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車載電子部品のメーカー「車王電子」


リサーチ 台湾事情 その他 作成日:2020年1月22日

機械業界 電子・半導体

車載電子部品のメーカー「車王電子」

記事番号:T00088074

企業概要
 車王電子(モービルトロン)は自動車用電子制御部品と産業・自動車用充電型動力工具の生産・販売を主要業務とする。2018年、車王電子は既存の自動車電子部品と車のインターネット(IoV)のほか、ハイブリッド車と新エネルギー車の研究開発にも参入した。また、子会社の華徳動能科技(RACEV)と提携して、台湾初の自動運転電動バス(EVバス)を開発し、18年12月から台中世界花卉博覧会(台中フローラ世界博覧会、台中花博)で1カ月間のテスト運行を行った。

今後の方針
電子事業部:
1)燃費の向上:
 ハイブリッド車に使用されるベルトドリブン・スターター・ジェネレーター(BSG)技術をディーゼル・ガソリン車に応用し、アイドリング時と発動時の燃費改善、温室効果ガスの排出削減を図る。
2)バッテリー管理システムと大容量車載バッテリーモジュールの開発:
 電気自動車(EV)市場の急成長に対し、高エネルギー密度と高安全性を備えた防水車載バッテリーモジュールの研究開発を進め、バッテリー管理システム(BMS)によって運用を最適化し、EVの稼働時間を向上させる。
3)EV用バッテリーの再利用:
 使用済みEV用バッテリーを再利用したエネルギー貯蔵システムを研究開発する。EV用バッテリーを分解することなく直接使用できる貯蔵システムで、循環経済を実現する。
4)IoV関連製品の研究開発:
 IoVと先進運転支援システム(ADAS)は自動運転システムを構成する主要な装置だ。車王電子は視野補助システムとIoVゲートウェイの技術開発に力を入れ、製品競争力を向上させている。

電動工具事業部:
 インダストリー4.0から派生した需要に合わせて、精密電動工具とクラウドコンピューティングを結合させたスマート工具を発展させる。電動工具が各加工プロセスのパラメーター(トルク、回転速度、角度など)を記録し、クラウドデータベースにデータを蓄積する。データを分析・フィードバックすることによって工具がパラメーターを自動設定できるようになり、使用者の負担が軽減される。

市場発展のプラス要素、マイナス要素と対策
プラス要素
自動車電子部品
1)消費者の自動車の安全性と乗り心地に対する要求が高まる中、自動車メーカーはコストダウンと他社製品との差別化を図っており、自動車電子部品の搭載数は増加している。このため、自動車電子部品の市場需要は今後も安定した成長を維持できる見通しだ。
2)EVの普及と自動車のスマート化によって、自動車電子部品の関連需要は増加している。
3)中国およびインド市場で自動車販売台数は安定して成長しており、自動車電子部品の販売は今後も成長が続くとみられる。
4)台湾は整った電子産業サプライチェーンを有しているため、材料供給や技術面において新製品の開発に向いている。

産業・自動車用充電型動力工具
1)アジア市場ではリチウムイオン電池と動力工具を合わせたトータルソリューションを提供できるメーカーが車王電子を含む数社しかない。
2)中国を含む新興市場は今後も成長の余地がある。
3)自動車組立メーカーが充電型動力工具を導入し始めており、従来の空圧工具に取って代わりつつあるため、今後の需要増加が期待できる。

マイナス要素と対策
自動車電子部品
1)関税による貿易障壁
 台湾は米国や日本などの主要市場と自由貿易協定(FTA)を締結できていないため、今後は関税による貿易障壁を受けることとなり、これが市場開拓に大きく影響する恐れがある。
・対策:
 製品競争力と付加価値の向上に力を入れ、品質の高さと競争メーカーより有利な価格を強みとして、顧客ロイヤリティと提携関係の強化を図り、貿易障壁による影響を最低限に抑える。

2)製品認証取得の困難さ、審査期間の長さ
 自動車電子部品は自動車の安全性に関わるため、品質と信頼性に対する要求は一般の電子部品より高い。このため、認証の取得は容易ではなく、審査期間も長いため、メーカーの研究開発コストを圧迫している。
・対策:
 製品の技術水準と付加価値を高めるだけでなく、川下メーカーとの提携を強化し、自動車部品サプライヤーからの受注確保と市場開拓のチャンスを早期に把握する。

産業・自動車用充電型動力工具
1)電動工具大手メーカーが低価格戦略で市場シェアの拡大を図っている。
2)中国メーカーが低価格製品で市場シェアの拡大を図っている。 3)電動工具の主要市場では大手メーカーの知名度が高く、市場シェアの大半を占めている。
・対策
1)製品の研究開発を加速させ、顧客の需要に合わせた製品を提供することによって市場シェアを確保する。
2)製品の付加価値を向上させることによって、中国の低価格製品との差別化を図り、中国製品の脅威を減少させる。
3)電子商取引のマーケティングを強化することで、ブランドの知名度向上を図る。

機械業界-電子・半導体

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