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台湾ポンプ・コンプレッサー・バルブ製造業2018年の振り返り


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2019年1月17日

機械業界 ポンプ・コンプレッサー・コルク・バルブ

台湾ポンプ・コンプレッサー・バルブ製造業2018年の振り返り

記事番号:T00081534

 2018年上半期は世界経済の好調が続き、台湾ポンプ・コンプレッサー・バルブ製造業の輸出額は成長した。しかし下半期に米中貿易戦争が勃発して世界経済に打撃をもたらし、メーカーの投資意欲が低下したことから、台湾当産業の輸出は低迷した。米中貿易戦争の行方は台湾当産業にとっても注目すべきものとなっている。

一、市場概況
 2018年上半期、世界経済は17年の好調を維持し、企業の投資意欲が高まった。とくに上半期は石油価格の上昇を受けてシェールオイルの採掘量が増加したことに加えて、米国でインフラ整備の拡大、税制改革の推進および製造業の国内回帰などの政策が実施された。また、中国では輸入拡大政策が引き続き実施されたため、台湾当産業の輸出受注は大幅増加した。
 台湾市場では経済の好調を受けて輸出受注が伸び、工業生産指数も上昇した。また、原油価格が上昇したことから、石油化学メーカーによる関連設備の更新需要も増加した。
 しかし、2018年下半期に米中貿易戦争が勃発して中国からの受注は減少し、台湾製造業の投資意欲も低下した。このため、18年1〜9月の台湾当産業の生産額は前年同期比4.08%増の387億3,100万台湾元、販売額は同4.58%増の406億6,400万台湾元となった。生産額と販売額はそろって成長を維持したものの、前年同期と比べて成長幅は緩やかになった(表1参照)。

 2018年第4四半期は米国からの調達が増加しただけでなく、台湾メーカーが中国の生産ラインをアジア新興市場に移転させたため、アジア各国への輸出も伸びた。また、台湾ではメーカーが中国から台湾へ工場を引き上げていることに加えて、インフラ建設が進んでいる。このような背景から、18年第4四半期の台湾当産業の生産額と販売額は成長を維持し、18年通年の販売額は前年比5.19%増の550億1,100万台湾元となる予測だ。

二、販売概況
◎バルブ
 バルブは食品・飲料品製造業と製紙業だけでなく、原油価格の上昇によって投資意欲が高まった石油化学産業からの需要も増加した。また、米国および中国からの調達が拡大したことから、2018年1〜9月のバルブ製品の販売額はそれぞれ、▽金属製バルブ(青銅・黄銅バルブ以外)、104億200万台湾元(前年同期比3.32%)▽青銅・黄銅バルブ、30億300万台湾元(同11.29%増)▽バルブおよび蛇口部品、103億4,900万台湾元(同12.27%増)——とそろって成長した。

◎ポンプ
 ポンプは主に水処理、石油化学、天然ガスおよび電力などの分野で使用される。2018年は石油化学産業の設備投資額が増加し、とくに海外からの受注が大幅成長したため、18年1〜9月の「液体用ポンプ」の販売額は前年同期比0.71%増の96億400万台湾元、「その他ポンプ」は同13.81%増の23億9,300万台湾元となった。

◎コンプレッサー
 2018年以降、台湾では家電販売が好調で家庭用冷蔵庫、洗濯機およびエアコンなどの販売額が成長したため、コンプレッサーの内需は拡大した。
 しかし、米国では連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを続行していることから不動産市場が減速し、中国では不動産市場の景気低迷に加えて米中貿易戦争の影響で家電製品の販売額が低迷した。このため、コンプレッサーの輸出額は大幅減少し、2018年1〜9月の「空気コンプレッサー」の販売額は前年同期比2.16%減の30億3,000万台湾元、「冷媒コンプレッサー」は同12.99%減の18億8,200万台湾元とそろってマイナスとなった(表2参照)

三、2019年の展望
 台湾当産業は世界景気の影響を受けやすい。各研究機構によれば、2019年の世界景気および主要各国の経済成長率は米中貿易戦争の影響を受けて18年を下回る見通しで、とくに中国経済は大きな打撃を受けると予測される。また、米国の税制改革による恩恵も弱まるだろう。さらに世界経済の成長が鈍化することによって原油価格が落ち着き、石油化学メーカーの投資も減少するとみられる。これらの要因によって台湾当産業の輸出成長に不利な状況となる恐れがある。
 台湾市場では、石油化学産業メーカーが環境アセスメントの問題を受けて海外投資に重点を置き、台湾での投資規模を縮小させている。さらに2019年は原油価格が安定するとみられることから、メーカーの投資意欲が弱まるだろう。しかし、政府の大型インフラ整備計画「前瞻基礎建設計画」の予算が執行されることで、内需市場における販売額は小幅減少にとどまる見込みだ。  全体的に見ると、2019年の世界景気は米中貿易戦争の影響で減速し、台湾市場の需要も縮小するため、台湾当産業の販売額は減少傾向となる見通しである。
 カテゴリー別の販売額については、バルブ製品は米国で利上げにより不動産市場が減速していることから、蛇口に対する需要がさらに減少するとみられる。また、中国では経済成長が鈍化しており、台湾当産業からの調達は縮小するだろう。しかし、台湾市場では大型工事が増加しているため、大型バルブの需要は伸びる見通しだ。このため、2019年のバルブ製品の販売額は小幅減少となり、なかでも「バルブおよび蛇口部品」の販売額が大きく減少する見込みである。
 ポンプ製品は主要市場である中国と米国からの需要減少を受けて、2019年は「その他ポンプ」と「液体用ポンプ」の販売額がそろって減少するだろう。とくに「その他ポンプ」の販売額は大幅減少となる見通しだ。
 コンプレッサー製品は、世界景気の減速によって海外からの受注が減少するとみられる。さらに台湾市場も経済成長が緩やかになっており、家電製品の販売額が低迷しているため、コンプレッサーの需要も縮小するだろう。そのため、2019年の「空気コンプレッサー」と「冷媒コンプレッサー」の販売額はそろって減少すると予測される。

 

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