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第328回 新型コロナウイルスで発生した違約への対応


ニュース 法律 作成日:2020年4月13日_記事番号:T00089369

知っておこう台湾法

第328回 新型コロナウイルスで発生した違約への対応

 行政院公共工程委員会(工程委員会)は2020年3月6日に工程企字第1090100202号解釈書簡を公布し、メーカーが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延(まんえん)により調達契約を履行できない場合における法律上の処理方法を説明しました。

 当該解釈書簡の重要なポイントは、調達機関とメーカーが工程委員会の公布する各種政府調達契約の様式に基づいて調達契約を締結しているかどうかによって、以下の通りです。

1.調達契約を締結している場合

 メーカーが伝染病防治法(感染症予防治療法)第3条所定の法定伝染病(例えば新型コロナウイルス感染症)により期限通りに契約を履行できないとき、メーカーは関連する証拠を提出して、調達機関に対し契約履行期限の延長を申請することができます。契約を履行できないことが確定したときは、契約責任を免除することができます。

2.調達契約を締結していない場合

 メーカーが新型コロナウイルス感染症の蔓延により期限通りに契約を履行できないときであっても、調達機関は工程委員会の公布する「調達契約要項」第49条 に基づいて契約の変更を行うことができます。

 同要項第49条には「機関およびメーカーが天災事変などの不可抗力または契約当事者の責めに帰すべからざる事由により、期限通りに契約を履行できない場合、契約履行期限を延長することができる。契約を履行できない場合、契約責任を免除することができる」と定められています。

 新型コロナウイルス感染症の蔓延により引き起こされた調達契約の履行を巡る紛争について、調達機関とメーカーは紛争処理への協力を工程委員会に求めることができます。

 新型コロナウイルスの感染拡大がなお続いていることから、多くの会社や工場では正常な営業や生産をすることができず、また、これによりさまざまな契約違反の問題が生じています。

 新型コロナウイルス感染症により引き起こされた契約履行の問題がある場合は、違約責任を除去または軽減するためにも、ぜひ法律の専門家にお問い合わせください。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

蘇逸修弁護士

蘇逸修弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

台湾大学法律学科、同大学院修士課程法律学科を卒業後、法務部調査局に入局。板橋地方検察署で、検事として犯罪調査課、法廷訴訟課、刑事執行課などの業務を歴任。2011年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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