2016年在台日系企業の給与動向 第2回 昇給事情


2016年7月20日16:25  リサーチ 人事労務 台湾事情

2016年在台日系企業の給与動向 第2回 昇給事情

記事番号:T00065353

 昨日のコラム『在台日系企業の給与水準』をご覧いただき、ありがとうございました。本日は在台日系企業の昇給事情についてご紹介します。

日系企業の95%が昇給実施

 今年の調査結果によると、昇給を実施しないと回答した企業はわずか5%だった。言い換えると95%の在台日系企業は昇給を実施するということだ。昇給する方法として定期昇給とベースアップ(以下、ベアという)の2種類がある。定期昇給とは、年齢や勤続年数などの時間経過によって、各人の賃金を引き上げることを指す。一般的に評価の結果とリンクして実施することが多い。一方で、ベアは、定期昇給と違い、賃金ベースそのものを底上げする増額方式のことをいう。経済成長や物価上昇、初任給上昇などの要素を考慮し、実施することが多い。在台日系企業の実施状況は図1を確認いただきたい。

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 弊社が11年前に給与調査を始めたころ、ベアを実施する企業は88%だったが、今年は2割程度と、大幅に減少した。ベア昇給は基本的に社員の能力やパフォーマンスと関係なく、全員に一律何%で賃上げをするため、給与が高い人はどんどん高くなり、社歴だけで給与差が開いてしまい、若くて優秀な社員の不満が募りやすい。また、企業側にとって固定費の増加という負担増を招くことにもなる。従業員にとっては喜ばしいことだが、毎年実施していくと、人件費の膨張につながり、経営に負担がかかるデメリットも考えられる。そのため、昇給はなるべくベアではなく、社員の評価と結び付けて定期昇給という形で実施することをお勧めする。

平均定期昇給率は2.6%

 在台日系企業は定期昇給を実施する企業が多い。実施の決定要因として、上位から▽社員の仕事の成果、81%▽勤務態度やモチベーション、66%▽業績実績、66%──が挙げられている。また、実施時期は会計年度に合わせて、4月に実施する企業(35%)が最も多い。続いて▽7月、25%▽1月、18%──という結果である。ちなみに、台湾の公務員は7月に昇給するため、台湾企業もその影響を受け、7月に実施する企業が多い。

 定期昇給率に関して、日系企業の平均は2.6%で、昨年と一昨年とほぼ同水準である(図2)。詳細を見てみると、昇給率が3%未満の企業は半数以上を占めている。さらに、業態別で見ると、卸売小売業の平均値が2.89%で最も高く、次にサービス業・その他が2.61%、製造業が2.44%である。

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台湾企業の昇給は業績次第?

 弊社が以前台湾人向けに就業意識をテーマにアンケート調査を実施したところ、日系企業に勤めたい主な理由として▽待遇が良い(給与・賞与は世間一般より高い)▽安定している▽毎年昇給が見込める──などが上位に挙がった。従業員の期待通りに、昇給を実施する日系企業は多い。

 では、台湾企業はどうだろうか?大手人材バンクの調査によると、16年に昇給を実施する企業は31%で、15年より7%低下している。同調査によると、74.9%の企業は自社の経営状況で昇給を実施するかどうかを決めるそうだ。

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 日系企業は業績が好ましくなくても社員の昇給を実施することがある。リーマンショックを経験した09年でさえ、6割前後の日系企業が定期昇給を実施したことから証明できる。その一方、台湾企業は昇給を決める際に会社の業績、景気に大きく影響される。昇給に関して日系企業と台湾企業では考え方が違うといえよう。

 最終回は、在台日系企業の手当支給状況についてご紹介する。

★2016年在台日系企業給与レポート★
https://www.ys-consulting.com.tw/research/salesreport/36.html

陳 逸如

陳 逸如

シニアコンサルタント

2006年にワイズコンサルティングに入社。コンサルティング、リサーチ、研修、セミナーで活躍。きめ細やかな心配りと、論理的思考力にはファンも多い。経営全般、マーケティング、人事労務のコンサルタントとして活躍している。ワイズリサーチ総経理。

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