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ポンプ、コンプレッサー、バルブ製造業ーー現状と展望


リサーチ マーケティング 台湾事情 作成日:2018年10月25日

機械業界 ポンプ・コンプレッサー・コルク・バルブ

ポンプ、コンプレッサー、バルブ製造業ーー現状と展望

記事番号:T00080031

一、生産額と販売額
1.2018年1~7月の生産額は前年同期比9.48%増、販売額は同10.12%増、Q3は成長幅が緩やかになる見通し
 当産業のポンプとバルブは主に石油化学産業と水利産業で使用されている。2018年に入ってから台湾の公共建設工事は増加しており、行政院主計総処によると18年上半期の政府および政府所有企業の公的固定資本形成はいずれも前年同期比で10%以上成長している。近年、公的資本形成はマイナス、あるいは小幅成長にとどまっていたが、18年は政府が公共工事のスピードを速めていることが成長の要因となった。とくに、大型インフラ整備計画「前瞻基礎建設計画」が17年第3四半期から実施されたことで、台湾当産業に対する需要が大きく伸びている。
 また、米国製造業の国内回帰と中国の設備輸入拡大が、台湾当産業の輸出に追い風となった。さらに台湾市場での需要回復と輸出受注の増加を受けて、2018年1~7月の台湾当産業の生産額は303億4,600万台湾元で前年同期比9.48%増、販売額は319億1,600万台湾元で同10.12%増となった(表1参照)。

 しかし、米中貿易戦争が激化する中、米国が中国製品に対して追加関税を課したことから中国製造業の投資意欲は低下しており、中国からの受注は減少している。台湾でも引き続き公共工事が進められているが、比較対象となる17年の水準が高かったこともあり、18年第3四半期の台湾当産業の生産額と販売額の成長幅は緩やかになる見通しだ。

2.2018年1~7月のカテゴリー別販売額は「冷媒コンプレッサー」が前年同期比で減少、そのほかはいずれも増加
 ポンプは水処理、石油化学、石油・天然ガス、電力などの産業で使用されており、このうち「液体用ポンプ」の販売規模が最も大きい。しかしながら、2018年1~7月の「液体ポンプ」の販売額は73億9,100万台湾元で前年同期比0.55%の小幅成長にとどまった。
 また、ポンプは消費電力が大きいため、主要各国が最低エネルギー消費効率基準(MEPS)を適応している。省エネと環境保護への対応、そして景気回復を受けた川下石化産業の投資拡大によって、「その他ポンプ」の販売額は19億3,800万台湾元で同23.80%増となった。「空気コンプレッサー」は台湾市場での需要が成長したため、販売額は23億9,900万台湾元で同5.08%増となり、14年から続いた低迷を脱した。唯一、輸出メインの「冷媒コンプレッサー」は海外受注が大きく減少したことから、18年1~7月の販売額は15億3,100万台湾元で同9.54%減となった。 「バルブ」は石油化学や造船などの産業のほか、発電所、長距離パイプライン、原子力発電所の建設に使用される。主な輸出先は米国と中国で、世界的な経済成長と原油価格の上昇を受けた石化産業の投資拡大によって、台湾当産業の内需と外需はそろって成長した。このうち「金属製バルブ(青銅・黄銅を除く)」の販売額は81億6,200万台湾元で同14.61%増、「青銅・黄銅バルブ」は23億7,100万台湾元で同15.89%増となった。このほか、「バルブ及び蛇口部品」もバルブ販売の成長に伴って部品需要が伸びたことから、販売額は81億2,500万台湾元で同17.30%増となった(表2参照)。

二、輸出入概況
◎輸入
 2018年に入ると、台湾では政府が17年から続く公共工事の支出を引き上げた。また、石化産業の投資規模も拡大し、省エネと環境保護への対応で企業が設備の買い替えを進めている。さらに、台湾当産業の生産額が成長して部品輸入が増加したことから、18年1~8月の輸入額は394億7,800万台湾元で前年同期比3.23%増となった(表3参照)。

 18年第3四半期に入って半導体設備の輸入が大きく伸びており、これに伴い半導体およびフラットパネルディスプレイ(FPD)生産設備に使用される真空ポンプの輸入が増加した。さらに関連部品の輸入も成長したため、18年7~8月の台湾当産業の輸入額は同11.60%増となり、18年第3四半期の輸入額も成長が続く見込みである。

◎輸出
 米国と中国は台湾当産業の主要輸出相手国だ。米国は経済が安定して成長していることに加えて、製造業の国内回帰が進んでおり、台湾当産業からの調達規模を引き上げている。さらに設備輸入規模を拡大させている中国に加えて、日本やドイツ、カナダへの輸出額も世界的な経済成長を受けて増加した。このような要因から、2018年1~8月の台湾当産業の輸出額は498億3,000万台湾元で前年同期比8.52%増となった。
 主要輸出相手国と輸出額成長率は、輸出額が多い順に、▽米国、156億6,300万台湾元(同12.38%増)▽中国(香港、マカオを含まず)、101億9,200万台湾元(同13.27%増)▽日本、48億1,700万台湾元(同16.34%増)▽ドイツ、19億7,400万台湾元(同18.94%増)▽カナダ、12億5,700万台湾元(同21.89%増)――であった。18年7月からは米中貿易戦争の影響で、中国の台湾当産業に対する需要は大きく減少した。このほか、米国、日本、ドイツ、カナダへの輸出額成長率も上半期より緩やかになった。18年7~8月の台湾当産業の輸出額は同1.46%増にとどまり、18年第3四半期の輸出額も成長幅は縮小するとみられる。

三、今後の展望
 2018年下半期、政府は「前瞻基礎建設計画」のスピードを加速させると予測される。主計総処によると、18年第4四半期の政府の固定資本形成は前年同期比7.87%、政府所有企業は8.18%の成長となる見込みだ。台湾各地の水害被害を受けて治水を含む公共工事が進められており、ポンプやバルブなどの需要が伸びている。また、米中貿易戦争の影響で台湾企業が生産拠点を台湾に引き上げていることに加えて、国際原油価格の上昇が続いていることから石化メーカーの設備投資が拡大している。
 このような要因から18年第4四半期の台湾市場における販売額は成長を維持するだろう。米国ではインフラ建設が増加し、シェールオイル採掘業者の設備投資も増加している。これにより台湾当産業の対米国輸出は成長しているが、中国への輸出が大幅減少していることに加えて、欧州、日本、カナダなど先進国家への輸出も成長が緩やかになっている。総合すると、輸出受注が低迷しているものの、内需は好調であるため、18年第4四半期の台湾当産業の販売額は第3四半期と同様の小幅成長となるとみられる。


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