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【2021年在台日系企業の給与動向】第2回 日台企業の給与水準比較と昇給事情


リサーチ 経営 人事労務 台湾事情 その他 作成日:2021年7月28日

日系企業給与動向

【2021年在台日系企業の給与動向】第2回 日台企業の給与水準比較と昇給事情

記事番号:T00097438

日台企業間の給与水準差は2千元
 直近10年の日台給与水準推移をみると、差額は縮小している(図1)。台湾政府は給与水準を向上させるために、2017年より年々と最低賃金を引き上げ、2017年の2万1,009元から現在の2万4,000元になった。このため、台湾企業の給与水準は政府の賃上げ政策により、全体の給与水準が上がった。
 また、米中貿易摩擦と新型コロナウイルスの影響を受け、グローバルサプライチェーンの再構築が進み、台湾企業への転注と台湾企業のUターン投資が増えつつ、台湾全体の経済環境が好転している。これらの要因から、日台企業間の給与水準差は10年前の6千元から、2021年の2千元未満に縮小し、日系企業のアドバンテージが減少している。

在台日系企業の97%は昇給実施
 今年の調査結果によると、昇給を実施しないと回答した在台日系企業はわずか3%だった。検討中の6%を含め、97%の在台日系企業は昇給を実施する。昇給方法に定期昇給とベースアップ昇給(以下、ベア昇給という)の2種類がある。定期昇給とは、年齢や勤続年数などの時間経過によって、各人の賃金を引き上がることを指す。一般的に評価の結果と連動して実施することが多い。一方、ベア昇給は定期昇給と違い、賃金ベースそのものを底上げする増額方式のことをいう。経済成長や物価上昇などの要素を考慮し、実施することが多い。
 2021年に定期昇給とベア昇給とも実施する企業は昨年より14%増加し、ベア昇給の実施率も昨年の11%から今年の27%まで増加した(図2)。その理由としてコロナ後のインフレによる出費増及び最低賃金の引き上げが考えられる。なお、昇給実施有無の決定要因について、「台湾法人の業績実績」と「社員の定着のため」が主要な要因として挙げられている。

台湾企業の昇給実施率は40%程度
 在台日系企業の97%は昇給を実施するが、台湾企業の昇給実施率は40%程度に留まっている(図3)。台湾企業の昇給実施率が低いのは、新型コロナウイルスの影響ではなく、以前から低い傾向にある。台湾企業の経営者は、財務の柔軟性を確保するため、昇給を抑え、決算後に利益が出た場合、賞与で支給する傾向にある。また、経済部の統計データによると、台湾は97%の企業が中小企業である。中小企業の場合、人事制度を整備している企業が少なく、日系企業のように毎年評価を行い、昇給を実施する企業も少ない。

 本コラムで紹介しきれない部分はまだたくさんあるので、ご興味のある方は、弊社が発行した給与レポートにてご確認ください。

※2021年在台日系企業給与レポート:
https://www.ys-consulting.com.tw/research/salesreport/83.html

林芳米

林芳米

ワイズリサーチ社主任

 半導体、電子、機械などの幅広い調査案件を多数担当している。行動力が高く、与えられたミッションを達成するチャレンジ精神旺盛なリサーチャー。顧客視点で課題を捉え、創意工夫を重ねることで最適な調査には定評がある。(言語)日本語△・中国語◎

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