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第332回 合同会社の取締役の解任方法


ニュース 法律 作成日:2020年5月11日_記事番号:T00089881

知っておこう台湾法

第332回 合同会社の取締役の解任方法

 会社法によると、合同会社は株主の議決権の3分の2以上の同意を得て、行為能力(契約などの法律行為を単独で確定的に有効に行うことができる能力)を有する株主の中から取締役を1~3人選任しなければなりません。ただし、取締役をどのように辞任させるかについては規定がありません。

 一方、株主総会における取締役改選の臨時動議により、取締役の資格を喪失した者が裁判所に訴訟を提起した事案に関する最高法院(最高裁判所)の2013年度台上字第832号判決では、「正当な理由があり、かつ、株主の議決権数の3分の2以上の同意があれば、取締役を辞任させることができる」と説明がありました。

 会社法によると、合同会社の株主は理由なく取締役を辞任させることはできません。ただし、正当な理由がある場合、取締役選任と同じ方式(株主の3分の2以上の同意を得る)で当該取締役を辞任させ、別途、行為能力を有する株主の中から取締役を選任することができます。

 「株主の3分の2以上の同意を得なければならない」とは、株主の議決権数の3分の2以上の同意を得て選任しなければならないことを指します。

 合同会社には、会社法の規定では株主総会の組織がありません。そのため、株主の3分の2以上の同意を得るという上記の形式は、どのような方式で行うかにかかわらず、たとえ株主総会の名義で招集するとしても、株主全員のうち3分の2以上の同意を得て決議を行う場合、適法となります。

適法な取締役解任の事例

 ある合同会社の株主が株主総会において、取締役を改選する臨時動議を提出しました。改選理由には「会社および元取締役のAに、利益を分配せず、会社法第110条に違反して関連財務書類の提出を遅延し、定款にも違反する事由が存在する」と記載されていたため、これは正当な理由を有する改選となります。

 提案者は上記の元取締役Aの違法事由について討議した後、すぐにBを新任取締役として選任していることから、この取締役改選には元取締役Aを解任するという意思が含まれていることが明らかです。

 また、係争株主総会は取締役改選の議案について、出資額の10分の7の株主の同意、つまり3分の2を超える株主の議決権の同意を得た上で、被上告人を新任取締役として推薦したほか、法に基づき変更登記を行いました。したがって、元取締役Aの取締役の職務を適法に解任して退職させた上で、Bを新任取締役として適法に選任していることになります。

合同会社の株主議決権数

 会社法第102条には、合同会社の各株主は出資の多寡を問わず、いずれも1票の議決権を有することが規定されています。また定款において、出資比率に応じて議決権を分配する旨を定めることもできます。

 上記事例の当該合同会社の定款には、株主の出資1,000台湾元(約3,600円)につき1票の議決権を有する旨が規定されていました。この場合は出資額に応じて議決数が計算されます。一方、定款に特に定めがなければ、株主の人数で議決数を計算します。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

鄭惟駿弁護士

鄭惟駿弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

陽明大学生命科学学部卒業後、台湾企業で特許技術者として特許出願業務に従事した後、行政院原子能委員会核能研究所での勤務を経験。弁護士資格取得後、台湾の法律事務所で研修弁護士として知的財産訴訟業務に携わる。一橋大学国際企業戦略研究科を修了後、2017年より黒田法律事務所にて弁護士として活躍中。

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