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【ワイズリサーチ】機械設備製造業の景気報告——企業動向および未来の展望


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2016年2月25日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】機械設備製造業の景気報告——企業動向および未来の展望

記事番号:T00063692

ㄧ、主要メーカーの運営概況
 2015年は世界景気の低迷と国際為替の変動が続き、台湾機械設備製造業各社の15年通年の経営状況に悪影響を及ぼした。このうち工作機械製造業について、東台精機を除いた各メーカーの連結売上高はそろって減少し、喬福機械工業(ラウンドトップ・マシナリー)は前年同期比25.91%の大幅減となった。
 専用機械設備製造業について、巨庭機械とショウ(ショウは金へんに昌)泰工業は、米国不動産市場の景気回復の影響を受けて連結売上高は増加した。
 電子設備製造業は、各社の連結売上高はいずれも減少した。そのうち均豪精密工業(ガラント・プレシジョン・マシニング、略称GMP)は友達光電(AUO)からの投資増加に加えて、従来型産業の自動化設備の導入が進んだことから、連結売上高は同37.73%増の36億4,700万台湾元となった。また盟立自動化(Mirle)は、自動化設備の需要拡大を受けて、連結売上高は21.50%増となっている。
 汎用機械設備製造業は、15年に入ってから経済成長の鈍化による影響を受けたものの、中国で産業構造の転換が進み、キーコンポーネントに対する需要が増加していることに加えて、米国製造業の国内回帰の恩恵を受けて、多くのメーカーの連結売上高は成長を維持した。このうち祟友実業は福容開発の桃園市中レキ(土へんに歴)区石頭段の第2期工事、品興営造のマンション「華固天圓」(桃園市)や遠雄人寿のマンション「H110国都」(新北市)建設などにより、エレベーターの出荷台数が1,316台に達し、連結売上高は同10.45%増の40億6,200万台湾元となる見通しだ。また大甲永和機械工業と金雨企業の連結売上高も、それぞれ1割以上成長した。
 各社利益について、2015年以降、本産業の主要メーカー各社の連結売上高は減少したものの、15年8月から台湾元安が進んで為替差益が生じたことから15年1~9月の連結当期純利益は大きく成長した。このうち工作機械メーカーの亜イ(山のしたに威)機電と程泰機械(グッドウェイ)は米国の宇宙航空市場に進出しており、台湾元安の追い風もあって連結当期純利益はそれぞれ前年同期比28.72%増、同21.28%増となった。専用機械設備製造業については高林(SIRUBA)、東捷科技および志聖科技を除くすべてのメーカーの連結当期純利益が増加した。汎用機械設備製造業について、永大機電工業、上銀科技(ハイウィン・テクノロジーズ)、チ(方二つのしたに土)霖冷凍機械および瑞智精密(レッチー・プレシジョン)の連結当期純利益は減少したものの、その他メーカーの連結当期純利益は大きく成長した(表1参照)。

二、主要メーカーの動向

1.高鋒工業

 高鋒工業は立型、横型、門型の各種マシニングセンターが主要製品である。ここ数年間は製品の多様化に注力しており、大型CNC工作機械の製造を進めているほか、経営方針の調整を続け、技術力を高めるため日本企業と技術提携し、中型・大型CNC加工機械の開発に取り組んでいる。現在、同社は自動車およびIT産業関連部品の自動化生産設備の開発に成功している。工作機械産業の景気回復に加えて、欧米市場からの受注増、とくに親会社の和大工業が米国の電気自動車大手メーカーであるテスラモーターズのサプライチェーンに入ったことにより、高峰工業はその恩恵にあずかった。同社の連結売上高は2015年第3四半期まで小幅成長を維持していたものの、中国市場からの需要鈍化の影響を受けて第4四半期は大きく減少し、15年通年の連結売上高は前年同期比3.01%減の20億3,200万台湾元となった。また国際原油価格が大幅減少したことがテスラモーターズの販売業績に衝撃を与えたことに加えて、管理・販売費用が増加した影響を受けて、15年1~9月の連結営業利益は同0.15%減となった。しかし株式収益および為替差益などの営業外収益の増加により、連結当期純利益は同19.72%増の1億3,400万台湾元となった(表2参照)。

2.均豪精密工業
 AUOグループが均豪精密工業の株式を売却したため、現在は志聖科技が同社の主要株主となっているが、均豪精密工業とAUOの提携関係は継続している。2015年はAUOグループが同社に対する資本投資を拡大したこと、自動化が進む製靴、光学ガラス、タイヤなどの従来型産業から受注が増加したことに加えて、AUOの子会社である均華精密工業がサムスンと台湾積体電路製造(TSMC)からチップ検査設備の受注を獲得したことから、均豪精密工業の15年通年の連結売上高は前年同期比37.73%増の36億4,700万台湾元となった。利益については、連結売上高の大幅増と粗利益率の大幅上昇に加えて、比較対象となる数値が低かったことから、15年1~9月の連結当期純利益は同109.54%増の2億1,000万台湾元となった(表3参照)。

3.崇友実業
 2015年以降、福容開発の桃園市中レキ(土へんに歴)区石頭段の第2期工事、品興営造のマンション「華固天圓」(桃園市)、遠雄人寿のマンション「H110国都」(新北市)、浮洲公営住宅(新北市)、遠雄流通事業のショッピングセンター「遠雄U-Town」(新北市)など新規の建設案件が次々と完成した。これが祟友実業の業績の追い風となり、15年の連結売上高は前年同期比10.45%増の40億6,200万台湾元となった。利益については、15年1~9月の連結売上高が同37.30%増の大幅増となった中、顧客構成を調整して設備一式をまとめて販売する割合を下げた。また新設エレベーター保証期間の点検費用の収入があったこともあり、粗利益率は14年と横ばいを維持し、15年1~9月の連結当期純利益は同67.40%増の4億4,100万台湾元となった(表4参照)。


三、未来の展望
1.販売額は前年同期比で減少する見通し
 機械設備製造業は世界経済の変動に影響されやすい。国際研究機構は2016年における世界経済の成長率を15年より好転すると予測しているものの、16年に入ってから中国株が暴落し、各国の株価に影響を及ぼした。これにより16年の世界経済もさまざまな不安要素があることが明らかになった。とくに中国経済の成長鈍化と人民元安によって、中国市場からの台湾機械設備製造業に対する需要が減少しているだけでなく、中国が本産業にとって脅威となっていくだろう。また東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国の通貨安も進んでおり、中国とASEANの自由貿易協定(FTA)が締結された後、中国は台湾にとってASEAN市場における大きな脅威となっている。行政院主計総処が公布した資料によると、16年における台湾の民間投資は前年比2.02%よりマイナス1.05ポイントの0.97%にとどまる見通しで、台湾企業の投資意欲が低迷していることを示している。全体的に見ると、世界経済の成長鈍化は続き、中国経済の減速と人民元安の影響を受けて、本産業の輸出および台湾市場における販売額はそろって低迷するだろう。16年の本産業の販売も前年同期比で減少する見通しだ。

2.各業種の販売額の見通し
 川下メーカーからの需要が減少し、加えて円安と中国政府の輸入代替政策の影響を受けて、2015年第4四半期における台湾工作機械設備製造業と専用機械設備製造業の販売額は前年同期比で減少した。15年12月末、政府は台中市の精密機械関連企業が集まるエリアに台湾最大の「航空宇宙4.0産業クラスター」を設置し、世界規模5兆2,000億米ドルの航空宇宙市場に進出する方針を明らかにした。また政府は航空宇宙産業に1億5,000万台湾元を支出し、工作機械のスマート化、スマートサプライチェーンの構築をサポートしている。これは台湾工作機械メーカーのハイエンド製品開発と市場開拓の追い風となるだろう。しかし16年1月1日より、ミドル~ハイエンドの工作機械が台湾製または中国製以外の制御装置を使用した場合、ゼロ関税対象とならなくなる。すなわちECFA(両岸経済協力枠組協議)のアーリーハーベスト(関税の早期引き下げ)対象品目に該当し、すでにゼロ関税となっている一部の製品は本来の税率による税金が課されることになる。これが台湾工作機械の中国輸出に打撃を与え、16年の台湾工作機械産業の販売額は前年同期比で減少する見通しだ。専用機械設備製造業は台湾電子業の投資規模の縮小したことに伴い電子業設備製造業の販売額が減少し、これを受けて専用機械設備製造業の販売額も減少すると予測される。汎用機械設備製造業について、自動化設備と工業用ロボットの需要増加を受けて、販売額は前年同期比で小幅成長を維持すると予想される。

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