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【BtoC最前線〜台湾の流通と消費動向】ワイズリサーチのConsumer Report 第4回 小売市場チャンネル別売上動向


リサーチ 経営 マーケティング 台湾事情 その他 作成日:2021年8月23日

コンシュマーレポート

【BtoC最前線〜台湾の流通と消費動向】ワイズリサーチのConsumer Report 第4回 小売市場チャンネル別売上動向

記事番号:T00097907

新型コロナウイルス感染症が世界中に拡大してから、世界の累計死亡者数は400万を超え、小売業も大きな打撃を受けた。この中、米国の小売業界は3万店以上の店舗が運営を終了し、中国の小売業(実店舗)の販売額も8.8%減となった。

台湾は2021年5月19日から防疫レベルを第3段階(レベル3)に引き上げ、7月22日まで約2カ月間を継続していた。消費市場、店舗運営に大きな影響・変化をもたらしたため、これまで各業界が過去の経験・データに基づいて、運営の評価・方針決定を行う方法は当てにならなくなった。

今回は、消費者の消費形態に基づき、流通チャンネルを▽ゼロ距離チャンネル(電子商取引(EC)サイト、宅配代行サービス(デリバリーサービス)▽短距離チャンネル(3C、コンビニエンスストア、専門店、コーヒーチェーン、酒類小売店、ファストフードチェーン、スーパーマーケット、コスメストア、小売店、ペットショップ)▽長距離チャンネル(百貨店、量販店)――の3つに分けて、レベル3前、レベル3期間、レベル3引き下げ以降など3つの期間の売上高、来店客数、平均購入金額、消費頻度、一回当たりの消費金額などの項目から、消費者の購入行為を分析する。

百貨店の来店客数、レベル3期間中は75%減 レベル3引き下げ以降は252.3%増と急成長
実店舗とオンライン店舗を約2万店、ゼロ距離チャンネル、短距離チャンネル、長距離チャンネルの販売形態別から、レベル3実施当週(5/24〜5/30)と父の日週間(8/2〜8/8)の売上高を比較すると、短距離チャンネルの売上高は12.01%減となったものの、ゼロ距離チャンネルと長距離チャンネルはいずれも成長傾向を見せ、とくに長距離チャンネルの売上高は49.55%増と最も高い成長幅を見せた。最大の原因は外出人数の増加(49.55%増)と考えられる。

長距離チャンネルは百貨店と量販店を含む。百貨店は居家隔離(外出制限)を実施してから、来店客数は大きく落ち込んだチャンネルの1つだったが、7月22日の防疫レベルの引き下げにより、来店客数はレベル3実施前と比べて252.3%増と大きく回復し、売上高も5%増となった。また、外出人数の増加により購買人数は211.57%増、一回当たりの消費金額は17.25%増となった。

一方で、民生用品を提供する量販店の売上高は1.51%減の小幅減少となった。主要な原因は、一回当たりの消費金額は1.17%減、一人あたりの消費頻度は1.43回から1.39回に下がったと考えられる。
百貨店の売上高成長率は高い順に▽環球購物中心(グローバルモール)▽京站時尚広場(Qスクエア)▽漢神名店百貨(漢神デパートメントストア)▽遠東巨城購物中心(ビッグシティー)▽統一時代百貨▽新光三越▽Sogo▽遠東百貨▽微風広場(ブリーズセンター)▽比漾広場(ビヨンド・プラザ)▽ATT 4 FUN▽大葉高島屋▽明曜百貨▽欣欣百貨▽大立百貨▽台北101▽徳安百貨――だった。このうち、環球購物中心の来店客数は574.85%増だった。

また、5月19日の防疫レベル3が実施されたあと、消費者が外出自粛してから、各百貨店はデジタル化への構造転換を加速させた。例えば、オンライン配信、ECサイト構築、SNSによる販売などに力を入れている。今後実店舗以外の売上増も見込める。

父の日週間 宅配代行サービス大手のフードパンダ、売上高40%減 ウーバーイーツ小幅減
レベル3期間中、宅配代行サービスの売上高はレベル3実施前と比べて40%増だったものの、店内飲食を解禁した父の日週間(8/2〜8/8)の売上高は僅か4.52%増だった。とくに大手のフードパンダの売上高の減少幅は50%弱で、最も高かった。一方で、ウーバーイーツの減少幅は低い。

父の日商機 台湾最大級のオンライン書店 博客来(BOOKS)の売上高は30%弱増
レベル3実施当週(5/24〜5/30)と父の日週間(8/2〜8/8)の売上高を比較すると、大手ECサイトの売上高成長率は高い順に▽博客来(BOOKS)▽momo購物網(momo)▽露天拍売▽東森購物(ETモール)▽蝦皮購物(Shopee)▽udn買東西▽PCホーム24h購物▽friDay(フライデー)購物▽Rakuten台湾楽天市場▽Yahoo奇摩購物中心▽生活市集(buy123)――だった。このうち、博客来(BOOKS)の売上高の成長率は25%以上だった。

ECサイトの訪問者数(アクセス数)を見ると、レベル3期間中の各ECサイトの訪問者数のほとんどは、横ばい維持と減少のどちらだったものの、東森購物(ETモール)の訪問者数のみ10%増の成長傾向を見せ、この趨勢は父の日週間まで継続した。東森購物(ETモール)は自社ECとモール型ECの市場シェアの開拓に力を入れており、傘下には5万弱のテナント出店者を持ち、今後も成長し続ける見通しだ。

コーヒーチェーン 店内飲食の解禁により売上高は47%増
短距離チャンネルのうち、売上高成長率は高い順に▽コーヒーチェーン▽小売店▽ファストフードチェーン▽コスメストア▽専門店▽コンビニエンスストア▽酒類小売店▽3C小売店▽スーパーマーケット▽ドラッグストア▽ペットショップ――だった。このうち、コーヒーチェーンの売上高は47.03%増、来店人数は47.03%増、一人あたりの消費金額は211.54台湾元から222.97台湾元と約5.4%増だった。また、2位の小売店の売上高は12.89%増で、その他チャンネルの売上高はマイナス成長だった。

業界雑誌「流通快訊」の6月の統計データによると、台湾のスターバックス、路易莎咖啡(ルイサコーヒー)の店舗数は500店舗以上、cama現烘咖啡専門店は約150店舗だった。また、スターバックスとルイサコーヒーは店舗数の減少と変動している。

8月3日、店内飲食が解禁されたあと、コーヒーチェーンの売上高の成長幅の高い順に▽卡啡那CAFFAINA▽スターバックス▽ルイサコーヒー▽cama現烘咖啡専門店▽Coffee Law▽黒浮珈琲▽丹堤咖啡(ダンテコーヒー)▽怡客咖啡(イカリコーヒー)▽黒沃珈琲▽羅伯珈琲――だった。なお、卡啡那CAFFAINAの売上高は148.9%増だった。

3C販売チャンネルの売上高3割減 三創生活園区のみ186%増
3C(コンピューター、通信、家電)販売チャンネルの売上高成長率の高い順に▽三創生活園区▽良興電子(EcLife)▽三井3C▽全国電子(e-ライフモール)▽原価屋▽欣亜数位▽大同3C――だった。このうち、三創生活園区の売上高は186%増、来店客数は255.05%増だった。


文化部の統計データによると、2018年の台湾のACG(アニメ、コミック、ゲーム)産業の生産額は前年比13.7%増の769億4,000万台湾元だ。また、2019年の日本のACG産業の生産額は6,800兆台湾元に達した。IPコンテンツの商機、防疫レベルの引き下げと夏休み特需に目をつけて、各百貨店、3C販売チャンネルはIPコンテンツの関連テナント、ポップアップストアを展開した。

三創生活園区はACG関連のIPコンテンツの展示会を開催し、イニシャルDのコラボレストラン、韓国の人気挿絵作家、日本ACGのガチャガチャなどのサービス・商品を展開して、夏休み商機を狙っている。

●図1〜図3の売上成長率とは、レベル3実施当週(5/24〜5/30)と父の日週間(8/2〜8/8)の売上高を比較した結果です。

※データ提供:invos Data
・消費データの観測期間:5/24〜8/8
・観測対象:500万人超の消費データ

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