記事番号:T00065324
ワイズコンサルティングでは毎年6月に在台日系企業を対象に給与調査を実施している。11年目となる今回の調査では合計148社の日系企業にご協力いただき、1万4,836人分の給与データを預かり分析した。多くの日系企業のご協力のおかげで、他社では分析できない細かい切り口で、精度の高い分析を行うことができた。
本日より3回に分けて調査結果の一部をご紹介する。貴社の給与政策のご参考としてお役に立てば幸いである。
まず、最初に今回の分析の切り口をご紹介する。企業を業態、業種、規模、エリアで分類し、社員データを職種別、役職別、勤続年数別、学歴別、年齢別、男女別で分析を行った。(属性の詳細は表1参照)
分析の切り口は在台日系企業の特徴やよくある課題に合わせて設定している。ここでは、勤続年数の事例を挙げて説明する。
弊社のコンサルティング経験に基づくと、中間層の社員不足という課題を抱えている日系企業が多い。つまり、ある程度教育訓練を受けて実務経験も積んでこれから会社への貢献が大いに期待できる時期に辞めてしまう中間層が多い。辞めやすい中間層社員の特徴を把握するために、弊社の分析では、勤続年数を▽1年未満、▽1~3年未満、▽3~5年未満、▽5~10年未満、▽10~20年未満、▽20年以上──に分類している。そうすることで、給与体系を見直す際に、自社の業態、業種に合わせて、さまざまな社歴の社員の給与水準、賃金カーブ等を参考にできる。
月給水準、昨年よりやや上昇
それでは、今回の調査結果をご覧いただこう。まず月額経常性給与について、今年の全体平均は4万1,726元で、昨年より少々上昇している(図1)。上昇の主な理由は2つ考えられる。
一つ目は、データサンプルによる差である。具体的には、本年度の調査は台南に新しくできた科学園区や新竹・苗栗の科学園区付近に拠点を構える日系企業のデータを多く収集できた。これらの企業は給与水準が高いため、全体の水準を引き上げたと考えられる。
二つ目は、昨年6月の調査以降、今年の5月までに昇給を行った企業の昇給率の上昇である。15年7月~年末に約3割の企業が昇給を実施し、平均昇給率は3.3%と、例年の3%未満よりも高かった。また、今年1~5月に昇給を実施した企業は64%で、平均昇給率は3%と、昨年同期実績の2.7%より高かった。昇給分が給与水準の上昇に反映しているといえる。
卸売業、依然トップレベル
続いて、業種別の給与水準を紹介する。図2は直近3年間業界別の給与水準を表したグラフである。直近3年の水準と5年間平均をみると、いずれも卸売業の給与水準が高く、中でも電気電子専門商社、化学専門商社が高い。
もう一つ注目していただきたいのは小売業の給与水準だ。直近3年、毎年給与が上昇している。台湾の小売業は給与が低い、流動率が高い、社会的地位が低いなどの印象がある。業界体質の改善が進みつつあることが給与水準の変化からうかがえる。
管理職になると年収100万元超え
最後に、在台日系企業の年収水準を見てみよう。サンプル全体における年収平均は66万8,754元である。(日本円で約220万円/16年7月19日レート)
職群別でみると、年収の平均値は下表の通りである。台湾人にとって年収100万元というのは一つのステータスだ。(金額は違うが、感覚的に日本の年収1,000万円に近い)。政府の統計によると、給与収入で年収100万元を超える市民は10%未満である。日系企業で勤務すると、管理職になれば年収100万元超えも夢ではないようだ。
次回は在台日系企業の昇給事情についてご紹介する。
★2016年在台日系企業給与レポート★
https://www.ys-consulting.com.tw/research/salesreport/36.html
陳 逸如
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