【ワイズリサーチ】医療器材・設備製造業——
2015年と16年展望


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2015年12月17日

機械業界 機械設備・部品

【ワイズリサーチ】医療器材・設備製造業——
2015年と16年展望

記事番号:T00063468

一、2015年の業界動向


 過去5年、台湾医療器材・設備製造業では生産額のうち輸出が70%以上を占めてきた。2015年上半期は、太平洋医材(PAHSCO、太医)の医療用消耗品、呼吸治療器、邦特生物科技(バイオテック)の特殊ステント、聯合骨科器材(ユナイテッド・オーソペディック)の整形外科用医療器材、医療用撮影装置など関連業者で欧米、中国、日本市場からの受注が増えた他、米国で血糖値測定製品の在庫水準が低下し、台湾製の需要が高まったこと、さらに韓国で中東呼吸器症候群(MERS、マーズ)感染が拡大して体温計の受注が増加したことで生産額が前年比プラス成長を記録。下半期も新たな市場開拓の成果が現れている他、新製品の出荷も相次ぐことから通年の生産額成長率は6%を上回る見通しだ。
 なお当産業の今年上半期の輸入額は、台湾の医療機関において手術用機器、人工透析用消耗品、レントゲン装置用部品の需要が上向いたことから2桁成長を記録した。一方、同期輸出額は米国から血糖値測定製品の発注が相次いだこと、およびコンタクトレンズ、医療用ゴーグル、手術用機器の部品などの出荷が旺盛となりこちらも2桁成長を見せた。

  業界企業の動向については、2013年末に米国で保険給付が引き下げられたことで、当産業の主要輸出品目である血糖値測定関連製品が打撃を受けたものの、15年には在庫水準が低下したことで受注が回復。さらにその他製品メーカーの受注状況も安定を維持したことから、主要上場・店頭公開企業の今年1〜8月売上高は前年同期比でプラス成長を維持した。しかし、1〜6月の粗利益および連結営業利益の年成長率はマイナスに転落し、粗利益率も14年下半期に比べ7.25ポイント低下した。
 台湾の医療器材業界主要メーカーの1〜8月連結売上高は、雃博と明基三豊医療器材(BenQメディカル・テクノロジー)を除き、軒並みプラス成長を記録した。うち精華光学の同期連結売上高はコンタクトレンズ市場の需要安定に恩恵を受けて36億9,100万台湾元と業界トップに立ち、これに韓国におけるMERSの感染拡大を受けてデジタル体温計の受注が増加した百略医学の33億6,300万元が続いた。一方、雃博はエアマットレスの受注が落ち込んだ影響で同期は前年比12.67%のマイナス成長となった。


 また華広生技(Bionime)の15年1〜7月連結売上高は、米国を主要輸出先とする血糖値測定器の販売戦略転換により、前年同期比11.12%の増加を記録。さらに受注増に加えて粗利益率が上昇、コストコントロールも効果を発揮したことから同社の上半期営業利益は同業他社に比べ顕著な成長を見せた。一方、精華光学は粗利益率が前年同期比10.47ポイント低下した上、連結売上高の成長率が0.93%にとどまったことから、上半期連結営業利益の年成長率は24.60%と予測を下回った。

二、2016年の展望
▼プラス要因
1.世界の高齢化と慢性疾病の増加による需要増


 世界的な高齢者人口と慢性病患者の大幅な増加が医療器材市場の安定成長につながっている他、欧米各国で医療支出が増加し、深刻な財政負担となっている問題を受けて医療政策の見直しが相次いでおり、医療器材の調達において品質に加え、価格が重要な要素となっていることが低価格製品を手掛ける台湾メーカーの業績成長を後押ししている。

2.台湾政府による「生物経済発展プラン」推進

 「生技起飛鑽石行動方案」(バイオテクノロジーの飛躍に向けたダイヤモンド・アクションプラン)が今年末で期限を迎える状況の中、行政院は今年8月19日、 ▽医療器材▽バイオ製薬▽医療介護▽食品▽農業――の5産業を柱とする産業発展政策「生物経済発展プラン」を策定し、2016年〜21年にかけて推進することを決めた。初期目標は第1期計画実施後の2020年に▽医療器材▽医薬品▽ヘルスケアサービス――の各産業を中核とする生物経済の生産額を5,000億台湾元に引き上げると設定した。

  医療器材については、歯科用骨材、超音波医療関連などソフトウエアにハードウエアを加えた高付加価値商品や医療器材サービスの創造が奨励され、かつ「生物経済発展プラン」推進期間中、衛生福利部は医療器材を対象とする特別法を制定して審査プロセスの規制緩和を行うことで投資額および生産額を年間5%以上成長させ、付加価値率を2020年までに35.5%まで引き上げることを目指す。同プランは台湾医療器材産業にとって販売および研究開発(R&D)の両面で発展を促すと期待される。

3.デジタル機器の普及

 モバイル機器の世界的な普及拡大が続く中、こういった機器の長時間使用による姿勢の乱れを受けて若年層の間でも背痛や肩こり、下肢の脱力、手根管症候群などの筋骨格疾患、および視力の悪化、黄斑変性症、緑内障など目の疾患の発生率が高まっており、医療器材の需要増につながっている。

▼マイナス要因
1.主要輸出先国の保険金給付条件見直し


 2013年末に米国で血糖値検査装置に対する保険給付が引き下げられたことなどが台湾の医療器材メーカーにとって打撃となったが、今後も主要国で保険金給付のハードルが引き上げられる見通しとなっており、台湾メーカーの平均輸出単価、収益力に影響が出ると懸念される。

2.市場の競争激化
 中国や韓国、シンガポールなど高齢化問題に直面するアジア各国が、医療器材産業の技術力向上に力を注いでおり、市場の競争激化が予想される。特に中国では第13次5カ年計画(2016〜20年)において分子診断機器・試薬、インプラント材料、手術用機器などを含む医療器材産業が重点産業として盛り込まれており、台湾の産業界が目指す方向と一部重なるため、競合することになる。

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