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【ワイズリサーチ】代替エネルギー産業の振り返りおよび未來展望——2017年第3四半期


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2017年11月30日

機械業界 エネルギー

【ワイズリサーチ】代替エネルギー産業の振り返りおよび未來展望——2017年第3四半期

記事番号:T00074229

一、2017年第3四半期産業概況
 台湾代替エネルギー産業のうち、各産業は規模の大きさを順に▽太陽光発電産業(90.1%)▽風力発電産業(8.4%)▽その他(バイオ燃料および燃料電池を含む;1.5%)——となる。
 また、工業研究院(工研院)IEK研究チームがまとめた資料によると、2017年第3四半期太陽光発電産業の生産額は前期比15.1%増の380億2,300万台湾元、風力発電産業の生産額は同36.0%増の35億3,000万台湾元、その他の生産額は同4.5%減の6億4,300万台湾元となった(表1参照)。

二、カテゴリー別概況
1.太陽光発電産業
 米国通商法201条の救済措置の裁決、中国の太陽光発電産業に対する補助は2017年9月末で打ち切られることにより、関連ニーズは大きく増加した。製品価格および販売額はそろって好調を示した  また、2017年では、シリコンウエハメーカーは高競争・低粗利益率のシリコンウエハの生産量を引き下げ、シリコンインゴットの生産量を引上げたほか、17年8月から市場需要に対応して新製品の出荷し始めたため、17年第3四半期のウエハ製品の生産額は前期比27.2%増となった。ウエハ電池は需要拡大の恩恵を受けて、17年第3四半期の生産額は同11.9%増となった。ウエハモジュールは内需拡大の恩恵により、生産額は同2.9%増となった。このような要因から、17年第3四半期の生産額は前期比15.1%増の380億2,300万台湾元となった。

2.風力発電産業
 台湾風力発電産業は風力発電機部品を主力とし、中国メーカーを主要販売対象としている。このうち、上緯新能源(swancor)は2017年8月から中国風力発電大手の金風科技への供給を再開したため、売上高は好調を示した。
 例年では第3四半期は風力発電産業の需要期であり、加えて中国による需要拡大の恩恵を受けて、2017年第3四半期台湾風力発電産業は前期比36%増の35億5,000万台湾元となった。一方、台湾市場では、陸上風力発電はウィンドファームの新設に適した土地が少なく、また洋上風力発電は試験段階で風力発電機の台数が少ないため、生産額の成長も限りがある。

3.その他(燃料電池とバイオ燃料を含む)
 2017年第3四半期では、その他産業のうち、燃料電池の生産額は6億2,000万台湾元で、バイオ燃料の生産額は2,000万台湾元となった。
 台湾の燃料電池産業は燃料電池を構成する部品を主要製品とし、固体酸化物形燃料電池(SOFC)の海外メーカーを主要供給先としている。米国の代替エネルギー政策の方針転換の影響、2017年第3四半期の生産額は前期比減少傾向を示した。一方、バイオ燃料産業は量産化を実現できないため、生産額に明確な成長が見られない現状だ。

三、メーカー動向
パナソニック 日本滋賀県の太陽光発電モジュール及び米国オレゴン州のシリコンウエハインゴット工場を閉鎖予定
 日本の太陽光発電設備大手パナソニックは2017年9月7日、日本滋賀県大津市の太陽光発電モジュールを18年3月末に閉鎖する計画を発表した。また、17年9月11日では米国オレゴン州のシリコンウエハインゴット工場の閉鎖計画を発表した。
 ここ2年間、日本の太陽光発電設備市場の需要減少により、各メーカーの生産ラインの再編計画を加速させた。パナソニックは滋賀工場を閉鎖したが、米国のテスラと提携して HIT(Heterojunction with intrinsic...Thinlayer)太陽電池・モジュールの生産ラインを設置し、米国市場に対応する方針だ。
 台湾の太陽光発電メーカーはパナソニックにHIT太陽電池・モジュールを提供していないため、パナソニックの工場閉鎖計画は台湾メーカーに対する影響は少ない。また、日本製造の高効率太陽光発電モジュールが減少したことは、台湾製のPERC(Passivated Emitter and Rear Cell)型太陽電池のビジネスチャンスと見られている。

四、第3四半期トピック
 米国国際貿易委員会(International Trade...Commission,ITC)は米国通商法201条に基づき、廉価な太陽電池の輸入により米国内製造業が「深刻な被害」を受けていると断定し、緊急輸入制限(セーフガード)発動の妥当性を認めた
 米国太陽電池メーカーのサニバは2017年4月27日に破産申請し、ITCに米国通商法201条に基づいた救済措置を申し立てた。これは米国政府に太陽電池の輸入に対する制限および最低価格の設定を要求するものだ。
 これに対し、ITCは、2017年9月22日調査結果を発表し、緊急輸入制限(セーフガード)発動の妥当性を認めた。また、ITCはトランプ大統領に関税引き上げなどの具体策を11月13日までに提出し、最終判断を求める。
 台湾の太陽光発電産業において、太陽電池の生産額は全体の7割を占めている。米国への輸出額は高くないが、毎年の30〜40%の輸出は中国メーカーを経由して世界市場に輸出している。そのため、米国通商法201条の最終判断が作成された場合、米国向け太陽光電池の輸出価格が上昇し、台湾製太陽電池の輸出に影響を及ぼす恐れがある。

五、未来の展望
1.太陽光発電産業
 2017年、太陽光発電産業の景気は1~5月に最も低迷していた。しかし、6〜9月は中国が太陽光発電産業に対する補助期間を延長したことに加えて、米国通商法201条を受けて受注が増加したことから、生産ライン稼働率上昇のほか、粗利益率の改善により、下半期の生産額は上半期を上回るとみられる。

 また、シリコンウエハメーカーは競争が激しくて粗利益率が低いシリコンウエハの生産量を引き下げ、シリコンインゴットを主要製品とするようになった。17年8月から市場需要に対応して新製品の出荷し始めたため、17年通年の太陽光発電産業の生産額は前年比10%減の1,432億5,000万台湾元となる見通しだ。

2.風力発電産業
 台湾風力発電機部品メーカーとシステムメーカーは市場開拓に注力しているが、主要市場は依然として中国である。2017年上半期、中国市場での業績は予想を下回った。しかし中国政府は18年から陸上風力発電の買取価格を引き下げる予定であることから、17年下半期の中国風力発電市場の景気は回復するだろう。
 台湾市場については、2つの洋上発電モデルプロジェクトのうち1つは設置が完了、もう1つは建設中だ。しかし台湾風力発電市場は規模が小さいため、海外市場向けの生産額が当産業全体の約8割を占めている。2017年通年の生産額は、前年比12.6%減の122億5,000万台湾元と予測される。

3.その他(燃料電池とバイオ燃料を含む)
 2017年、台湾燃料電池産業は米国の代替エネルギー政策の方針転換の影響で、生産額は27億台湾元にとどまり、減少傾向を示すと見られている。
 バイオ燃料産業については、産業発展を促す要素(市場、補助制度など)が不十分なため、生産額の大幅な成長は難しい。しかし、バイオエタノールに関しては量産化と応用分野に関する検証段階に入っており、加えて新しい研究機構とメーカーがクリーン軽油の開発に投入し、台湾バイオ燃料市場の発展を加速させることが期待される。

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