記事番号:T00079449
~ 日本最先端の働き方改革企業に学ぶ ~
「サイボウズの働き方改革徹底解剖
日 時:2018年9月19日(水)
講 師:
第1講 サイボウズ執行役員 栗山圭太
Q&A ワイズコンサルティング代表 吉本康志
第2講 サイボウズ台湾連絡事務所所長 曽根秀和
「大丈夫」「アリキリ」といったブランデッドムービー(動画)で「働き方改革」に一石を投じると同時に、社内でさまざまな働き方改革に挑戦し続けているサイボウズ。改革実践の裏には多くの試練があったようです。第1講ではサイボウズ本社の執行役員をお迎えし、改革の成功談、失敗談を聞かせていただきました。第2講では、それらの働き方を支えたIT(情報技術)ツールをご紹介しました。
第1講 サイボウズの働き方改革の成功・失敗事例
最近ヒットしているビジネス本「ティール組織」の翻訳者と対談する機会があり、お話を聞くと弊社でやっていることと共通点がありました。弊社の「働き方の施策」の一つ一つは、決して高度なことではなく、経済的合理性も考慮しているので他社でも適用できると思います。今日の話が参考になれば幸いです。
サイボウズは売上高95億円、社員800人(2017年度)、日本でのグループウェアシェア30%以上。グループウェアとは、ありとあらゆる情報を共有できる仕組み(プラットフォーム)であり、収集した情報を使いやすく取り出せることに工夫を凝らしています。「チームワークあふれる会社をつくる、社会をつくる」をスローガンに、内閣府のタスクフォースにも参加して「情報共有により組織を良くする使命」を持って情報共有を促す提言を行っています。例えば、災害支援においては、人と物資は十分集まりますが、問題は「どこに何がどのくらいあるのか」という情報が共有されないと、必要な所に必要な人や物が届きません。
๏100通りの人事制度
弊社がやってきたのは「働き方の多様化」です。そのきっかけは、2005年に離職率が28%に達し業務に支障をきたす状況となったことです。その際に辞める人たちにヒアリングすると、さまざまな原因が見えてきました。
そこで人事制度としては困難ですが「100人いれば100通りの人事制度」を目指すことにしました。今までの公平さという概念を
捨てて、一人ひとりのやりたいことを優先することに決めました。すなわち、原則として相手の働き方の希望を受け入れるという、働き方の選択を可能としました。例えば、残業なし、時短勤務、在宅勤務、副業許可、最長6年の育児休暇などです。固定の人事制度ありきではなく、個々人の働き方に合わせた結果を制度に取り込んでいきました。その他にも、社員から提案された活動に(審査はありますが)補助金を出す制度も設けました。その結果、離職率は5%未満に至りました。
相関関係は証明できていませんが、この間、業績は2倍近く伸びました。これらの施策と結果により、弊社が「働き方改革」先進企業として注目を集めることになったのです。
この人事制度改革により、給与テーブルでの評価はできなくなったので廃止しました。その代わり市場性(同業他社へ転職したらいくらもらえるのか)を重視することにして、本社500人の社員は「労働時間、成果、能力、市場性」を考慮の上、役員全員での給与を査定しています。
๏企業の風土づくり
働き方の多様化に必要な要素は「制度、ツール、風土」です。このうち「制度、ツール」はお金をかければ早期に解決できますが、「風土」作りには時間がかかります。全社員の考え方にチームワークを育むという意識を植え付けています。
そして2つの「公正明大」「自立と議論」という概念があります。公明正大とは、うそをつかない、隠さないことです。自立と議論は、自由度が大きいが故に、社員間のさまざまな衝突が発生します。それを「問題解決メソッド」というツールを用いて当事者同士で解決させています。
ここで弊社代表の青野の言葉「家事・育児から社会を学ぶ」をご紹介します。企業幹部の皆さまは、どれだけ会社のことだけではなく世間一般のことを知っていますか?世間一般のことを知らない人だけがかじ取りをしている会社って本当に大丈夫でしょうか?さまざまな社会経験を持っている人が集まった組織の方が強いのではないでしょうか?
๏幸福度を上げる
最後に、今「働き方」の何が問題なのでしょうか?長時間労働が取り上げられてしまい、経営側と働く側にズレが生じています。残業時間は減らすが仕事量は減らないので、生産性を上げることを経営者側は望みますが、働く側が求めるのは「幸福度を上げること」なのです。弊社の結果では、幸福度が上がれば組織力が向上して生産性が上がりました。それがなぜなのか?今は理論的に説明はつきません。引き続きの研究課題だと思っています。
第2講 司会者と参加者からのQ&A
いくつかをご紹介いたします。
Q. 働く努力や時間を減らして世界の競合と戦えるのか?
A. 個人力では劣るでしょうが、チーム力では負けない組織を作ることは可能です。また、男性の育児参加時間を伸ばすのは、出生率との相関が証明されており国策の一つです。
Q. 在宅勤務者と出勤者の給与の違いは?
A. 在宅勤務者は70%くらいです
Q. 子連れ出勤のとき子供はどうしてますか?
A. 専用のラウンジを用意して親子で働かせています
Q. 残業を減らすと労働力不足となり、かえって人件費増加になるのでは?
A. なります。しかし自分は決裁者なので、採算面よりも会社として必要なものを優先させてきました。
第3講 サイボウズで働き方改革を支えるツール紹介
サイボウズは2017年9月に台湾事務所を開設して現在53社にご利用いただいております。第1講の多様な働き方を支えるツールとして「ガルーン」と「キントーン」をご紹介します。
グループウェア「ガルーン」は、社内の情報を共有して見える化するツールです。これまで白板(ホワイトボード)に書いたり、申請書やメモといった紙ベースでやりとりしていたものをデータ化します。例えば、▽会議開催日程とその通知▽会議室の予約状況▽営業の訪問先▽決裁や休暇の申請▽日報や資料の共有──などです。
(図A)
(図A)これにより、リアルタイムに社員の活動や報告を把握したり、社外からも決裁でき、ペーパーレス化も進みます。さらに、過去の情報を探すことも容易です。
簡単に業務アプリが作れる「キントーン」は、これまで部門内で行っていた業務を効率化します。今までの業務フローをそのまま簡単な操作でシステム化できることが最大のメリットです。例えば、営業の案件管理と顧客管理を連動させた仕組みが作れます。これにより案件情報の共有や進捗状況を把握しやすくなります。
その他にも数多くの事例をお見せできますので、ご興味がありましたら、お声がけください。
=========セミナー概要=========
【第1講】
~ 日本最先端の働き方改革企業執行役員に聞く ~
「サイボウズの働き方改革の成功・失敗事例」
・給与評価をどうするかが重要
・働き方改革実施前の意識改革
・働き方改革は採用力強化
講師:サイボウズ 執行役員 營業本部長 栗山圭太氏
Q&A
〜 そこを深く知りたい! 〜
「司会者と参加者からのQ&A」
・栗山氏への働き改革に関する質問タイム
司会:ワイズコンサルティング 代表 吉本康志
【第2講】
〜 理念や制度だけでは変わらない! 〜
「サイボウズで働き方改革を支えるツール紹介」
・働き方改革の情報基盤
「サイボウズガルーンの活用事例」
・必要なアプリを自作する
「サイボウズキントーンの活用事例」
講師:サイボウズ 台湾連絡事務所 所長 曽根秀和氏
【開催詳細】
日 時:9月19日(水)14:00〜17:00
場 所:中国文化大学推広教育部
台北市建国南路2段231号9F
使用言語/テキスト:日本語
参加料:無料
特典:一般参加企業樣は、ワイズニュース2週間無料で配布!
ワイズコンサルティンググループ
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