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【ワイズリサーチ】台湾医療器材産業の現状と展望



リサーチ 台湾事情 作成日:2015年11月19日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾医療器材産業の現状と展望


記事番号:T00062948

一、2015年Q3概況(全体)

 台湾医療器材産業の2015年第3四半期生産額は246億台湾元と、需要期に当たったこともあり、前期比8.8%増、前年同期比7.2%増を記録した。うち補助・補填医療器材産業の成長率が最も高かった。またコンタクトレンズ、血糖値測定器、行動補助具といった主力製品が好業績を維持した他、カテーテル、整形外科用器材、超音波検査装置など将来性の高い製品が成長をけん引した。

二、2015年Q3概況(分野別)

1.診断・測定用医療器材

 診断・測定用医療器材産業の第3四半期生産額は、前期比15.1%増、前年同期比0.4%増の22億9,000万台湾元となった。うち血圧計、聴診器、体温計などを主とする生理検査用器材は市場の競争が激化しているものの、需要期を迎えたことで各製品の輸出が好調となった他、一部メーカーが技術力の向上を図り、ハイエンド製品を相次いで出荷したことが生産額成長につながった。一方、超音波検査装置を中心とする医療用撮影装置は、超音波プローブ(探触子)や検査装置本体などが一定の輸出額を維持したものの、比較対象となる昨年の数値が高かったことから前年同期比では小幅な成長にとどまった。

2.手術・治療用医療器材

 手術・治療用医療器材産業の第3四半期生産額は51億4,000万台湾元となった。国際商品統一分類(HSコード)の「9018(医療用又は獣医用の機器)に属するその他物品のパーツ・付属品」、「歯科用機器・器具のパーツ・付属品」が前期比成長を維持した一方で、呼吸器関連や一部将来性の高いと見込まれる製品で輸出が振るわなかったことから、生産額全体としては前期比横ばいとなった。ただ、前年同期比では7.0%の成長を記録した。

 なお同分野の同期輸出額は前年同期比13.8%増加した。低侵襲手術が普及する中、「9018に属するその他物品のパーツ・付属品」のうち手術器械、電気外科手術用付属品、および「歯科用機器・器具のパーツ・付属品」といった関連製品がまずまずの成長を維持したことがプラス成長につながった。また米国を主な輸出先とする理療あんま器具の第3四半期輸出額は5%近い成長を記録した一方で、呼吸治療製品およびその他眼科用機器の輸出は小幅なマイナスに陥った。

3.補助・補填用医療器材

 補助・補填用医療器産業の第3四半期生産額は、コンタクトレンズの輸出が好調を維持したことで前期比7.5%増、前年同期比14.7%増の75億台湾元を記録。台湾医療器材産業全体の成長を支えた。

 コンタクトレンズは当産業にとって主要な輸出品目の一つに成長している。主な輸出先は日本となっており、同国向けが全体の70%近くを占めている。使い捨てコンタクトレンズは常に交換が必要となるため、他の新興国市場に比べ日本市場は飽和状態にあるものの、毎年安定した需要が確保されている。

 また中国市場における需要も急速に成長しており、日本以外では最も注目を集める市場となっている。同市場の開拓を続ける台湾メーカーは徐々に成果を挙げており、同国向け輸出額も前年同期比で大幅に増加した。

 この他、世界で高齢化が急速に進行する中、行動補助具、身体補填器具の需要が高まっており、電動車いすや電動カート、関連部品といった行動補助具関連品目の輸出額は第3四半期、前年同期比10%近い成長を見せた。身体補填器具のうち、人工関節は中国、米国市場の開拓が奏功、脊椎インプラントやその他部位の補填器具の輸出も好調で、同産業の今年の成長をけん引している。

4.体外診断用医療器材

 体外診断用医療器産業の第3四半期生産額は前期比17.2%増の42億1,000万台湾元となった。同産業の輸出額の75%近くを占める血糖値測定器、血糖試験紙といった血糖値検査関連製品が好調だった。

 血糖値検査製品は欧米市場の景気が徐々に回復を見せ、コストパフォーマンスの高い製品に対する需要が高まったこと、さらに新興市場での展開に効果が表れてきたことにより前期に引き続き安定した成長を見せた。同製品の第3四半期輸出額は前期比で2けた近い成長、前年同期比でも増加を記録した。

5.その他医療器材

 その他医療器材産業の第3四半期生産額は、プラスチック消耗品、カテーテル、医療用家具といった主力製品がいずれも成長を記録したことから前期比12.1%増、前年同期比5.2%増の54億8,000万台湾元となった。

三、今後の見通し

 当産業では第4四半期に非需要期を迎えるものの、各分野の主力製品および高い将来性が見込まれる製品が成長をけん引する形で全体の生産額は235億台湾元を維持すると予測される。

 なお2015年を通じて見ると、コンタクトレンズが台湾医療器材産業にとって成長のけん引役となっており、今後も引き続き産業全体の生産額成長に貢献すると期待される。また欧米市場における需要回復、世界的な高齢化の進行をうけて行動補助具や整形外科用器材で引き続き輸出成長が見込まれる他、血糖値検査関連製品も昨年に比べ回復傾向にあるため、当産業の15年通年の生産額は923億台湾元となり、前年比6.8%の成長を記録すると予測される。

四、業界の重要トピック

1.政府によるバイオエコノミー推進

 今年9月9日、「行政院バイオテクノロジー産業戦略諮問委員会着(BTC)」の閉幕式において毛治国行政院長は、政府は今後、「台湾バイオエコノミー産業発展プラン」推進を通じ、▽医薬品・サービス▽医療器材・サービス▽健康・介護▽食品▽農業――の5大産業の発展を図り、2020年に経済規模を3兆台湾元に引き上げることを目指すと表明した。医療器材分野についてはICT(情報・通信に関連する技術の総称)、精密機械、材料の各産業を統合し、スマート型健康サービスの発展を図ることで医療器材の高付加価値化を進め、さらなる経済効果を発揮させたい考えだ。これにより今後5年で複合成長率8.4%、生産額の2,000億元突破、2社以上の世界的ブランド企業育成の達成を目指す。

 

2.影響分析

 バイオエコノミーを推進する上で、イノベーションとビジネス活動を通じていかに経済効果を生み出し、関連投資の増加、就業率上昇、経済成長につなげていくかが重要となる。台湾では長年にわたり医療器材分野に対する投資が行われた結果、一定の競争力が蓄積され、産業発展に向けた環境が整ってきている。今後は「バイオエコノミー産業発展プラン」を通じて異なる分野の統合、連携を進め、技術、人材、法律、インフラ、投資を一つながりとすることで産業全体の付加価値向上を進める必要がある。

 医療器材産業のテーマは既に、従来の疾病治療から早期予防へと移行しつつあり、IT(情報技術)と結びついたスマート化が、各国が産業発展を目指す上での主流となっている。台湾では医療・健康サービス、製品メーカー、システムインテグレータの分野を超えた提携を促進し、サービスが製品の販売を促し、さらに多くのバリューチェーンを生み出す状況につなげていくべきと考えられる。

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