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第336回 賭けマージャンの違法性


ニュース 法律 作成日:2020年6月8日_記事番号:T00090383

知っておこう台湾法

第336回 賭けマージャンの違法性

 日本では、最近、検察庁法改正案の審議中に新聞記者と賭けマージャンをしていたとして、東京高等検察庁の黒川弘務検事長が辞任に追い込まれるという一件がありました。日本には賭博罪がありますので、賭けマージャンは刑事罰の対象です。

 これに対し、台湾にも賭博罪が存在するものの、その対象範囲が日本とは少し異なっており、賭けマージャンを行ったとしても賭博罪が成立しない場合があるので、ご紹介させていただきます。

 まず、日台の賭博罪に関する規定は以下の通りです。

・日本刑法第185条

 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。

・台湾刑法第266条第1項

 公共の場所または公衆が出入りできる場所において財物を賭けた者は、3万台湾元(約10万7,000円)以下の罰金に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けた場合は、この限りでない。

自宅なら賭博罪は不成立

 日本では、特に場所を限定することなく、賭博行為が刑事罰の対象とされているのに対し、台湾では、「公共の場所(公園など)または公衆が出入りできる場所(レストランなど)」での賭博行為のみが刑事罰の対象とされています。したがって、台湾では、自宅などのプライベートな空間において、友人数人と賭けマージャンを行ったとしても、原則として、賭博罪は成立しません。

 ただし、実務上、個人の住宅での賭博行為であっても、当該住宅が長期にわたり賭博場所に供されており、不特定の人が集まって財物を賭けているような場合には、純粋な住宅としての性質を失っており、公衆が出入りできる場所と異ならないので、賭博罪が成立すると解されています(司法院(77)庁刑一字第615号、(79)庁刑一字第309号)。

 なお、賭博罪の範囲外とされる「一時の娯楽に供する物」とは、消費の即時性および価値の軽微性を備えた場合を指し、例えば、負けた人が勝った人にビールをおごる場合などがこれに該当します。

不成立でも行政罰あり

 上述の通り、自宅で友人と賭けマージャンを行っても、原則として、賭博罪は成立しません。しかし、公共の場所または公衆が出入りできる場所ではない場所での賭博行為についても、社会秩序維護法第84条により、9,000元以下の過料に処されますのでご注意ください。

*本記事は、台湾ビジネス法務実務に関する一般的な情報を提供するものであり、専門的な法的助言を提供するものではありません。また、実際の法律の適用およびその影響については、特定の事実関係によって大きく異なる可能性があります。台湾ビジネス法務実務に関する具体的な法律問題についての法的助言をご希望される方は弊事務所にご相談下さい。

福田優二弁護士

福田優二弁護士

黒田日本外国法事務律師事務所

大学時代に旅行で訪れて以来、台湾に興味を持ち、台湾に関連する仕事を希望するに至る。 司法修習修了後、高雄市にて短期語学留学。2017年5月より台湾に駐在。 クライアントに最良のリーガルサービスを提供するため、台湾法および台湾ビジネスに熟練すべく日々研鑽を積んでいる。

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