輸出相手国は、▽中国▽米国▽トルコ▽タイ▽ドイツ▽オランダ▽ロシア▽インドネシア▽マレーシア▽インド――であった。このうち台湾の対中国貿易額は12億8,500万米ドル(前年比7.9%増)で、総輸出額の34.2%を占めた。
 対米国貿易額は4億1,500万米ドル(同3.0%増)で同11.1%、対トルコは2億800万米ドル(同18.6%増)で同5.6%となった。主要輸出先市場のほとんどが成長したが、タイとインドネシアは政治紛争などの国内情勢の悪化を受けて内需が低迷、台湾工作機械産業のこの2つの市場に対する輸出額はマイナスとなった。
 台湾工作機械産業にとって最大の輸出市場は中国である。輸出額が最も多い製品は研削盤で、輸出シェアは6割近くに達している。次に多いのがドリリング、ボーリング、ミーリング工作機械で約5割を占める。対米国輸出は中国に次いで多く、旋盤、シェーピング、ソーイング、ギアリング工作機械が中心でいずれも12%以上を占めている。中国および米国市場のニーズを把握することは、台湾工作機械産業の景気を左右するかぎなのである。
 工作機械部品では、昨年の台湾工作機械産業の最大輸出相手国は中国で、輸出額は7億2,900万米ドルで輸出比重は56%であった。多くの製品の輸出比重がいずれも50%を越えた。次いで、▽日本▽米国▽韓国▽ドイツ▽イタリア――で、これら5カ国の合計で輸出比重の25.1%、1位の中国を加えた6カ国で、台湾工作機械部品産業の総輸出額の約8割を占めている。
 また中国工作機械産業の輸入相手国については、2009年と13年にドイツに抜かれた以外、日本が中国にとって最大の輸出相手国である。台湾は日本、ドイツに続く第3の輸出相手先だ。

台湾・中国が協力し第三勢力に対抗
 台湾と中国の工作機械産業が目指す提携の方向性は3つある。まず、台湾工作機械産業はミドル~ハイクラス機種と多軸複合加工機に注力し、その研究開発、製造のスマート化を推進することによって自動化能力や加工の品質と効率向上といった製品の付加価値を高め、未来の工場自動化、スマート化のニーズに対応すべきである。ミドル~ハイクラス工作機械の研究開発により大型ダブルコラムマシニングセンターの生産を進め、中国における鉄道、軌道、風力発電産業のニーズに応える。複合式の作業を行う工作機械によって少量かつ多様な市場需要に応え、加工時間の短縮し、機械が占める空間を縮小する。
 次に、制御装置の自主生産能力を高めることだ。台湾と中国におけるロークラス制御装置の応用市場を拡大し、ミドル~ハイクラス制御装置に必要な情報と経験を積み重ね、ブランドを確立する。ミドルクラス(三軸~五軸)制御装置によってファナックなど海外メーカーからシェアを獲得し、ECFA(両岸経済協力枠組協議)における「対象品目の原産地規則(PSR)」の影響を緩和することを目指す。
 このほか、スマート化を進めて中国市場の莫大なニーズを獲得する。工作機械とロボットアームのセル生産ライン自動化を結合させ、台湾の自動化設備、工業用ロボット、工作機械産業が一丸となって高付加価値を生む「製造業のサービス化」を推進する。
 台湾工作機械産業はすでに国際市場において重要な立場にある。しかし中国メーカーの低価格戦略に対抗するため、台湾は既存のマシニングセンター市場で多軸化を進めるべきだろう。五軸マシニングセンターなど多軸複合化を進め、スマート型、超小型の工作機械生産を目標とすべきだ。このほか、上に述べた3つの方向性と中国の工作機械産業が掲げる五大目標を考慮し、台湾工作機械産業のレベルアップ、世界の輸出市場でのシェアと地位をさらに確固としたものにすることが期待される。

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