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第136回 労働安全衛生管理弁法の改正


ニュース 法律 作成日:2016年3月14日_記事番号:T00062965

知っておこう台湾法

第136回 労働安全衛生管理弁法の改正

 労働安全衛生管理に関する規制について、危害・リスク区分ごとに分類されていない事業がまだあり、一定の規模以上に達した事業組織や危険性のある作業場を一部有している事業組織については、労働安全衛生管理システムを構築する必要がある。また、労働安全衛生法第23条では、労災の発生を効果的に予防しなければならないことが規定されている。以上に鑑み、2016年2月19日、労働部は労働安全衛生管理弁法を改正した。

 主な改正点は以下の通りである。

立ち入り検査が可能に

 労働安全衛生法第36条に基づき、中央主管機関および労働検査機関は各事業組織の事業所に対する検査を実施することができるが、労働安全衛生管理の実施状況の監督・指導を可能にするため、労働安全衛生管理弁法第6条の1第3項の規定を新たに追加した。労働部によれば、同項が追加されたことによって、中央主管機関および労働検査機関が、中央主管機関に承認された事業組織に対して、労働安全衛生管理の実施状況に関する立ち入り調査を実施することができるようになった。

労働安全衛生管理システム、対象拡大

 次に、労働安全衛生管理に関する事業のリスク別に、高リスクの第一類事業(鉱業、化学製造業等)、中リスクの第二類事業(農業、飲食業、医療業等)、および低リスクの第三類事業に分けられており、これまで、300人以上の従業員を有する第一類事業の事業組織についてのみ、労働安全衛生管理システムの構築が義務付けられていた。

 しかし、より多くの労働者の安全および健康を保護するため、改正後の労働安全衛生管理弁法第12条の2第1項第1号では、労働安全衛生管理システムを構築しなければならない第一類事業の事業組織について、従来の従業員を300人以上有する事業組織から、200人以上有する事業組織へと対象が拡大された。さらに、より多くの労働者の安全および健康を保護し、重大な労災事件を減少させるため、新設された同項第2号により、労働安全衛生管理システムを構築しなければならない対象として、従業員を200人以上有する第一類事業の事業組織に加え、これまで労働安全衛生管理システムの構築が義務付けられていなかった、第二類事業の事業組織のうち、従業員を500人以上有する第二類事業の事業組織も追加されることとなった。

 上記の通り、労働安全衛生管理に関する使用者の対応が必要となる可能性のある事項が増え、また上記のほかにも労働安全衛生管理に関する改正があったことから、今回の労働安全衛生管理弁法の改正については、慎重に対応する必要がある。

コラム執筆者
黒田法律事務所 尾上由紀弁護士

早稲田大学法学部卒業。2007年黒田法律事務所に入所後、企業買収、資本・業務提携に関する業務、海外取引に関する業務、労務等の一般企業法務を中心として、幅広い案件を手掛ける。主な取扱案件には、海外メーカーによる日本メーカーの買収案件、日本の情報通信会社による海外の情報通信会社への投資案件、国内企業の買収案件等がある。台湾案件についても多くの実務経験を持ち、日本企業と台湾企業間の買収、資本・業務提携等の案件で、日本企業のアドバイザー、代理人として携わった。クライアントへ最良のサービスを提供するため、これらの業務だけでなく他の分野の業務にも積極的に取り組むべく、日々研鑽を積んでいる。

黒田法律事務所・黒田特許事務所

1995年に設立、現在日本、台湾、中国の3カ所に拠点を持ち、中国法務に強い。 現在、13名の弁護士、6名の中国弁護士、2名の台湾弁護士、1名の米国弁護士及び代表弁護士を含む2名の弁理士が在籍しており、執務体制も厚い。 
http://www.kuroda-law.gr.jp/ja/tw/

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