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【ワイズリサーチ】台湾機械産業の概況とトピック——
2015年第3四半期



リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年12月10日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】台湾機械産業の概況とトピック——
2015年第3四半期


記事番号:T00062960

一、2015Q3の産業概況

 2015年第3四半期における台湾機械産業の生産額は2,434億台湾元で、前期比4.6%減、前年同期比5.7%減となった。15年第4四半期の生産額は2,355億台湾元で、前期比3.3%減と予想され、15年通年の生産額は9,680億台湾元で前年比0.5%減の小幅減少となる見通しだ。


1.工作機械

 2015年第3四半期における工作機械の生産額は336億台湾元で、前期比11.3%減、前年同期比13.5%減となった。15年は世界経済が落ち込み、とくに中国の景気後退は輸出と中国市場に依存する台湾の工作機械産業に打撃を与え、生産額は13年の水準まで落ち込んだ。また米国の景気回復も予想を下回ってメキシコへの設備投資が減少しており、欧州もギリシャ債務問題の影響を受けている。世界の主要経済体の景気はいずれも楽観できない状況で、東ヨーロッパや東南アジア諸国連合(ASEAN)などの新興国家にもその影響が及んでいる。さらに円安、ユーロ安、ウォン安の影響を受け、工作機械産業は厳しい価格競争を強いられている。このような各要因により、15年通年の生産額は前年比10.4%減の1,352億台湾元と予測されている。

2.ハイテク生産設備

 2015年第3四半期におけるハイテク生産設備の生産額は325億6,000万台湾元で、前期比2.7%減、前年同期比0.1%増となった。国際半導体大手メーカーのインテルが設備投資額を二度にわたって下方修正し、これに続いて台湾積体電路製造(TSMC)も設備投資を減少させたことが半導体設備メーカーの売上高に影響を及ぼした。帆宣系統科技(マーケテック・インターナショナル)、致茂電子(クロマ)、漢微科技(エルメス・マイクロビジョン、HMI)の売上高はそれぞれ3.2%増、7.8%減、54.5%減となり、小幅成長あるいは大幅減少となった。今年の半導体産業は上半期は好調だったが、下半期に入ってからその勢いが弱まり、半導体設備産業もその影響を受けた。ただ、中国で次世代ディスプレイメーカーへの投資が続いているため、関連メーカーの売上高は大きく伸びている。均豪精密工業(ガラント・プレシジョン・マシニング、略称GPM)、陽程科技(USUNテクノロジー)、東捷科技(コントレル・テクノロジー)の売上高はそれぞれ36.5%増、21.8%増、14.1%増とそろって成長した。各社生産額の増加と減少を受けて、ハイテク生産設備の生産額は前年同期比0.1%増となった。

3.産業機械

 2015年第3四半期における産業機械の生産額は465億5,000万台湾元で、前期比3.3%減、前年同期比7.3%減となった。15年通年の生産額は1,866億8,000万台湾元で、前年比3.1%増の小幅成長と予想されている。このうちゴム・プラスチック加工機械、縫製機械の生産額が最も成長し、次いで木工機械、紡織機械の伸びが大きくなる見通しだ。一方、化学工業機械、製造プロセス機械の生産額は減少傾向にある。

4.運搬および自動化機械

 2015年第3四半期における運搬および自動化機械の生産額は110億7,000万台湾元で、前期比3.4%減、前年同期比8.3%減と予想されている。主な要因は、本産業の生産額がこの数年間ですでに頭打ちになっていることに加えて、運搬設備や自動化設備は耐久性が高く、需要の伸びが緩やかになっているためで、このような状況下で大幅成長の可能性は低い。今後は労働密集型産業の自動化、「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」などの政策実施に頼るほかない。15年通年の生産額は緩やかな成長を維持し、前年比0.6%増の483億8,300万台湾元となる見通しだ。

5.伝動機械ユニット

 伝動機械ユニットはベアリング、ボールねじとリニアガイドなどを含む。第3四半期は世界経済の回復が予想を下回ったことに加えて、中国における需要減の影響を受けたため、生産額は前期比12.1%減の120億台湾元にとどまった。しかし中国をはじめとする新興経済体では賃金が上昇、人口ボーナス期も終了するため、自動化設備へのニーズが成長すると予想されている。これを受けて15年通年の生産額は前年比7.3%増の518億9,000万台湾元となる見通しだ。

6.その他機械

 その他機械は、製靴機械、缶詰生産機械、事務機械などを含む。2015年第3四半期の生産額は717億9,000万台湾元で、前期比4.7%減、前年同期比2.3%減となった。ただ日用品の生産と深く関わる製品であり、景気変動の影響は相対的に少ないため、15年通年の生産額は前年比2.2%増の2,805億台湾元となる見通しだ。

7.金型産業

 2015年第3四半期における台湾金型産業の生産額は149億8,000万台湾元と予想され、前期比5.1%増、前年同期比4.2%減となる見通しだ。内需規模は109億台湾元で、前期比5.3%増、前年同期比5.0%減となった。貿易について、15年第3四半期の輸入額は12億8,000万台湾元で前年同期比横ばい、輸出額は53億6,000万台湾元で同3.3%増となった。



二、2015Q3のメーカー動向とトピック

(一)DMG森精機、オークマなどの日本工作機械メーカーがローエンド製品を増産、ミドル~ローエンド市場に進出


1.概要:オークマは台湾の大同グループ(TATUNG)の提携企業で、両社は1997年7月に合弁会社「大同大隈股份有限公司」(TATUNG−OKUMA)を設立した。同社は各種CNC旋盤、CNC複合加工機、手動平面研削盤などの生産を行うほか、オークマ製品の代理販売を行っている。中国、韓国メーカーの低価格戦略に対抗するため、16億円を投資して2015年中に台湾に新工場を設立し、「プレミアム・エコシリーズ」の小型旋盤や立型マシニングセンターなどの生産ラインを既存の台湾工場から新工場に移設する。これにより月間生産能力は5割増の300台に達する見通しだ。また、DMG森精機は設備稼働率向上のため、千葉県、ポーランド、中国、米国の各工場で低価格機種「エントリーモデル」を生産し16年度に年間生産量を3割増の4,000台まで引き上げることを目指す。また価格も同社の一般製品平均価格(約2,500万円)の6割以下に抑える。この2社の製品は主に自動車、航空宇宙および一般機械部品の製造産業で応用される。

2.今後の影響:ここ数年間、新興国家の製造業は発展を続けている。新興諸国における現段階の生産形式はコスト重視で、高い加工精度は要求されない。そのため工作機械は品質や精度より価格重視であり、ローエンド工作機械への需要が目覚ましく成長している。これを受けて、日本工作機械メーカーは低価格のミドルエンド製品で新興市場のミドル~ローエンド工作機械のシェア拡大を狙っている。台湾メーカーはミドル~ローエンド工作機械を主に生産しているため、この日本メーカーの動きは新興国家市場における台湾製品のシェアに影響を及ぼすだろう。台湾メーカーは現地市場のニーズを満たす機種の開発と同時に、製造工程を改良してコストダウンを図り、製品のコストパフォーマンスを高めるべきだ。またミドル~ローエンド機種の低価格化と製造業のサービス化を掲げて、新興国家市場のシェア獲得に努力すべきだろう。

(二)半導体設備大手メーカーが台湾で半導体設備メンテナンスセンター設立を計画


1.概要:2015年9月2日に開催された「2015年台湾投資サミット(Taiwan Business Alliance Conference)」で、世界第3位の大手半導体設備メーカーであるラムリサーチが基本合意書(LOI)を締結し、台湾に海外初の半導体グローバルメンテナンスセンターを設立することを承諾した。将来、世界の中古半導体エッチング設備は10台のうち1台が台湾で整備されることになる。また、米国半導体設備サプライヤーのS-Cubedは約10億台湾元を投資して台湾にアジア本部を設立し、半導体メンテナンス業務を行う予定だ。

2.今後の影響:これまで台湾は世界最大の半導体設備市場であった。しかし半導体製造の前工程設備への参入障壁は高く、欧米、日本など少数メーカーの独占状態であるため、台湾は年間3,000億台湾元以上の半導体設備を輸入している。ラムリサーチやS-Cubedなどが台湾で半導体設備メンテナンスセンターを設立すれば、顧客により多くの選択肢を提供できるだけでなく輸出額の増加も期待でき、さらに半導体サプライチェーンに設計、生産、メンテナンス能力を確立することができるだろう。

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