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【2021年在台日系企業の給与動向】第1回 在台日系企業の給与水準


リサーチ 経営 人事労務 その他 作成日:2021年7月27日

日系企業給与動向

【2021年在台日系企業の給与動向】第1回 在台日系企業の給与水準

記事番号:T00097437

 ワイズコンサルティングは毎年6月に在台日系企業を対象に給与調査を実施している。16年目となる今回の調査では合計234社、対象従業員数2万6千人の日系企業にご協力いただき、沢山の給与データを預かり分析した。多くの日系企業のご協力のおかげで、他社では分析できない細かい切口で、精度の高い分析を行うことができた。
 本日より2回に分けて調査結果の一部をご紹介する。貴社の給与政策のご参考としてお役に立てれば幸いである。
 それでは、今回の調査結果をご覧いただこう。まず、直近5年在台日系企業の月額経常性給与について、4万2千〜4万3千元の水準を維持し、2021年は4万3,625元となり、昨年よりやや上昇した(図1)。

(※月額経常性給与とは、毎月経常的に労働の対価として支給されている給与を指す。内訳の例としては▽基本給与▽手当(役職手当、職務手当、食事手当等)などが含まれる。なお、時間外労働手当や報奨金、賞与のように毎月経常的に支給されていないものは含まれない)


新竹・苗栗エリアの給与水準は過去最高
 エリア別でみると、在台日系企業では新竹・苗栗エリアにおける月額経常性給与はほかのエリアより高い(図2)。新竹・苗栗エリアに台湾最大のサイエンスパーク新竹科学園区(竹科)があり、多くの半導体関連企業が集まっている。また、当該エリアは半導体産業川上のIC設計企業が主体となるため、従業員の半数以上が台湾大学や清華大学などのエリート学校出身の人材が多い。
 行政院主計総処の2020年調査によると、新竹・苗栗エリアの平均月額経常性給与は5万元程度であり、台湾国内で給与水準が最も高いエリアである。また、台湾半導体業界の給与水準について、大手求職求人サイト「104人力銀行」の調査によると、サプライチェーンの川上の給与水準は川下の1.49倍で、北部(▽台北▽新北▽桃園▽新竹・苗栗)の給与水準は中部(台中)の1.18倍、南部(▽雲林・台南▽高雄)の1.23倍である。
 こうした背景を踏まえて、当該エリアに拠点をもつ日系企業は高い給与水準を設定しないと人材の採用が難しい状況である。更に、2020年下半期から世界各地の半導体に対する需要が供給を上回り、半導体不足に伴う人材不足の状況下で他社からの引き抜き防止も含め、2021年在台日系企業の新竹・苗栗エリアの給与水準は過去16年間の調査において最高の水準を更新した。


 

卸売業の月給水準は5万元以上
 図3は業界別の月額経常性給与水準を表したグラフである。業界を問わず卸売業の月給平均はその他の業態より高くなっており、総合商社の月給平均は6万9,728元で最も高い水準である。
 なお、建設・工事業と技術サービス業の2021年給与水準も全体の平均より高い。主な要因としては、米中貿易摩擦は2018年より発効し、生産拠点を中国から台湾へと切り替える企業が増え、新規工場の立ち上げに牽引され建設・工事業の景気が好調である。また、2020年新型コロナウイルスの影響で、海外から技術サービス関連の専門人材を招くことが難しく、優秀な人材を惹きつけるために給与水準を高めに設定している。
 一方、全体平均の4万3,625元より給与水準の低い製造業は、年々高騰している生産コスト(原材料)の影響により利益が減少し、労働集約の体質から転換もしていないため、2006年の調査(4万55元)と比較すると給与水準は後退した。

  次回は日台企業の給与比較と昇給事情についてご紹介する。
 

林芳米

林芳米

ワイズリサーチ社主任

 半導体、電子、機械などの幅広い調査案件を多数担当している。行動力が高く、与えられたミッションを達成するチャレンジ精神旺盛なリサーチャー。顧客視点で課題を捉え、創意工夫を重ねることで最適な調査には定評がある。(言語)日本語△・中国語◎

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