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【ワイズリサーチ】金属加工機械設備製造業景気報告——市場概況および企業動向


リサーチ 経営 台湾事情 作成日:2016年1月14日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】金属加工機械設備製造業景気報告——市場概況および企業動向

記事番号:T00063614

一、市場概況
 2015年以降、円安及びユーロ安により台湾製工作機械の輸出は打撃を受けた。特に中国の経済低迷や輸入代替政策の実施により、工作機械への調達規模が大幅に減少し、当産業に大きな影響を与えた。また台湾市場においても、台湾経済低迷の影響で企業の投資意欲が低下し、自動車市場の不振や自動車産業の工作機械に対する需要も減少した。国内外市場需要が揃って減少したことにより、当産業15年1〜9月生産額、販売額はそれぞれ994億5,700万台湾元(前年同期比10.64%減)及び982億6,600万台湾元(同11.84%減)となった。米国が12月で利上げする可能性が高くなったため、ドル高が進み、激しい為替変動の影響を受け、海外企業は設備購入に対し様子見の傾向が見られ、中国経済の低迷も台湾メーカーが中国市場におけるパフォーマンスに影響を与えた。さらに台湾経済の低迷や企業の投資意欲が慎重になったことを受け、第4四半期当産業生産額、販売額は前年同期比衰退の傾向を維持するほか、衰退の幅は1割に達する見通しだ(表1参照)。

   製品別の販売状況について、国内外市場の需要低迷の影響により、2015年1〜9月「金属切削工作機械」及び「そのほか金属加工用機械設備製造業」の販売額はそれぞれ625億7,700万台湾元(前年同期比6.51%減)及び266億8,900万台湾元(同21.41%減)の大幅減となった。このうち、金属切削工作機械製造業について、「CNC旋盤」、「マシニングセンター」並びに「その他NC工作機械」は、日本やドイツなど国のメーカーによる影響(円安、ユーロ安など)を受け、それぞれの販売額は同9.90%減、同7.88%減、並びに同13.14%減となり、「その他旋盤」や「ボール盤」は同18.43%減、同18.63%減の大幅減となった。一方、「フライス盤」は国内外需要が大幅成長の恩恵を受け、販売額は同56.01%増の37億8,300万台湾元となった。また、「切削盤」及び「その他切削工作機械」もそれぞれ同2.67%増及び同6.89%増となった。
 その他金属加工機械設備製造業についても、需要縮減、中国の輸入代替政策の実施は当産業に打撃を与え、「表面処理設備」や「その他金属加工用機械・部品」の販売額は同2割減以上の衰退を見せた。「液圧プレス機」及び「その他金属成形機械」の販売額は同1割以上衰退し、「プレス機」も同5.52%減と衰退した。第4四半期において、台湾経済の低迷は続き、加えて中国経済の低迷、また輸入代替政策の続行により、台湾工作機械の輸出は継続して影響を受ける見通しだ。そのため、第4四半期「金属切削工作機械設備製造業」及び「その他金属加工用機械設備製造業」の販売額の下落は続き、このうち、「その他金属加工用機械設備製造業」の衰退幅が最も大きいと予想されている(表2参照)。

二、主要メーカー動向
 需要縮減や為替変動の影響を受けて、2015年1〜11月台湾主要上場・店頭公開工作機械メーカーの連結売上高はそろって減少の傾向を見せた。このうち、喬福機械(ラウンドトップ・マシナリー)は前年同期比22.15%減、福裕事業及び瀧澤科技もそれぞれ同1割以上の衰退を見せた。また、程泰グループ(程泰機械(グッドウェイ・マシーン)、亜イ(山の下に威)機電・AWEA)がリリースした新機種(程泰は高性能立型CNC切削盤、亜イはAFシリーズの高性能立型マシニングセンタ)は顧客のニーズに合致し、加えて15年上半期は中国による調達規模増加の恩恵を受けたが、下半期から連結売上高が下落し始めたことにより、15年1〜11月の連結売上高はそれぞれ同5.82%減および同0.60%減となった。一方、高鋒工業(kafo)は親会社の和大工業(HOTA)が米国電気自動車大手のテスラモーターズのサプライチェーンに参入し、工作機械の調達規模が増加した恩恵を受け、連結売上高は同0.47%減の小幅減少に止まった。
 収益面について、各メーカーの連結売上高は減少したものの、2015年8月から台湾元安が進み、メーカーの為替差益が大幅に増加した。そのため、15年1〜9月亜イ機電、程泰機械並びに高鋒工業の連結当期純利益は前年同期比それぞれ同28.72%増、同21.27%増並びに同19.72%増となった。また、福裕事業は収益の比較対象となる数値が低いこと、営業コストを有効に押さえたことに加え、土地資産を処分したこと(彰化全興工場の土地と工場を2億4,600万台湾元で販売し、処分利益は約1億4,700万台湾元)により、連結当期純利益は同408.77%増の大幅成長を見せた。一方、喬福機械、東台精機、協易機械及び瀧澤科技の連結当期純利益はそろって2割以上と減少した(表3参照)。

三、主要メーカーの運営状況
1.程泰機械
 為替変動の影響、日本工作機械メーカーによる脅威を受け、2015年に入ってから程泰機械は大きな打撃を受けた。しかしここ数年間、同社は新製品の開発を宇宙航空、エネルギーやバイオ医療などの分野に集中し、大型立型旋盤、横型旋盤、高精度スイス型旋盤を開発したほか、積極的に中国市場を開拓することにより、中国での営業利益が全体利益における割合増加に繋がり、15年1〜11月の連結売上高は前年同期比5.82%減の65億2,100万台湾元にとどまり、工作機械産業全体において、減少幅が低い方であった。収益面について、15年に入ってから同社の連結売上高は減少したものの、粗利益率の小幅成長、その他収入の増加、加えて15年8月台湾元安が進むことにより為替差益を生じたため、15年1〜9月の連結当期純利益は同21.27%増の6億2,000万台湾元となった(表4参照)。


2.高鋒工業
 高鋒工業は主に立型マシニングセンター、横型マシニングセンターおよび門型マシニングセンターの生産に従事している。ここ数年間は製品の多様化をテーマとし、大型CNC工作機械の開発に注力してきた。同時に経営方針を調整し、技術向上のため日本メーカーと技術提携の関係を締結し、中・大型CNC工作機械の製造を目標に努力している。現在、同社は自動車及びIT産業部品の自動化生産設備の開発に成功している。
 工作機械業界の景気回復、米州や欧州からの調達規模の増加、特に親会社の和大工業が米国電気自動車大手のテスラモーターズのサプライチェーンに組み込まれたことにより、同社は間接的な恩恵を受けた。しかし、2014年下半期から国際石油価格が大幅に下落し、テスラの販売額に響き、連帯的に同社の受注は影響を与えた。さらに中国経済の低迷が続いたことにより、2015年1〜11月の連結売上高は前年同期比0.47%減の18億9,000万台湾元となった。収益面について、第3四半期まで同社の連結営業利益は尚も小幅成長を維持し、株の利益が増加し、加えて8月から台湾元安が進み、為替差益が増加したことにより、同社15年1〜9月の当期連結純利益は同19.72%増の1億3,400万台湾元となった(表5参照)。

3.協易機械
 協易機械は台湾において規模が最も大きいプレス機メーカーであり、主要の製品は門型プレス機およびC型プレス機の二つであり、同時に自社ブランドの「SEYI」を有し、消耗性電子製品、家電および自動車などのメーカーが主要顧客である。2014年第4四半期に中国需要が減少し、受注がずれ込んだため、連帯的に15年以降の出荷に影響した。加えて15年に入り、中国経済の低迷や輸入代替の実施により、15年1〜11月の連結売上高は前年同期比15.90%減の31億1,100台湾元となった。収益面について、連結営業利益が下落した影響を受け、同社15年1〜9月の連結営業利益は同55.98%減となった。ただ、その他収入が増加した恩恵を受けて、当期連結純利益は同43.69%減に止まった(表6参照)。

四、未来の展望
 2016年の世界経済は15年より好転すると見られているものの、尚もいくつか不確定要素が存在する。例えば、米国の利上げ程度、為替変動や国際石油価格のトレンドなどが挙げられる。中国は16年から「第13次5カ年計画」を実施する予定で、経済の低迷も常態になると思われている。また、中国・韓国の自由貿易協定(FTA)も正式的に発効し、台湾工作機械が中国市場における競争力に打撃を与えるだろう。一方、環太平洋パートナーシップ協定交渉(TPP)参加国は協商をすすめ、原産地に関する規則を制定した。台湾は国際的な貿易協定に参加できないため、台湾当産業にマイナス影響をもたらすと考えられている。
 台湾国内のニーズについて、2015年11月主計総所より公表した資料によると、16年において台湾民間の資本投資額は前年同期比0.97%となり、前年よりマイナス1.05ポイントと予想されている。これにより台湾企業の投資意欲が低迷していることが明らからかとなった。また、投資する企業は主に電子業であり、必要とする設備は輸入製品に依存しているため、16年当産業が台湾における販売額はさらに下落する見通しだ。
 製品別について、全体的な需要は尚も低迷している影響を受け、2016年多数製品の販売額は減少すると予想されている。また、中国が輸入代替政策を続行したことにより、「その他金属加工用機械設備製造業(成形工作機械)」の受注はさらに減少するだろう。切削工作機械について、CNC工作機械は台湾メーカーの強みであり、一部のメーカーはすでに「台湾航太大連盟」に参加しているため、技術が向上したほか、積極的に宇宙航空工業への参入を推進している。また、比較対象となる数値が低いため、「NC旋盤」、「マシニングセンタ」および「その他NC工作機械」の販売額は小幅減少に止まる見通しだ。

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