ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

第529回 公務員の収賄罪/台湾


ニュース 法律 作成日:2024年7月22日_記事番号:T00116527

知っておこう台湾法

第529回 公務員の収賄罪/台湾

 2024年7月11日、前桃園市長、鄭文燦氏が汚職事件の疑いで、桃園地方法院(地裁)から勾留決定を受け、弁護士、家族らとの接見を禁止されました。鄭氏は与党・民進党の中で人気の高い政治スターであるため、本件は台湾社会に大きな衝撃を与えました。

 メディアの報道によりますと、鄭氏は桃園市長在任中にある土地の再計画プロジェクトに関して500万台湾元(約2400万円)の賄賂を受け取った疑いがあり、桃園地方検察署(地検)の検察官が、まず24年7月6日に鄭氏が汚職処罰条例(以下「本法」)第5条第1項第3号の「職務に違反しない収賄罪」を犯しており、証人との結託/証拠隠滅のおそれがあることを理由に、桃園地裁に勾留を請求しましたが、裁判所に却下され、500万元の保釈金を納付することで保釈される旨が鄭氏に告げられました。

 検察官は不服とし抗告をしましたが、9日に再び裁判所に棄却され、1200万元の保釈金を納付することで保釈される旨が鄭氏に告げられました。

 しかしながら、検察官は諦めず、引き続き抗告し、ついに裁判官に認められ、11日に鄭氏の勾留と弁護士、家族らとの接見禁止が決定されました。

「職務に違反しない収賄罪」

 台湾法上の「公務員による収賄罪」は本法第4条第1項第5号(次に掲げる行為のいずれかに該当する場合、無期懲役または10年以上の有期懲役に処するものとし、1億元以下の科料を併科することができる。五、職務に違反する行為について、賄賂またはその他の不正の利益を要求し、約束しまたは収受した場合)および第5条第1項第3号(次に掲げる行為のいずれかに該当する場合、7年以上の有期懲役に処するものとし、6000万元以下の科料を併科することができる。三、職務上の行為について、賄賂またはその他の不正の利益を要求し、約束しまたは収受した場合)に規定されており、前者は「職務に違反する収賄罪」といい、後者は「職務に違反しない収賄罪」といい、鄭氏が犯罪の疑いをかけられているのは後者です。

公務員による収賄罪の主な成立要件には、「1、公務員に金銭などの財物を収受した事実があること。2、公務員に職務に違反する(または違反しない)行為があること。3、前記1、2の間に『交換条件』の対価関係があること」があります。

 3を証明する難易度は高いため、実務において、起訴された収賄事件が最終的に無罪判決を受けるケースは少なくありません。

 

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

知っておこう台湾法