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第137回 日本人が台湾で交通事故に
遭ったときの対処方法


ニュース 法律 作成日:2016年3月21日_記事番号:T00063116

知っておこう台湾法

第137回 日本人が台湾で交通事故に
遭ったときの対処方法

 交通事故に遭うことは不幸な出来事だが、言語や法律などに不案内な外国で事故に遭った場合、被害者のつらさはさらに増すことだろう。弊所は日本人の顧客から「交通事故の加害責任はどのように追及するのか?損害賠償はどう請求するのか?」という問い合わせをよく受ける。今回のコラムでは、日本人が台湾でタクシー、バスなどを利用している際に交通事故に巻き込まれ、負傷したという前提で、外国人が台湾で交通事故に遭ったとき、どのように自らの法律上の利益を守るのかについて説明する。

重要な5つのポイント

一.現場を保全し、写真を撮影すること:交通事故の発生後、被害者の意識がまだ明確なときは、直ちに自らまたは現場にいる友人に頼んで携帯電話で現場の状況(複数の車両の位置および負傷状況などを含む)を撮影し、また証拠保全のため、警察が現場に到着するまで、事故車両および被害車両のいずれも位置を移動させないよう要求することお勧めする。

二.直ちに警察に通報すること:携帯電話または市内電話のどちらからでも、警察への通報電話番号は「110」である。交通事故の発生場所が山の中、海辺などのへき地でなければ、通常は通報後、10~20分以内に警察が現場に到着し、加害者、被害者に話を聞いて調書を作成し、かつ現場の写真を撮影、交通事故現場図および交通事故発生責任の初歩的判定報告書を作成する。

三.病院に診断証明書を発行してもらうこと:交通事故の発生後、被害者が病院で治療を受けたときは、加害者の法律上の責任を追及する証拠資料とするため、医師に負傷に対する診断証明書を発行してもらうことを覚えておいていただきたい。

四.警察に交通事故の関連資料の取得を申請すること:交通事故発生の原因および責任の帰属を確認するため、交通事故の発生から一週間後、被害者は自らまたは他人に委任して交通事故の担当警察官に前述の二の現場写真、交通事故現場図および交通事故発生責任の初歩的判定報告書を申請できる。

五.交通事故発生後6カ月以内に、加害者に対し過失傷害罪の刑事告訴を提起すること:台湾法上、過失傷害罪は親告罪に当たるため、交通事故発生後6カ月以内に告訴を提起しなかった場合、その後は告訴できなくなることに特に注意していただきたい。弊所の経験によれば、刑事告訴は加害者にプレッシャーを与え、加害者が被害者と積極的に和解を行うのに有利であり、また被害者が比較的高額な賠償金を得るのにも有利である。

 以上が台湾で日本人が交通事故に遭ったときの対処のポイントである。不幸にも交通事故に遭ってしまったときは、豊富な交通事故事件の処理経験を有し、かつ日本語と中国語で同時に対応可能な法律事務所に処理を依頼するのが最も適切である。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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