(一般公開)2016年における産業用機械製造業の景気予測


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年12月24日

機械業界 機械設備・部品

(一般公開)2016年における産業用機械製造業の景気予測

記事番号:T00063472

一、2015年全体の振り返り
 台湾の産業用機械製造業は輸出中心であるため、世界経済の動向に影響を受けやすい。2015年に入ってから世界経済の成長は停滞し、欧州連合(EU)の景気回復も緩やかであった。さらに日本の内需不振に加えて、中国経済の低迷と賃金上昇、輸入代替政策の実施が台湾機械産業に打撃を与え、15年上半期における本産業の輸出に悪影響をもたらした。一方で、米国経済の安定した成長が続いていること、台湾メーカーが生産拠点を中国から東南アジア諸国連合(ASEAN)地域に移転していることが、本産業の米国およびASEAN市場における業績の追い風となった。
 台湾市場における需要規模については、2015年に入ってからユーロ安、円安およびウォン安が台湾の輸出競争力に打撃を与えていることに加え、中国のレッドサプライチェーンと輸入代替政策の実施も多くの台湾産業にとって脅威となった。その結果、15年1~7月における台湾製造業の工業生産指数は1.81%増の小幅成長を維持できたものの、製造業の多くの産業で工業生産指数が低下した。
 また15年第2四半期の経済成長率はわずか0.52%であったため、第3四半期も横ばい成長にとどまると予想される。これは多くの産業の設備需要に影響するだろう。15年下半期における製造業の工業生産指数はさらに下落し、本産業の台湾市場における販売業績に悪影響をもたらす見通しだ。


 2015年上半期、台湾経済の成長は予想を下回った。海外受注は減少、製造業の工業生産指数も低下したことから、台湾製造業各社は投資に対して様子見に転じ、本産業の内需は縮小した。一方、台湾の製造メーカーがコストダウンのために台湾企業から設備を調達するようになったことが本産業の内需拡大につながった。また米国製造業の国内回帰、台湾メーカーによる中国生産拠点の東南アジア諸国連合(ASEAN)移転を受けて、15年1~6月の生産額は前年同期比13.59%増の1,156億3,900万台湾元となった。輸入額は内需低迷の影響を受けたため、15年1〜6月は同9.10%減の1,997億5,500万台湾元、輸出額は米国およびASEAN地区からの需要拡大を受け、同5.12%増の960億8,100万台湾元であった。15年下半期は台湾の経済成長率が横ばいにとどまるとみられ、さらにメーカー各社が第2四半期に増加した在庫の消化措置を行う見込みだ。このように台湾・海外での需要が低迷していることを受け、15年下半期は生産額、輸出入額の成長率はいずれも低迷する見通しだ。しかし、上半期の生産額は前年同期比で1割以上成長したため15年通年の生産額は小幅成長を維持し、景気信号は横ばいを示す「青」になると予測される。
 メーカー各社の業績について、2015年上半期における台湾機械産業の生産額は成長したものの、主要上場・公開店頭企業の売上高はそろって小幅減少となった。これらの企業の大半は電子設備メーカーで、15年は台湾電子設備メーカーの業績は二極化した。比較的売上規模の大きいメーカーの業績が悪化したため15年1~8月における主要上場・公開店頭企業全体の連結売上高は前年同期比0.63%減の401億7,300万台湾元となった。また原材料価格の下落を受けて本産業の上半期における粗利益率は24.06%へ上昇したものの、営業コストの増加により営業利益は同8.06%減の19億9,500万台湾元にとどまった(表1参照)。

 各メーカーの業績について、高林(SIRUBA)は中国アパレル産業が生産拠点の海外移転を進めていることから、工業用ミシン機械の需要が減少した影響を受けた。また伸興工業は欧州連合(EU)地区の経済減速、さらに過去長期にわたって業績が好調であったため比較対象となる数値が高くなっていることから成長率は伸び悩んだ。2015年1~8月における高林と伸興の連結売上高はそれぞれ17億5,000万台湾元(前年同期比7.48%減)、39億3,500万台湾元(同0.81%減)となった。新麦企業も景気低迷のあおりを受け、中国市場でベーカリーのフランチャイズ展開が減速している傾向から、連結売上高は同2.88%減となった。一方、巨庭機械とショウ(金へんに昌)泰工業は米国不動産市場の景気回復の恩恵を受け、連結売上高はそれぞれ同5.80%増、同11.73%増となった。また15年に入ってから台湾電子設備メーカーの連結売上高は軒並み減少したものの、一部メーカーは成長した。志聖工業と東捷科技の売上高は同1割以上減少となったが、均豪精密工業(ガラント・プレシジョン・マシニング、略称GPM)は提携企業の友達光電(AUO)が資本支出を拡大したため連結売上高は23億300万台湾元で同39.15%の大幅増、また盟立自動化(MIRLE)も同12.77%増と成長した。

二、2016年の景気分析

(一)プラス要因

1.米国経済の安定した回復と製造業の国内回帰が、台湾メーカーに好機

 多くの国際研究機構の予測によると、2016年も米国経済の安定した成長は続く見通しだ。さらに米国製造業の国内回帰、利上げの実施による米ドル高によって米国市場の機械設備の輸入が増加する見込みで、台湾メーカーの対米国輸出にとって追い風となるだろう。

2.鋼材価格は低迷が続き、本産業の粗利益率が向上
 2015年、国際鋼材価格は大幅に下落した。16年は米国が利上げを実施し再び米ドル高となるとみられ、さらに中国では経済減速により原材料に対する需要の低迷が続くと予想されており、16年の鋼材価格の低迷は続く見通しだ。これにより原材料の輸入コストは減少し、粗利益率の増加が期待できるだろう。

(二)マイナス要因
1.内需の縮小を受けて、本産業の台湾市場における販売に影響
 2015年下半期、台湾では無給休暇と人員整理が増加し、メーカー各社は厳しい環境に直面していることが明らかになった。メーカーは毎年末に翌年の資本支出を計画するが、この現状を受けて16年の台湾製造業の資本支出は減少する見通しだ。このように製造業による投資動向が不透明であることが、本産業の台湾市場における販売に悪影響を与えるだろう。


2.中国が台湾からの調達規模を縮小、機械の輸入代替政策と経済減速が原因

 中国政府は自国の機械産業の強化を目指して輸入代替政策を実施しており、これが台湾メーカーに悪影響をもたらしている。また国際通貨基金(IMF)などによる予測では、中国の16年の経済成長率は15年より緩やかになる見込みで、この中国経済の減速により輸入需要はさらに縮小するおそれがあり、台湾からの調達規模にも影響する見通しだ。

3.ASEAN経済の成長減速、台湾メーカーの販売に影響
 米国の利上げ実施により国際資金が東南アジア諸国から撤退し、ASEAN地区の経済に衝撃を与えるだろう。また中国はすでにASEAN自由貿易地域(AFTA)に参加しており、さらに現在推進している「一帯一路(海と陸のシルクロード経済圏)」構想を通じて、中国のASEAN地区における影響力は強まっている。関税税率の引き下げにより、中国メーカーのASEAN地区における競争力は大きく伸びていることが、台湾メーカーの同地区における販売状況に影響するだろう。

(三)産業全体の動向予測

 本産業は世界経済の動きに大きく影響される。米国経済が安定した成長を続けるとみられることから、2016年世界の経済成長率は15年を上回ると予想されている。しかし中国経済の成長減速、レッドサプライチェーンと輸入代替政策の影響に加え、人民元の為替変動が激しいことなどが、台湾メーカーの対中国輸出に影響すると予測される。また米国の利上げ実施により国際資金が東南アジア各国から撤退し、ASEAN地区の経済成長に衝撃を与えるだろう。中国とASEAN地区は、台湾メーカーの主要な輸出先であり、この両市場の経済減速と16年の国際通貨の為替変動を受けて、台湾の輸出額は減少する見通しだ。
 台湾市場について、16年は台湾製造業メーカーが投資に対してさらに慎重になり、設備更新の需要も縮小すると予測されている。このような背景から16年の生産額と販売額は減少し、景気信号も減速・衰退を示す「黄青」になる見通しだ。しかし、各産業はそれぞれの競争力により業績の好悪分かれるだろう。
 各産業の生産状況について、本産業の中でも生産額の比重が最も大きい「電子・半導体生産用機械製造業」は、15年下半期から中国のレッドサプライチェーンや、内外需縮小の影響を受けて台湾電子業の無給休暇とリストラが増加し、更に16年は投資規模が縮小すると予測されることから生産額が減少する見通しだ。ただし一部メーカーと川下メーカーの策略的提携、中国からの調達増加を受けて連結売上高は成長すると予測される。「化学工業機械製造業」において、石油化学産業の景気は後退しているが台塑集団(台湾プラスチックグループ)が海外事業に注力していることから、生産額は減少するものの輸出額は増加する見通しだ。一方、輸出中心の産業は中国とASEANからの調達が減少する影響を受け、生産額は減少するだろう。このうち「食品・飲料・たばこ生産用機械製造業」、「紡織・アパレル・皮革生産用機械製造業」、「ゴム・プラスチック加工用機械製造業」および「未分類その他専用機械製造業」などの生産額は低迷するとみられる。

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