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第330回 ネット通販とクーリングオフ制度


ニュース 法律 作成日:2020年4月27日_記事番号:T00089638

知っておこう台湾法

第330回 ネット通販とクーリングオフ制度

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により外出を控える傾向が続いており、それに伴いインターネット通信販売の利用数が増加しています。日本とは異なり、台湾では通販についてもクーリングオフの対象とされています。消費者は、原則として商品の受け取り後7日以内であれば、理由の説明や費用の負担なく、一方的に契約を解除することが可能です。

海外サイトは対象外

 先日、台南のある女性がネット通販で約3万台湾元(約10万7,000円)のブランド物のバッグを購入後、実物の色が写真と大きく異なっていたので、消費者保護法第19条に基づき、業者に対してクーリングオフを主張したところ、断られました。

 女性はトラブル発生後に初めて、自分が利用したのが香港の通販サイトであることを知りました。海外の業者には台湾の管轄権が及ばないため、台湾の消費者保護法が適用されませんでした。

 本件と類似した案件は数多く発生しています。海外の業者が誠実に対応してくれない場合、相手国の公的機関等に救済を求める必要がありますが、これは個人にとってかなりハードルが高いものです。そのため、ネット通販を利用する際には、運営が台湾の業者かを確認することをお勧めいたします。

クーリングオフできない商品

 クーリングオフは全ての商品・サービスについて認められるものではなく、「合理的な例外事情」(消費者保護法第19条第1項ただし書き)として▽腐敗しやすいもの▽特注品▽新聞▽定期刊行物▽デジタルコンテンツ▽開封済みの個人衛生用品──などは、業者側でクーリングオフの対象外とすることが可能です。詳しくは本コラム第280回 台湾法上の「通信販売」をご参照ください。https://www.ys-consulting.com.tw/news/83235.html

 ただし、クーリングオフの対象外であるからといって、消費者側に全く争う余地がないわけではなく、民法やその他の規定に基づく権利を主張することは可能です。例えば、商品に瑕疵(かし)がある場合、消費者は、民法第354条以下の規定に基づき、瑕疵担保責任を主張し、契約解除や代金の減額を求めることが可能です。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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