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【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業の業績と主要企業の概況
——2014年


リサーチ 台湾事情 その他 作成日:2015年10月8日

機械業界 電機機械

【ワイズリサーチ】台湾工作機械産業の業績と主要企業の概況
——2014年

記事番号:T00062924

 雑誌『天下』が行った2014年における台湾主要企業2,000社を対象にした「経営と実績50強」は、過去3年間の売上高成長率、税引後純利益成長率、自己資本利益率などの指標を基に各企業の業績を評価し、安定性と成長力を兼ね備えた最も投資価値のあるトップ50の企業を選出する調査だ。選出された52社のうち41社が製造業で、残りにランク入りしたサービス業と大きく差をつけた。

 2013年は台湾と中国の工作機械産業の競争が激しく、工作機械メーカーは1社もランク入りしなかった。しかし14年は台湾麗馳科技(リッツ・ハイテック)が売上高47億8,900万台湾元、成長率52.03%で42位に入った。これはスマートモバイル装置(スマートフォン、薄型ノートPC)のデザインに金属筐体が使われることが増えたため、CNC高速タッピングセンターの需要が増加したことが要因だ。同じく筐体メーカーの可成科技(キャッチャー・テクノロジー)も28位に入った。

 2014年、1,000社を超える製造業の総売上高は27兆9,166億台湾元で前年比4.36%増、平均利益率は4.88%と上昇した(表1参照)。

 『天下』の調査によれば、2014年の各企業の利益率トップ50社に純粋な工作機械大手メーカーは入っていない。

 
自動化設備部品のひとつである空圧機器の大手である亜徳客国際集団が利益率21.14%で48位となった。中国の「中国製造2025」がスタートしてから自動化設備に対する需要は高まっている。中国市場のニーズ増加が同社の成長動力となっており、同社売上高の85%を占めている。15年も恩恵を受けることが期待できるだろう。

 税引後純利益のランキングには、▽可成科技、14位(178億77万台湾元)▽鴻準精密工業(フォックスコン・テクノロジー)、28位(94億200万台湾元)▽鎧勝控股、42位(49億2,400万台湾元)――など、CNC工作機械、自動化設備を多く使用する金属加工機筐体メーカーのほとんどがランク入りした。サムスン、小米などアップル以外のスマートフォンが一体成形タイプの金属筐体を採用するようになったため、今年アップルを除く各社の金属筐体の総生産額は前年比140%増、43億米ドルに達する見通しだ。またアップルのiPhoneも119億米ドル、同16%増となると見られる。このほかのモバイル機器(超薄型ノートPC、タブレットPC)、ウェアラブル機器などの好況に対応して金属筐体産業の生産量が増加すると見られ、これがCNC工作機械の需要を押し上げることになるだろう。

 アップル陣営では、鴻海科技集団(フォックスコン)が今年6万~6万5,000台のCNC工作機械を新たに増設する予定で、これは主要競合他社の2万5,000~2万6,000台の2倍以上となる。もし今年下半期の発売される「iPhone6S」の筐体が6061アルミニウムから7000シリーズアルミニウムへランクアップされるなら、CNC技術はより複雑になり生産周期が長くなるため、金属筐体の平均販売価格(ASP)が高くなる。これは筐体メーカーの下半期業績に追い風になるだろう。

 『天下』が調査した製造業1,000社のうち、工作機械および部品の関連メーカーは約40社あった。このうちランキング首位だった友嘉実業集団(フェアフレンドグループ)は1980年に行った台湾麗偉の買収を皮切りに、企業買収による事業規模の拡充を図っており、グループの連結売上高は目覚ましい成長を続けている。さらにグループ内企業の相互協力によって生産能力、製品、販路などの面でも新たな強みを生み出し、多くの製品ブランドを擁して異なるさまざまな市場で事業を展開している。

 今年、友嘉実業は台中市南屯区の新生産拠点を稼働開始し、2022年における工作機械事業の売上高目標を1,000億台湾元とすることを発表した。このうち120億台湾元を台湾、280億台湾元を中国、600億台湾元を海外子会社からの売上とする計画だ。その時点で同グループによる工作機械の年間生産台数は30,000台に達する見込みで、生産額と生産能力で世界工作機械メーカートップとなる。また同グループはさらなる大企業買収の資金を集めるため、17年末に工作機械事業群の全世界の子会社を1社に統合し、18年に台湾で上場する計画だ。

 上銀科技は重要部部品を扱う大手メーカーだ。ボールねじ、リニアガイド、工業用ロボットが三大主力製品で、今年上半期の受注と生産量も非常に多かった。ロボットの組立専用生産ラインが稼働開始し、受注量に対応できるようになっただけでなく、医療サービス型ロボットも販売好調で、今後の業績成長の動力となるだろう。また同社は最近、陸聯精密(ルーレン精密)を買収しロボット製造工程を完全なものにした。

 上銀科技は自社ブランドの展開だけでなく研究開発にも注力し、広く人材を基礎工業に投入している。これは比較的規模の小さい工作機械産業において、研究開発の負担を分担することになっている。昨年発表した最新のダイレクトドライブモーターは、台湾で研究開発されているハイクラス五軸マシニングセンターのコスト削減を実現するものだ。また今年は「オリジナルクリエイションサービス」計画を始動、ロボットアームと高速ミリング複合機を統合を目指す新たな研究開発に着手した。6月からは中国企業からの権利を取得して量産を開始、来年初めに出荷予定だ。スマートフォン生産ラインと自動化の関連問題の解決に助けとなるだろう。

 東台精機は早くから戦略提携を進めている。栄田精機、亜太菁英、譁泰精機などと協力し、生産ラインの完全性と専門性を高め、完璧なターンキーソリューションを提携している。同社は今年、フランスのプジョーシトロエン(PSA)グループ傘下の工作機械メーカーPCI-SCEMMを買収した。これは同社にとって初めての海外企業買収だ。PCI-SCEMMとの技術交流、そして欧州とアジアにおける販路の共有によって、東台精機は今年の売上高100億台湾元を目指す。さらに来年第2四半期には路竹科学園区(高雄市)の新工場が稼働し、2020年には売上高200億台湾元を実現し、工作機械メーカーの世界トップ20入りを目標としている。

 今年創業40周年を迎える程泰集団は長期にわたって世界の自動車・二輪車産業、エネルギー産業、空圧・油圧設備、航空・防衛、医療器材、コンピュータ・家電産業に製品を供給している。同社売上高の25%は中国市場の自動車・二輪車、レールなどの関連産業からの受注で、傘下の工作機械メーカーはこの恩恵を受けている。今年はさらに「三本の矢」として、台湾・中国での生産拠点拡大、ハイクラス航空宇宙設備産業への進出、日本工作機械メーカーの買収計画があり、さらなる事業拡充に向けて準備を進めている。

 台湾工作機械産業が中国、日本、韓国の競合他社に対抗するため、航空宇宙産業は次なる突破口となるだろう。程泰集団傘下の亜イ機電(イは山かんむりに威、AWEA)は高鋒工業(kafo)、協鴻工業、喬イ進(イは山かんむりに威)、福裕事業、友嘉事業(フェアフレンドグループ)、中興電工(CHEM)など12社と共同で「高価値化航空宇宙クラス加工設備研究開発連盟」を立ち上げた。これには工業研究院、漢翔航空工業(AIDC)も協力しており、航空宇宙クラスの立形五軸マシニングセンター、門形マシニングセンター、立形ミリング複合機など新製品の研究開発、さらに顧客による検証を行っている。

 近年行われた友嘉実業、東台精機、上銀科技など大手企業による台湾・海外企業の買収は成功を収めている。買収を通じて事業規模の拡大、製品競争力の強化などを短期間に実現することができる。程泰集団はこれにならい、日本の工作機械メーカー買収計画を進めている。「Made in Japan」のブランド競争力による成果が今年末には出る見通しだ。

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