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【ワイズリサーチ】産業機械製造業景気動向——
企業概況と展望


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 作成日:2016年2月4日

機械業界 工作機械・産業機械

【ワイズリサーチ】産業機械製造業景気動向——
企業概況と展望

記事番号:T00063680

ㄧ、主要メーカーの2015年業績
  2015年上半期、台湾産業機械製造業全体の生産額は増加を記録したものの、主要上場・店頭公開企業の連結売上高の同年1〜8月連結売上高は合計401億7,300万台湾元と、前年同期比0.63%の小幅なマイナスとなった。これは大部分のメーカーが主力とする電子設備産業で昨年、各社の業績が両極端に分かれ、売上規模の大きいメーカーが減収を記録したことが要因だ。また主要メーカーの同期粗利益率は、原料価格の下落に恩恵を受け、小幅な上昇を見せて24.06%となったが、同期営業利益は19億9,500万台湾元にとどまり、前年同期比8.06%の減少を記録した(表1参照)。




二、カテゴリー別概況

  紡織機械製造業では、中国におけるアパレル業の海外移転よる工業用ミシン需要低下の影響を受けた高林(SIRUBA)の2015年1〜8月の連結売上高は、17億5,000万台湾元と、前年比7.48%のマイナス成長に陥った。また伸興工業も欧州経済の成長鈍化、および長年にわたり売上成長を続けていたため比較対象となる前年の数値が高かったことから同期連結売上高は39億3,500万台湾元で、前年同期比0.81%減となった。
 ベーカリー用設備を手掛ける新麦企業(SINMAG)の同期連結売上高も2,539百万台湾元で前年同期比2.88%のマイナスを記録。中国で市民の消費力が向上し、量販店、スーパーマーケット、ベーカリーチェーンなどで業務用ベーカリー設備の需要が増加しているが、同国における昨年来の経済成長の鈍化がベーカリーチェーンの店舗展開に影響を及ぼした。
 木工機械の巨庭機械(Geetech)と錩泰工業は、米国不動産市場の景気回復に恩恵を受け、同期連結売上高はそれぞれ、前年同期比5.8%増の19億400万台湾元、同11.73%増の19億5,100万台湾元と成長を維持した。
 電子・半導体製造設備メーカーの均豪精密工業(GPM)は提携パートナーの液晶パネル大手、友達光電(AUO)が設備投資を拡大したことで、同期連結売上高は前年同期比39.15%の23億300万台湾元を記録。自動化設備大手の盟立自動化(Mirle Automation)も中国市場で需要が高まったことで同12.77%の増収を見せた。電子・半導体製造設備業界では、多くの電子メーカーが設備投資を縮小したことを受けて大部分のメーカーがマイナス成長に陥り、特に志聖工業(C SUN MFG)と東捷科技(コントレル・テクノロジー)はそれぞれ前年同期比10.59%、22.63%の大幅な減収となった。

  産業機械製造業における上場・店頭公開企業の2015年上半期利益については両極化が見られ、特にプラスチック射出成型機メーカー、富強鑫精密工業(FCS)も粗利益率が上昇したこと、および比較対象となる昨年同期の数値が低かったことから同期純利益は前年同期比458.69%増を記録。また、巨庭機械と錩泰工業も同期連結純利益がそれぞれ、前年同期比34.21%、51.02%と大幅な成長を見せた。一方、工業用ミシン大手の高林(SIRUBA)、木工機械、PCB(プリント基板)製造装置などを手掛ける恩徳科技(アンダーソン)、自動化設備の広運機械工程(ケンメック・メカニカル・エンジニアリング)、電子・半導体製造設備などの東捷科技の同期純利益は4割以上の大幅なマイナス成長に陥った(表2参照)。

三、今後の展望
 産業機械製造業は世界経済の動向に大きく影響を受ける。国際的な研究機関の多くは2016年の世界の経済成長率について前年を上回ると予測しているものの、中国における「紅色供応鏈(レッド・サプライチェーン)」の台頭、輸入代替政策、人民元為替相場の激しい変動といった要素が当産業の同国向け販売に不利な影響を及ぼすと懸念される。また台湾にとって主要な輸出市場となっている東南アジア諸国連合(ASEAN)地域は、中国の経済成長鈍化や米国の利上げによる国際資本の撤退が同地域の経済発展にマイナス影響を受けると考えられ、中国、ASEAN、両市場の低迷と世界的な為替相場の激しい変動が当産業の16年輸出額減少につながると予測される。
 台湾市場については、2015年上半期は国内製造業で投資意欲が減退したものの、更新用設備の調達先が国内に切り替わったことで同期の台湾向け販売額は増加した。ただ、16年は製造業の投資意欲がさらに減退し、かつ更新需要が縮小すると予測されることから、国内向け販売額も後退するとみられる。全体的に見て、中国とASEANからの調達が減少し、かつ国内需要も低下する見通しとなる中、当産業の16年生産、販売額はいずれもマイナス成長が見込まれる。
 なおカテゴリー別に見ると、中国レッド・サプライチェーンの台頭に打撃を受けて2015年下半期より国内電子メーカーの需要が目に見えて減退、無給休暇や人員削減の実施が相次いでおり、今年の設備投資にも影響が予測されることから、産業機械製造業において生産額比率が最大を占める「電子・半導体生産用機械製造業」の16年生産額はマイナス成長に陥る見通しだ。ただ、一部メーカーは川下の電子メーカーとの戦略提携や中国からの調達増により、増収が見込まれる。「化学工業機械製造業」も、石油・化学産業の景気低迷、および台塑集団(台湾プラスチックグループ)が投資の比重を移していることから、今年の生産額は前年比で減少すると予想される。また輸出比率が高い「食品・飲料・タバコ生産用機械設備製造業」、「紡績・アパレル・皮革製品生産用機械製造業」、「ゴム・プラスチック加工用機械製造業」、「未分類その他専用機械製造業」といった分野でも、中国およびASEAN地域からの調達規模縮小が予想されることから、今年は生産額の減少が見込まれる。

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