記事番号:T00065378
皆さま、こんにちは!今回の連載は本日が最終回となります。最後までお読みいただき、ありがとうございます♥本日のテーマは手当です。コラムで紹介しきれない部分はまだたくさんありますので、ご興味のある方は、給与レポートにてご確認ください。
9割以上の企業は食事手当を支給
手当は目的によってさまざまな項目がある。今回の調査で在台日系企業が支給している主な手当の項目が明らかになった(図1)。ほとんどの企業が支給しているのは食事手当(91%)で、次は通勤手当(74%)、その次は語学手当(30%)である。日本では住宅手当、家族手当が一般的だが、台湾ではまだ導入している企業は少ないようだ。
ちなみに、台湾のローカル企業はどうだろうか?台湾は中小企業が全体の97%を占めるほど小規模の企業が圧倒的に多い。また、家族経営の会社が多く、体系的な給与システムを構築せず、社長の一存で決めることが多い。そのため、給与体系の単純な会社が多く、項目を分けるとしても、基本給と食事手当くらいである。日系企業のように、通勤手当や地域手当などを支給する会社は少ない。
食事手当免税額の引き上げ対応
ご存じの方が多いかと思うが、台湾では社員に支給する食事手当は、ある上限を超えない限り、その分の社員の総合所得税(個人所得税)が免除される。従業員にとって貴重な節税措置のため、ほとんどの企業が支給している。
その免税額は、2015年1月1日の法改正で従来の月額1,800台湾元から2,400元まで引き上げられた。そこで今回の調査で、日系企業の法改正に伴う対応方法も確認した。図2の通り、法改正を受け食事手当の額を調整した企業は57%だった。ただ、食事手当を単に引き上げると人件費増につながるため、どこかで原資を捻出しなければならないと考えた企業もある。その具体的な対策は、▽昇給率・昇給額を減らした、25%▽基本給を下げた、18%▽ベア昇給を中止した、8%──だった。
主管機関の財政部によると、法改正は賃上げや従業員の福利厚生の充実を目的としているため、食事手当を引き上げる代わりに基本給の一部を引き下げることは、あまり好ましくない。また、食事手当調整の一環で、基本給を下げることにより、賃金の総額が減少したりと、従業員にとって不利益になると法律に抵触するので、ご注意いただきたい。参考として法律に抵触しない変更の一例を以下に挙げる。
日本語手当の額は適切か?
皆さまの会社の公用語は何語だろうか?最近英語にした会社もあるようだが、やはり中国語か日本語の会社が多い。
日系企業で社員の日本語力にインセンティブを払う会社は少なくない。具体的には、語学手当を支給する30%の企業(計45社)のうち、96%の企業は日本語に対する手当を支給している。支給方法を大きく分けると、▽語学レベルに応じて支給(66%)▽レベルを問わず一律支給(14%)──がある(図3)。
支給金額は、日本語能力試験N1認定者は平均2,000元、N2認定者は1,500元程度だ。以前担当したクライアント様の中で、N1認定者に6,000元、N2認定者に5,000元を支給するメーカーがあった。社員は必死で日本語の勉強に取り組むが、手当が付かない業務や専門スキルの習得がおろそかになりやすいため、その予算の一部を他の能力開発に回した方が良いのではないかと助言させてもらった。
手当は支給方法によって、経常性賃金と見なされることがある。会社は賃金ではなく、補助やインセンティブ目的で支給していたとしても、毎月定額で支給しているため、誤解されやすい。労働トラブルを回避するためにも、各手当の定義、支給方法、支給対象を明確にし、支給する前に社員に理解させる必要がある。
★2016年在台日系企業給与レポート★
https://www.ys-consulting.com.tw/research/salesreport/36.html
陳 逸如
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