リサーチ 経営 人事労務 台湾事情 その他 作成日:2025年9月3日
日系企業給与動向記事番号:T00123893
ワイズコンサルティングは毎年6月に在台日系企業を対象に給与調査を実施している。20年目となる今回の調査では、在台日系企業の協力を得て、7,000人を超える従業員数の給与データを収集・分析した。多くの企業からのご支援により、精度の高い分析を実現できた。
本コラムでは、その結果を踏まえて、日台企業の給与動向を2回に分けてご紹介する。貴社の給与政策のご参考になれば幸いだ。
2025年在台日系企業の平均月給は:5万1千台湾元台
直近5年在台日系企業の月額経常性給与について、4万3千台湾元から5万1千台湾元まで上昇した。前年比では約6%の増加となり、これは2021年の約7%に次ぐ高い伸び幅となった(図1)。
(※月額経常性給与とは、毎月経常的に労働の対価として支給されている給与を指す。内訳の例としては▽基本給与▽手当などが含まれる。なお、時間外労働手当や賞与のように毎月経常的に支給されていないものは含まれない。)
新竹・苗栗エリアの給与水準が最も高く、高雄は最も低い
エリア別に見ると、在台日系企業の月額経常性給与は、新竹・苗栗エリアが他地域よりも高水準となっている(図2)。このエリアには、台湾で最初に設立された半導体産業を核とするサイエンスパーク「新竹科学園区(竹科)」があり、台湾・日本・欧米の半導体関連企業が多数集積している。台湾経済部の統計によると、新竹・苗栗エリアには台湾全土の約8割のIC設計企業が集中している。
IC設計は半導体産業の川上工程に位置し、高度な技術力を要するため、同じ半導体産業でも、川中工程のIC製造や川下工程のパッケージング・テスティングに比べ、給与水準が高い。
一方、高雄の給与水準は最も低く、労働集約型の伝統的製造業が中心で、工場作業員の水準にとどまっている。
卸売業が最も高く、技術サービス業と建設業も高水準
図3は、在台日系企業における業態別の月額経常性給与水準を示している。最も高いのは卸売業で、平均6万4千5百台湾元と在台日系企業全体平均を約26%上回る。その中でも総合商社は突出しており、卸売業の平均をさらに13%上回っている。総合商社では国際取引や多角的な事業展開を担うため、従業員に高度な交渉力や海外ビジネスの知見が求められる。これした条件が、高い給与水準の背景となっている。
次に高いのは、小売業・サービス業の中の技術サービス業と建設業である。技術サービス業では機械設備の保守・メンテナンスを担い、電気・機械・制御といった専門知識に加え、トラブル対応や顧客との長期的関係構築が求められる。従業員にこうした複合スキルを要求する点は、建設業にも共通している。
さらに建設業の中で、化学工場や食品工場など特定分野の工場建設を手掛ける企業が多く、業界特有の知識と高度な建設スキルが必要だ。そのため、両業種は他の業種に比べて高い給与水準にある。
第2回 日台企業の給与水準比較と昇給事情
https://www.ys-consulting.com.tw/research/123894.html
また、本コラムで紹介しきれない部分はまだたくさんあるので、ご興味のある方は、弊社が発行した給与レポートにてご確認ください。
※2025年在台日系企業給与レポート:
https://www.ys-consulting.com.tw/research/salesreport/119.html
林芳米
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